BtoBとは?BtoCとの違いやマーケティングのポイントを徹底解説

ビジネスシーンやEC(電子商取引)の分野において、「BtoB」や「BtoC」といった用語を耳にする機会は多いです。しかし、用語の意味は知っているものの、それぞれの特徴や、なぜ取引ごとに分類されているのかよくわからない方も少なくないでしょう。

 

そこで今回は、ビジネス用語の基礎ともいえるBtoBやBtoCについて掘り下げ、両者の特徴や違い、マーケティングを成功させるためのポイントなどについて解説します。

 

BtoBとは?

BtoBとは「Business to Business」の略で、メーカーとサプライヤー、卸売業者と小売業者、元請け業者と下請け業者など、業務システムのベンダー企業とユーザー企業など、企業間で行われる取引形態のことです。

 

「B2B」と表記される場合もありますが、どちらも読み方は「ビー・トゥ・ビー(あるいはビー・ツー・ビー)」です。

BtoBの特徴

BtoBの特徴として、購買プロセスが複雑であるという点が挙げられます。

 

一般消費者ではなく企業が顧客となるため、商品・サービスの購入されるまでに複数の関係者が関与し、然るべき承認を経て決裁されます。

 

企業同士の取引なので購入までに時間はかかる一方で、商品・サービスの取引単価が高いのも特徴です。一度の取引で膨大な金額が動くケースも珍しくなく、非常に大きな市場規模を誇ります。

BtoB-ECとは?

BtoB(企業間取引)を電子的に行う形態を「BtoB-EC」と呼びます。

 

国内のBtoB-EC市場規模は2022年時点で420兆2,354 億円(前年比12.8%増)にのぼり、EC市場の大部分を占める取引形態です。

 

BtoB-EC市場規模

※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.9(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

 

すべての商取引におけるECの占める割合を示す「EC化率」も37.5%(前年比1.9ポイント増)と、年々存在感を増しつつあるのがわかります。

 

企業から一般消費者に向けた取引形態である「BtoC-EC」の国内市場規模は22兆7,449億円であることからも、BtoB-ECの市場規模の大きさがうかがえるでしょう。

 

BtoB以外の取引形態

取引の形態はBtoBの他にも、前述のとおり「BtoC」と呼ばれるものをはじめ、さまざまな種類があります。代表的な取引形態の種類と特徴は、以下のとおりです。

BtoC

BtoCは「Business to Consumer」または「Business to Customer」の略で、企業と消費者間の取引のことです。「B2C」と表記される場合もあります。

 

具体的には、店頭での買い物や飲食店での食事、旅行など、日頃から個人的に利用しているものは全てBtoCです。

 

BtoC-EC市場規模

※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.7(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

 

ECの分野におけるBtoCは「BtoC-EC」と呼ばれます。Amazonや楽天市場といった消費者向けのネットショップ、動画・音楽配信サイトなどがBtoC-ECの例です。

 

先にも触れましたが、国内のBtoC-EC市場規模は2022年時点で22兆7,449億円となっています。

CtoC

CtoC(C2C)とは「Consumer to Consumer」または「Customer to Customer」の略で、個人間で行われる取引を指します。

 

CtoCサービスの例

CtoCの代表的なサービス

 

ネットオークションやフリマサイトなどがその代表例で、市場規模はBtoBやBtoCと比較すると小さいものの、インターネットの普及により近年急速に発展しているビジネスモデルです。

 

CtoC-EC市場規模

 

※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.8(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

 

2022年時点のCtoC-ECの市場規模は2兆3,630億円となっており、前年と比較して6.8%の伸び率となっています。

DtoC

DtoCとは「Direct to Consumer」の略で、メーカー企業が仲介業者を一切介さず、直接消費者に商品を販売するビジネスモデルのことです。

 

DtoCのイメージ図

 

