COLUMN
デジタルギフト(ソーシャルギフト)とは? 自社サイトに導入する際の注意点
デジタルギフト(ソーシャルギフト)とは、品物を配送する代わりに、商品やギフトカードの情報をURLやコードで贈る形態です。相手の住所を知らなくても贈れ、受け取った側が配送先や日時を自分で指定します。
はじめに
デジタルギフト(ソーシャルギフト)とは、相手の住所を知らなくてもSNSやメールでURLやコードを送るだけで贈れるギフトのことです。矢野経済研究所の調査では、国内のeギフト(ソーシャルギフト)市場は2024年に5,050億円、2025年は6,450億円に達する見込みで、前年比約128%という高い成長が続いています。法人の販促・謝礼用途から個人利用へと広がり、EC事業者にとっては新たな売上機会となる領域です。
この記事では、デジタルギフトの仕組みと拡大の背景、EC事業者が自社サイトに導入する2つの方法と注意点を、最新の市場データを交えて整理します。
デジタルギフト(ソーシャルギフト)とは
デジタルギフトとは、品物そのものを配送するのではなく、商品やギフトカードの情報をURLやコードの形で相手に贈るギフトの形態です。スマートフォンやパソコンからオンラインで完結し、ソーシャルギフトやeギフトとも呼ばれます。
最大の特徴は、贈り先の住所を知らなくても贈れる点にあります。受け取った側は届いたURLにアクセスし、商品を選んだり配送先・受け取り日時を自分で指定したりして受け取ります。住所を交換していないSNS上の友人や、付き合いの浅い取引先にも贈れるため、従来の配送型ギフトにはなかった柔軟さがあります。

eギフト・ソーシャルギフトとの違い
「デジタルギフト」「eギフト」「ソーシャルギフト」は、ほぼ同義で使われる言葉です。厳密には、SNSやメッセージアプリ経由でやり取りする側面を強調するときに「ソーシャルギフト」、デジタルデータとして贈る点を指すときに「デジタルギフト」「eギフト」と呼び分けられることが多いですが、EC事業者が機能として検討する際は同じものと捉えて問題ありません。
呼称が複数あること自体が、この仕組みが個人・法人の両方から多様な文脈で使われてきた証ともいえます。記事や資料によって表記が揺れる点は、社内で機能要件を整理する際に押さえておくとよいでしょう。
デジタルギフトの仕組み
デジタルギフトの基本的な流れは、贈り手が決済を済ませた後に発行される専用URLを、LINEやメールで相手に送るだけです。受け取り手はそのURLから配送先を入力するため、贈り手は相手の住所を一切知る必要がありません。
商品そのものを贈るパターンのほか、コンビニなどで引き換えられるギフトカード型、自社ECの商品を選んでもらうカタログ型など、設計の自由度は高いといえます。どの型を採用するかで必要なシステム要件が変わるため、導入前に「何を・どう受け取ってもらうか」を決めておくことが重要です。
デジタルギフト市場が拡大している背景
デジタルギフト市場は、ギフト市場全体の中でも突出して伸びている分野です。矢野経済研究所の調査(2026年2月発表)によると、国内のeギフト(ソーシャルギフト)市場は2024年に前年比120.2%の5,050億円、2025年には同127.7%の6,450億円に達する見込みとされています。国内ギフト市場全体が2025年に11兆5,650億円見込みで前年比103.4%の微増にとどまる中、eギフトだけが年2割超のペースで成長している構図です。
拡大を支えているのは、法人と個人のあいだに生まれる好循環です。もともとeギフトは、企業がアンケートの謝礼やノベルティ配布に使う法人需要が中心でした。受け取った個人がその利便性を知り、今度は自分が贈る側に回る——この連鎖が市場を押し上げているとされています。
背景には生活様式の変化もあります。お中元・お歳暮といったフォーマルギフトが縮小傾向にある一方、誕生日や母の日・父の日、日常的なお礼など、カジュアルな場面でのギフト需要が伸びています。住所を聞かずに気軽に贈れるデジタルギフトは、こうしたカジュアル化の流れと相性がよいといえるでしょう。
デジタルギフトを導入する企業側のメリット
EC事業者にとってデジタルギフトは、新規顧客の獲得と販売機会の拡大に直結する施策です。配送型ギフトにはない特性が、そのまま事業上の利点になります。
住所不要でキャンペーン・謝礼に活用できる
