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COLUMN

リファラルマーケティングとは?ECの仕組みと特典設計・5ステップ

はじめに

Web広告の費用が上がり続け、新しい顧客を1人獲得するための費用(CPA)が重くなっています。広告だけに頼らない集客の経路として見直されているのが、既存顧客の紹介で新しい顧客を得る「リファラルマーケティング」です。

この記事では、リファラルマーケティングの仕組みと他の手法との違い、紹介経由の顧客が定着しやすいとされる根拠、特典の設計パターン、導入の5ステップ、紹介ツールの選び方を順に解説します。

リファラルマーケティングとは

リファラルマーケティングの定義と仕組み

リファラルマーケティングとは、自社の商品を使っている既存顧客が、知人・友人・家族に商品を紹介することで新しい顧客を得る手法です。「お友達紹介キャンペーン」や「紹介コード」がその代表例です。

企業が広告で発信するメッセージと違い、実際に商品を使って満足している人の推薦が入口になります。紹介された人は最初から安心感を持って来るため、購入や定着につながりやすいのが特徴です。

一方で、紹介するかどうかを決めるのは顧客です。配信量で広がり方を調整できる広告とは違い、紹介したくなる商品体験と、紹介しやすい仕組みの両方が要ります。

ダイレクト・SNS・ファンマーケティングとの違い

リファラルマーケティングとよく比較される手法に「ダイレクトマーケティング」「SNSマーケティング」「ファンマーケティング」があります。それぞれの目的やアプローチの仕方は以下のように異なります。

手法概要特徴
ダイレクトマーケティング企業が個々の顧客に直接働きかける(DM・メルマガなど)企業から顧客への1対1。既存顧客の育成に向く
SNSマーケティング企業がSNSで発信し、拡散と流入を狙う不特定多数への認知向き。反応は投稿の広がり方しだい
ファンマーケティング継続的な価値提供で、顧客と長く続く関係を築くリピートや離脱防止が主な目的
リファラルマーケティング既存顧客の紹介で新しい顧客を得る顧客の信頼を経由した新規獲得。特典で紹介を後押しする

ファンマーケティングで育てた顧客との関係を、新規獲得につなげる仕組みがリファラルマーケティングだと考えると、位置づけがわかりやすくなります。

ECでリファラル施策が見直されている理由

広告費の増加と獲得コストの上昇

1つ目は、広告への依存が強まっていることです。電通「2025年 日本の広告費」によると、2025年のインターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で、初めて4兆円を超えました。総広告費に占める割合も50.2%と、初めて半分を超えています。

出典:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日公表)

広告枠を取り合う企業が増えれば、新しい顧客を1人獲得する費用は上がりやすくなります。しかも広告は、出稿を止めると流入も止まります。自社の顧客から新しい顧客が生まれる経路を広告とは別に持っておくことが、獲得の費用を安定させる手立てになります。費用が上がる理由は「EC新規顧客獲得コストが高騰する理由」で詳しく解説しています。

広告より知人の推薦が信頼される

2つ目は、購入前に他人の評価を確かめる行動が定着していることです。広告は売り手からのメッセージとして割り引いて受け取られやすく、実際に使った人の声のほうが判断の材料になります。

マッキンゼーは、マーケティングをきっかけに生まれた消費者同士の口コミが、スキンケアや携帯電話など幅広いカテゴリーで、有料広告の2倍以上の売上を生むと報告しています(McKinsey Quarterly「A new way to measure word-of-mouth marketing」・2010年)。紹介施策は、この口コミを企業が仕組みとして後押しするものです。

紹介経由の顧客は何が違うのか

紹介経由の顧客が通常の顧客とどう違うかは、学術研究でも確かめられています。代表的なのが、ドイツの銀行の顧客約1万人を約3年間追った研究です。

比べた点紹介経由の顧客(同じ時期・似た属性の通常の顧客と比べて)
顧客価値少なくとも16%高い
離反の速さ約18%遅い(長く取引が続く)
差の続き方利益の差は時間とともに縮むが、定着の差は縮まない