DtoCが注目されるようになったのは、ECサイトの存在が大きく関わっています。従来は卸売業者や小売業者の販売力に頼らざるを得なかった メーカーが、自社でECサイトを立ち上げ、直接消費者に商品を販売できるようになったのです。

 

また、インターネットやSNSを活用することで、マーケティングも比較的安価に行える点も、DtoCが注目されている背景にあります。

   

クラウドECメルカートを利用しDtoCモデルを導入した企業様へのインタビュー記事

DtoCの事例 吉野家 DtoCの事例 極洋 DtoCの事例 AGC

BtoE

BtoEのEは「Employee(従業員)」の略で、企業が従業員に対して商品やサービスを提供する形態です。

 

社員食堂やオフィスコンビニ、社員向けの物販などが例として挙げられます。取引ではなく、福利厚生の意味合いが強いです。

BtoG

BtoGのGは「Government(行政)」の略で、企業と行政間で行われる取引を指します。企業が官庁や市役所に対してオフィス用品を販売したり、公共事業としてサービスや商品を提供したりするケースがBtoGの例です。

 

ECの分野においては、電子入札がBtoGに該当します。

GtoC

GtoCは、行政と消費者間でのサービスのやり取りを指す用語です。

 

住民票や戸籍謄本などの各種書類の申請や、e-Taxと呼ばれるインターネット上で確定申告が行える行政サービス、ふるさと納税などがGtoCにあたります。

なぜ取引形態で分類するのか

ここまで紹介してきたBtoBやBtoC、BtoGなどの用語は、取引相手の種類別にビジネスモデルを分類するものです。

 

このように、取引相手が誰なのかという視点でビジネスを分類する理由はどこにあるのでしょうか。

商品が異なる

取引相手によって、取り扱う商品やサービスが変わる点が、取引別に分類する理由として挙げられます。

 

BtoBの場合は原材料やパーツ、社内で使用するツールなどが多く扱われますが、BtoCで主に扱われるのはそれらの材料を組み合わせて作られた完成品です。

 

BtoB商材とBtoC商材の比較図

 

また、同じ商品でも、取引相手によって異なる特徴を打ち出すケースがあります。

 

例えば、一般消費者向けの自動車ならばカラーリングやインテリア、オプションパーツなどで他社との差別化を図ります。一方で、企業向けの業務用自動車の場合、派手な装飾は必要ありません。コストや丈夫さ、使い勝手など、より実用的な面が重視されます。

マーケティングの手法が異なる

企業にとっての最重要課題が利益の追求である以上、BtoBで重視されるのは「商品やサービスが自社にどれほどの利益をもたらすか」という一点です。

 

そのためBtoBにおいては、商品の機能や費用対効果を正確に数字で表現し、訴求していく必要があります。

 

一方で、BtoCでは機能面やコストといった合理性が、購入の決め手になるとは限りません。消費者は商品のブランドやデザイン以外に、「好きなタレントが使っているから」といった、その時の感情や感覚によって購買を決定することもあります。ブランド力を高めたり、感情に訴えかけたりするマーケティング手法が求められるのです。

意思決定者が異なる

企業と消費者では、意思決定者と意思決定までのプロセスが異なります。

 

企業における最終意思決定者は、組織のトップである社長や部門長ですが、その前に担当者が複数の商品を比較し、検討を重ねた末に上申するというプロセスを辿ることがほとんどです。

 

意志決定に関わる人数や踏む手順が多く、営業にかかる時間も長くなります。

 

その点、BtoCにおける一般消費者の意志決定はシンプルです。家族や周囲の人に相談して購入を決めることもありますが、基本的には意思決定者は本人のみとなります。

昔とは異なるBtoBの購買プロセス

BtoBにおけるマーケティング手法例

 

BtoBのマーケティング手法といえば、従来はテレマーケティングやDMなどが中心でしたが、近年は商品選定の際にインターネットを使って情報収集を行うことも多いです。

 