デジタルギフトは住所を知らなくても贈れるため、SNSキャンペーンの景品やアンケートの謝礼として配布しやすいのが強みです。応募者の住所収集が不要になることで、参加のハードルが下がり、キャンペーンの応募数そのものを伸ばしやすくなります。受け取った人が自社ブランドを知るきっかけにもなり、認知獲得と新規顧客獲得を同時に狙えます。
記念日当日まで購入機会が残る
配送型ギフトは「いつまでに注文すれば間に合うか」という締め切りが購入の足かせになります。デジタルギフトは商品ではなくURLを送る形のため、母の日やクリスマス、誕生日などのギフト商戦で、記念日当日まで購入してもらえる可能性が残ります。直前の駆け込み需要を取りこぼさずに済む点は、売上面で見逃せないメリットです。
ギフト購入者をリピーター化できる
ギフトとして商品を受け取った人は、その商品やブランドを初めて体験する見込み顧客でもあります。受け取りページの体験を作り込み、後日自分用に購入する導線や定期購入の提案につなげられれば、一度きりの贈り物を継続的な売上に変えられます。ギフト経由の新規接点を、いかに自社の顧客基盤に取り込むかが事業者の腕の見せどころです。
デジタルギフトの贈り手側のメリット
贈り手にとっての利便性が高いことは、結果として事業者の利用機会を増やします。主なメリットは住所が不要なことと、受け取り側が都合のよいタイミングを選べることの2点です。
引っ越して住所がわからなくなった相手や、SNSだけでつながっている知人にも贈れるため、贈る相手の幅が広がります。さらに受け取り手が配送日時を自分で指定できるので、再配達の手間が発生しません。こうした「贈りやすさ・受け取りやすさ」が、デジタルギフトが個人利用へ浸透した原動力になっています。
自社ECにデジタルギフトを導入する2つの方法
自社の商品をデジタルギフトとして展開する方法は、大きく「ギフト専用モールへの出店」と「自社ECへの機能導入」の2つに分かれます。集客方法・手数料・実現したい体験のどれを優先するかで選択が変わります。
ギフト専用モールに出店する
短期間で始めたい場合は、gifteeやLINEギフトといった既存のギフトプラットフォームへの出店が向いています。楽天市場やAmazonのようなモール形態のため、出店するだけでデジタルギフトに対応でき、プラットフォーム側の利用者がそのまま自社商品の見込み客になる点がメリットです。一方で、販売ごとに手数料が発生し、ページ設計やブランド表現の自由度には制約があります。
自社ECにギフト機能を導入する
ブランド体験や収益性を重視するなら、自社ECにギフト機能を実装する方法が有力です。モール出店と違って販売手数料を抑えられ、受け取りページのデザインや同梱メッセージまで自社の世界観で作り込めます。
実装手段は、機能をゼロから自社開発(フルスクラッチ)する方法と、ギフト対応のクラウド型ECシステムを使う方法があります。フルスクラッチは自由度が高い反面、費用と開発期間が大きく、事業規模によっては現実的でないこともあります。たとえば国産クラウドECのメルカートでは、住所を知らなくても贈れるカジュアルギフト機能や、のし・ラッピングといったギフト機能を備えており、フルスクラッチより短期かつ低コストでギフト対応ECを立ち上げられます。食品ギフトのように複数配送やのし対応が前提となる業態については、後述の「食品ECのギフト対応に必要な機能」で整理しています。
2つの方法の違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | ギフト専用モールに出店 | 自社ECに機能導入 |
|---|---|---|
| 導入スピード | 速い(出店設定のみ) | システムにより中〜速 |
| 販売手数料 | 発生する | 抑えられる |
| ブランド表現の自由度 | 制約あり | 高い |
| 集客 | モール利用者を活用 | 自社集客が必要 |
| 顧客データの活用 | 限定的 | 自社で蓄積・活用できる |
どちらにも一長一短があります。まず認知拡大を優先するならモール、顧客データを自社に蓄積して継続的な売上につなげたいなら自社EC、という判断が一つの目安です。両者を併用し、モールで接点をつくって自社ECに誘導する設計も選択肢になります。
自社ECにデジタルギフトを導入する際の注意点