出典:Schmitt, Skiera, Van den Bulte「Referral Programs and Customer Value」(Journal of Marketing・2011年)

銀行という1つの業種の観察データなので、ECにそのまま当てはまる数字ではありません。ただ、「紹介経由の顧客は定着しやすく、その差は時間がたっても縮まない」という傾向は、定期購入やリピート購入が売上の柱になるECにとって大きな意味を持ちます。研究では、差の大きさが顧客層によって違うことも示されており、誰に紹介を頼むかが成果を左右します。

定期購入やリピートの多い商材ほど、紹介で得た顧客の定着のよさが利益に効きます。リピートを増やす施策の全体像は「ECサイトの「リピート購入」を増やすには?」、優良顧客への特典の考え方は「ロイヤルティプログラムとは?」もあわせてご覧ください。

紹介特典の設計パターン

特典の出し方は、商材の単価や購入頻度によって向き不向きがあります。代表的な4つのパターンを整理します。

パターン中身向いている商材・目的
双方に同じ特典紹介者と被紹介者の両方に、同じ額のクーポンを出す初めて紹介施策を始めるとき。顧客に説明しやすい
被紹介者を厚くする被紹介者の初回購入を大きく割り引き、紹介者へのお礼は少額にする初回購入のハードルが高い商材。定期購入の入口
お試し品・サンプル被紹介者にサンプルや初回限定の商品を用意する化粧品・食品など、使ってみないと良さが伝わりにくい商材
紹介者だけに特典被紹介者には特典を付けず、紹介者にお礼のクーポンを出す値引きを前面に出したくないブランド。紹介者の再購入も促したいとき

特典を大きくすれば紹介は増えますが、特典目当ての登録や不正な注文も増えます。紹介者への特典は被紹介者の注文が出荷され、返品期間が過ぎてから渡す、紹介できる人数に上限を設けるなど、紹介が成立する条件とあわせて設計します。

リファラル施策を導入する5つのステップ

紹介の機能を用意するだけでは、紹介は広がりません。導入から運用までを5つのステップで進めます。

ステップ1:紹介したくなる体験をつくる

顧客は、自分が満足した商品しか友人に紹介しません。紹介施策の土台は、商品の品質と、配送・梱包・問い合わせ対応などの購入体験です。レビューの評価や問い合わせの内容から、満足度の低い点を先に直しておきます。

ステップ2:紹介しやすい導線を整える

紹介したいと思っても、手順が面倒だと実行されません。マイページから紹介URLをLINEやSNSに1回の操作で送れる、口頭でも伝えられる紹介コードを用意する、といった手間を減らす工夫が要ります。紹介の案内は、マイページや購入完了画面など、顧客が日常的に見る場所に置きます。

ステップ3:特典と成立の条件を決める

前の章のパターンから、商材に合う特典を選びます。あわせて、特典の有効期限、使える最低購入金額、紹介者に特典を渡すタイミング(被紹介者の出荷から◯日後など)、紹介できる人数の上限を決めておくと、不正や特典の乱用を防げます。

ステップ4:満足度が高いタイミングで案内する

商品が届いた直後や、高い評価のレビューを書いてくれたときなど、満足度が高いタイミングで紹介を案内します。全員に案内するより、リピート購入している顧客や上位の会員ランクの顧客に絞るほうが、紹介される顧客の質は上がります。

ステップ5:成果を見える化して改善する

紹介してくれた顧客には、紹介の成立や特典の付与をメールで知らせ、マイページで紹介の履歴を確かめられるようにします。運営側は、紹介の件数・被紹介者の初回購入率・その後のリピート率を追い、特典の額や案内のタイミングを見直します。

紹介ツールの選び方

紹介施策を始める方法は、大きく分けて「ECサイトに後付けする紹介専用のツール」と「ECプラットフォームに備わった紹介機能」の2つです。

比べる点紹介専用のツールを後付けするECプラットフォームの紹介機能を使う
始めやすさ今のサイトに足して始めやすい使っているプラットフォームに機能があれば、設定だけで始められる
顧客データ紹介の記録がツール側に分かれやすい会員・注文のデータと同じ管理画面で紹介の実績を見られる
特典の付与ECのクーポンとつなぐための設定や開発が要ることがあるECのクーポンをそのまま特典に使える
費用ツールの利用料が別にかかるプラットフォームの料金体系による(オプションの場合もある)

