MIGRATION COST
ECの移行費用はいくらかかり、いつ回収できるのか
費用の内訳と、回収期間の逆算方法を整理しました。
最終更新 2026年9月15日 / 監修:渡邉 章公(株式会社メルカート 代表取締役社長)
ECの移行費用は「構築費」「データ移行費」「並行運用期間の重複コスト」の3つで構成されます。
回収期間は、CVR改善による売上増、運用工数の削減、従量課金の削減分の合計から逆算します。移行の意思決定が止まる最大の理由は初期費用そのものではなく、回収の見通しが立たないことです。
補助金については、制度により移行費用が対象となる場合があります。対象範囲と申請時期は年度ごとに変わるため、検討時点の最新要件をご確認ください。
費用の内訳
構築費
要件の複雑さとデザインの作り込みで決まります。現行サイトの再現ではなく必要な要件に絞ることで抑えられます。
データ移行費
会員・受注・商品・ポイントの量と、移行元の仕様に比例します。設計を後工程に回すと膨らみやすい項目です。
並行運用の重複コスト
新旧2つの環境を同時に維持する期間の費用です。切り替え計画で短縮できます。
回収期間の逆算
| 回収の源泉 | 内容 | 測り方 |
|---|---|---|
| CVR改善 | サイト改善による転換率の向上 | 移行前後のCVR差 × 流入数 × 客単価 |
| 運用工数の削減 | 外部ツールの統廃合、作業の自動化 | 削減時間 × 人件費単価 |
| 従量課金の削減 | 受注件数に応じた課金の解消 | 現在の従量課金額の年間合計 |
| 機会損失の解消 | 打てなかった施策の実行 | 定量化が難しいため参考値とする |
前の3項目の年間合計で初期費用を割ると、回収までの年数が出ます(12を掛けると月数)。稟議で説明する際は、機会損失を除いた3項目だけで計算しておくと、根拠として通りやすくなります。
補助金は使えるのか
制度によって、対象になる費目が違います。移行費用のどこに当たるかで見ます。
補助金を移行費用に充てられるかは「何に使うか」で決まります。サイトの制作費そのものを対象とする国の制度は限られており、対象になりやすいのは、移行にあわせて行う受発注・在庫管理の入れ替えや、運用を省力化するための投資です。
| 制度 | 移行費用のどこに当たるか | 気をつけること |
|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金) | 受発注・在庫管理・セキュリティなど、ITツールの導入費 | ECサイトの新規制作費は原則として対象外。あらかじめ登録されたITツールに限られる |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新しい市場に出るための設備投資・システム構築費 | 2026年度に新事業進出補助金とものづくり補助金を統合した制度。既存サイトの置き換えだけでは要件を満たさない |
| 中小企業省力化投資補助金 | 受注処理の自動化など、人手を減らすための投資 | 削減できる工数を数値で示す必要がある |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓としてのサイト構築・改修 | 常時使用する従業員数の要件があり(商業・サービス業は5人以下など)、対象にならない規模の事業者が多い |
| 自治体の補助金・助成金 | サイトの制作費・改修費を対象にするものがある | 対象になる地域と、年度ごとの募集枠に左右される |
計画に織り込むときは、次の3つを先に押さえておくと途中で止まりません。
- 補助金は精算払いです。事業が終わってから入金されるため、移行費用はいったん自己資金で立て替えます。
- 電子申請に使うGビズIDプライムの取得には時間がかかります。公募の開始を見てから動くと間に合いません。
- 補助金の対象に合わせてプラットフォームを選ぶと、事業に合わない構成になります。要件を決めてから、使える制度を探す順序にします。
よくある質問
概算の費用を先に知ることはできますか?
現在のサイト規模と要件をうかがえば、個別相談会で概算をお伝えできます。
補助金の申請を手伝ってもらえますか?
制度の該当可否の整理まではお手伝いできます。申請手続きは専門家へのご相談をおすすめしています。
分割での支払いは可能ですか?
契約条件は個別にご案内しています。
NEXT STEP
自社の場合はどうなるか、ご相談いただけます
現在の構成や課題をお聞きしたうえで、進め方をお伝えします。