デジタルギフト導入で失敗しやすいのは、機能を付けただけで受け取り体験の作り込みを怠るケースです。やり取りがオンラインで完結するからこそ、操作性と受け取りページの質が利用率と印象を左右します。
まず前提として、贈り手・受け取り手の双方がインターネット操作に慣れている必要があります。URLを送る操作で手間取ると、そもそも利用に至りません。手順をイラストで示す、操作ガイドを用意するなど、迷わせない導線づくりが欠かせません。シニア層には依然ハードルがあるため、ターゲット層を見極めたうえで導入するのが現実的です。
次に、URLの期限切れ対策です。受け取り手が手続きを忘れて期限が切れると、せっかくのギフトが届きません。使用期限を明記し、リマインド通知を送る仕組みがあると取りこぼしを防げます。
もう一つ見落とされがちなのが受け取りページの作り込みです。ギフトコードだけが表示される素っ気ないページは、ブランド印象を損ないます。写真やメッセージを表示できるようにし、贈り物としての特別感を演出することが重要です。受け取りページの設計不足は離脱の原因になりやすく、メルカートでもギフトEC構築の際にこの点の相談を多く受けています。デジタルギフトは「対応すること」ではなく「気持ちよく受け取ってもらうこと」がゴールだと捉えるべきでしょう。
食品ECのギフト対応に必要な機能
食品は、ギフト需要が年間を通じて安定している商材です。お正月・お中元・お歳暮・母の日・父の日・敬老の日・クリスマスと年中行事が多く、行事ごとに贈る相手も予算も変わるため、価格帯の異なる商品を組み立てやすい。さらに、贈られた側が気に入って自分用に買い直す「自家需要」への波及も起きやすく、ギフトが新規顧客との最初の接点になります。
食品ECでギフト対応するには、のし・ラッピングをはじめとする複数の機能が必要です。代表的な5つの機能を紹介します。すべてを最初から揃える必要はありませんが、扱う商材とギフト需要に応じて優先順位をつけて導入するとよいでしょう。
のし・ラッピング対応
のし・ラッピングは、食品ギフトに最も求められる基本機能です。注文画面で、包装紙の種類・のしの有無・水引の種類・表書きなどを選べるようにします。
お中元やお歳暮、内祝いといったフォーマルギフトでは、のしの「外のし」「内のし」の選択まで対応できると丁寧です。ラッピングを有料で提供する場合は、購入金額に料金が自動加算される仕組みが必要になります。仕上がりイメージを画面で確認できるようにすると、実店舗に近い購入体験を提供できます。
メッセージカード
メッセージカードの同梱機能も、ギフトECでは欠かせません。贈り主の気持ちを添えられることで、ギフトとしての価値が高まるためです。定型文から選ぶ方式と、自由に文章を入力できる方式の両方を用意すると、利用者の幅広いニーズに応えられます。
複数配送(配送先別の設定)
複数配送は、1回の注文で購入した商品を複数の宛先に送れる機能です。お中元やお歳暮では、実家・親戚・友人など複数の相手にまとめて贈るケースが多いため、ギフトECでは重要度が高い機能です。
このとき、配送先ごとにのしやラッピング、メッセージカードを個別に設定できると利便性が大きく向上します。たとえばメルカートでは、複数配送と配送先別の設定に対応しており、贈り分けが発生しやすい食品ギフトの注文を1回の購入で完結させられます。
ソーシャルギフト
ソーシャルギフトは、相手の住所がわからなくても贈れる機能です。SNS上のつながりにギフトを贈りたいというニーズに応えられるほか、受け取った人がSNSに投稿することで自然な口コミ拡散が期待できる点もメリットです。新規顧客との接点を増やす施策として有効です。
定期購入・リピート機能
定期購入・リピート機能は、ギフトをきっかけに得た顧客を継続購入につなげる機能です。リピート購入や定期購入の割引設定、次回お届け日のお知らせメールなどを用意します。マイページから配送日やコースを変更できるようにしておくと、解約防止にも役立ちます。ギフト需要に加えて自家需要を取り込むことで、売上の安定化を図れます。
食品ギフトで見落としがちな実装のポイント
食品ECのギフト対応では、のし・ラッピング以外に「決済」「配送温度帯」「詰め合わせ」という3つの実装ポイントを見落とさないことが重要です。これらは食品ギフト特有の事情から生じる論点で、対応を怠るとクレームや機会損失につながります。
代引き決済を選べないようにする