紹介専用のツールは手軽に始められる反面、紹介の記録とECの顧客・注文データが別々の管理画面に分かれやすい点に注意が必要です。

データが分かれていると、「誰の紹介で来た顧客か」は分かっても、「その顧客が半年後にどれだけリピートしたか」を追うには、データを手作業で突き合わせることになります。紹介経由の顧客の定着を測りたいなら、紹介の記録と購買データを同じ場所で見られるかを選ぶ基準にします。

メルカートのお友達紹介機能

クラウドECのメルカートには、紹介施策を管理画面の設定で組み立てられる「お友達紹介機能」があります(有償オプション・2026年4月提供開始)。主な機能は次のとおりです。

  • 紹介コードと専用URL:会員がマイページで自分の紹介コードを発行し、紹介用のURLをLINE・X・Instagram・メールで共有できます。
  • 特典の自動付与:紹介者と被紹介者に別々のクーポンを設定できます。被紹介者の初回注文が出荷完了し、設定した日数がたつと、紹介者にクーポンが自動で付与されます。
  • 紹介できる会員と人数の制限:会員グループで紹介コードを発行できる会員を絞り、1人あたりの紹介人数に上限を設けられます。
  • 紹介の履歴:紹介者・被紹介者・紹介日・クーポンの付与状況を管理画面で確かめられます。会員や注文のデータと同じ管理画面で、紹介経由の顧客を追えます。

機能の詳細は「お友達紹介機能」、提供開始のお知らせは「プレスリリース」をご覧ください。

まとめ

広告費が増え続けるなかで、既存顧客の紹介は、獲得の費用を抑えながら定着しやすい顧客を得る手段になります。

  • リファラルマーケティングは、既存顧客の紹介で新しい顧客を得る手法
  • インターネット広告費は2025年に4兆円を超え、広告とは別の獲得経路を持つ意味が増している
  • 紹介経由の顧客は定着しやすく、その差は時間がたっても縮まないという研究がある
  • 特典は商材に合うパターンを選び、紹介が成立する条件とあわせて設計する
  • 紹介ツールは、紹介の記録と購買データを同じ場所で見られるかで選ぶ

よくある質問

リファラルマーケティングとSNSマーケティングは何が違いますか?

SNSマーケティングは、企業がSNSで発信して、不特定多数への認知や流入を狙う手法です。リファラルマーケティングは、既存顧客が知人に個別に紹介して新しい顧客を得る手法で、紹介した人への信頼が購入のきっかけになります。

リファラル施策はどんな商材に向いていますか?

リピート購入や定期購入が多い商材、使ってみると良さが伝わる商材に向いています。紹介経由の顧客は定着しやすいとされるため、継続して買われる商材ほど紹介で得た顧客の価値が大きくなります。単価が低くリピートしにくい商材では、特典の費用を回収できるかを先に確かめます。

リファラル施策の効果はどのくらいで出始めますか?

紹介の件数は、案内を始めてから既存顧客の購入が一巡するころに傾向が見えてきます。定着やリピートへの効果は、被紹介者が2回目以降も買うかを見る必要があるため、数か月単位で追います。紹介の件数・被紹介者の初回購入率・その後のリピート率を定期的に見て、特典や案内のタイミングを見直します。

紹介特典の不正利用はどう防げばいいですか?

紹介者への特典は、被紹介者の注文が出荷され、返品期間が過ぎてから渡すのが基本です。あわせて、1人あたりの紹介人数に上限を設ける、紹介できる会員を購入実績のある会員に限る、といった条件を付けると、特典目当ての登録を減らせます。

NEXT STEP

管理画面で、この施策がどう動くか見られます

実際の管理画面を操作した動画と、施策ごとの進め方をまとめた資料をご用意しています。設定の手間と、運用に必要な体制のイメージがつきます。