ギフトでは、代金引換(代引き)決済を使えないように制御することが重要です。ギフトは「贈る人」と「受け取る人」が異なるため、代引きにすると受取人に代金を請求してしまうという事故が起きるためです。クレジットカードや事前決済を基本とし、配送先がギフトの場合は代引きを選択肢から外す設計にしておきましょう。
常温・冷凍・冷蔵の配送温度帯を制御する
食品ECでは、配送温度帯の異なる商品を正しく制御する必要があります。常温・冷凍・冷蔵の商品を1つの梱包にまとめられず、別便での配送が必要になるケースがあるためです。
温度帯の異なる商品を同時にカートへ入れた際、合わせ買いの可否や別配送の扱いを自動で判定できる仕組みがあると、注文時の混乱や配送トラブルを防げます。これは食品を扱うECならではの要件で、アパレルや雑貨にはない論点です。
アソート・詰め合わせ(セット)に対応する
食品ギフトでは、複数商品を1箱に詰め合わせるアソート・セット対応がよく求められます。「人気商品の詰め合わせ」「季節限定の選べるセット」といった商品はギフトの定番だからです。商品をセットとして登録・販売でき、在庫も連動して管理できる仕組みがあると、ギフトシーズンの運用負荷を抑えられます。
メルカートならデジタルギフト対応ECをこう実現できる
メルカートは、ギフトECに求められる機能を備えた国産クラウドECプラットフォームです。贈り先の住所を知らなくてもギフトURLを共有するだけで贈れるカジュアルギフト機能を備えており、受取人は自分で配送先を入力します。デジタルギフトサービスのgifteeとも連携できます。
のし・ラッピング設定、複数配送、依頼主設定、ギフト購入、定期購入など、ギフトECで求められる幅広い注文方法に標準で対応しています。フルスクラッチで一から開発するよりも短期間・低コストでギフト対応を実現でき、受け取りページの体験設計まで含めて自社の世界観で作り込める点が特徴です。ギフト対応可能なECサイト構築を検討している場合は、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
デジタルギフトとeギフト・ソーシャルギフトの違いは何ですか?
三者はほぼ同義で使われる言葉です。SNSやメッセージアプリ経由で贈る側面を強調する際に「ソーシャルギフト」、デジタルデータとして贈る点を指す際に「デジタルギフト」「eギフト」と呼び分けられることが多いですが、機能要件としては同じものと捉えて問題ありません。
デジタルギフトの市場規模はどのくらいですか?
矢野経済研究所の調査(2026年2月発表)では、国内のeギフト(ソーシャルギフト)市場は2024年に5,050億円(前年比120.2%)、2025年は6,450億円(同127.7%)に達する見込みです。国内ギフト市場全体の伸びが前年比103.4%にとどまる中で、年2割を超えるペースで伸びています。
自社ECにデジタルギフト機能を導入する方法と費用感は?
主な方法は、フルスクラッチでの自社開発と、ギフト対応のクラウド型ECシステムの利用です。フルスクラッチは自由度が高い一方で費用と期間がかかります。クラウド型ECを使えば短期間かつ抑えたコストで導入でき、中小規模の事業者でも始めやすい点がメリットです。
デジタルギフトはシニア層には不向きでしょうか?
やり取りがオンラインで完結するため、操作に不慣れな層にはややハードルがあります。ただしLINEは幅広い世代に普及しており、受け取り手順をわかりやすく案内し、URLの使用期限を明記するなどの配慮を行えば、利用層を広げることは可能です。ターゲット層に応じて導線を設計することが大切です。
まとめ
デジタルギフト(ソーシャルギフト)とは、住所を知らなくてもURLやコードで贈れるギフトの形態で、eギフト市場は2025年に6,450億円規模へ拡大する見込みの成長分野です。法人の謝礼・キャンペーン用途から個人利用へと広がり、EC事業者にとっては新規顧客の獲得と販売機会の拡大につながる施策といえます。
自社ECへの導入はモール出店と自社機能導入の2つの方法があり、手数料・ブランド表現・顧客データ活用の優先度で選び分けるのが基本です。導入時は機能を付けるだけで満足せず、受け取りページの体験と操作性まで作り込むことが、利用率とブランド印象を左右します。需要が拡大するいまだからこそ、ユーザーが気持ちよく使えるかどうかを軸に検討を進めることをおすすめします。