自社から顧客に対して積極的にアプローチする従来の販売方法を「発信型(アウトバウンド)」、自社サイトやSNSなどに情報を掲載して顧客に見つけてもらう近年主流になりつつある販売方法を「着地型(インバウンド)」と表現することもあります。

 

従来の発注書を使った注文とBtoB-ECを導入した場合の比較図

 

また、受注業務が以前と変わりつつある点もポイントです。

 

従来の企業間取引といえば、電話やファックスによるアナログな方法が主流でした。

 

しかし、人手不足の解消や働き方改革の機運が高まり、スマートフォンやパソコンが普及したことも重なり、業務効率化のために企業間取引をECサイトやEDI経由で行う企業が増えてきています。

BtoBマーケティングを成功させるポイント

前述のとおり、取引相手が変わると商品や意思決定者も変わるため、効果的なマーケティングを行うためのポイントも異なります。特に比較されることが多いBtoBとBtoCにおいて、それぞれどのような点を意識すれば、マーケティングを成功させることができるのでしょうか。それぞれのポイントをご紹介します。

BtoBのポイント1:顧客の特徴やニーズを理解する

BtoBは企業同士での取引になるため、ターゲットとなる企業の規模や事業内容、課題などを正確に把握する必要があります。その後、ターゲットとなる企業が抱えている課題は何か、それを解決するためにどのような商品・サービスを提供すれば良いのかを割り出すことも重要です。

 

顧客のニーズを把握しておけば、購入までのプロセスを判断しやすくなり、マーケティングを効率的に行えます。

BtoBのポイント2:具体的な機能や効果を明示する

BtoBでは、複数の関係者が多角的、論理的に商品を選定するため、抽象的な表現や回りくどい説明は意思決定の邪魔になります。マーケティングを行う際は、具体的な数字を使って、機能面や費用対効果を明示することが重要です。

 

また、自社の強みも明確にしておきましょう。競合他社にはない自社商品やサービスの強みを紹介すれば、顧客に選ばれる可能性も上がるはずです。

BtoBのポイント3:適切なタイミングで情報やサービスを提供する

顧客のニーズを理解していても、適切なタイミングで情報やサービスを提供できないと、取引成立には結びつきません。

 

あらかじめインターネット上にコンテンツを提供しておき、相手企業に的確かつ最適なタイミングで商品導入のメリットを知ってもらうインバウンドマーケティングも重要です。顧客に有益なコンテンツを提供することは、信頼関係の構築にもつながります。

 

また、MA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)ツール を利用することで、見込み顧客の興味関心や行動履歴を把握しやすくなります。

 

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BtoCにおけるマーケティングのポイント

BtoBとBtoCでは、マーケティングで意識すべきポイントが異なります。

 

たとえば一般消費者の場合、購買を決定する際に合理性が重視されるわけではありません。その時の感情や流行で購入する場合もあり、購入までの検討期間も短いことが多いです。

 

そのためBtoCのマーケティングでは、ブランディングやイメージ広告といったターゲットの感情に訴えかける施策と、消費者が欲しいと思ったタイミングで購入できるような仕組みが必要になります。

 

一般消費者の意思決定には「口コミ」も強い影響を及ぼすので、レビューマーケティングやSNSマーケティングも効果的です。

 

また、一度商品を購入してくれた顧客のリピート購入を促す施策も重要です。ポイントやクーポンの付与、定期購入で10%オフなど、顧客を取り込む施策も重要になります。

まとめ

取引相手が企業のBtoBと一般消費者向けのBtoCでは、意思決定者や意思決定プロセスなど多くの点で差異が見られます。

 

これらの違いを知っておくことは、販売戦略を立てるうえで重要です。

 

取引相手に合わせたマーケティング施策を検討し、ビジネスの成長を目指しましょう。

 

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この記事の監修者

株式会社エートゥジェイマーケティング責任者座間 保

2007年に㈱エートゥジェイの創業に参画し2009年に独立。マス媒体以外のトリプルメディアを活用した一貫性のあるWeb戦略立案・戦術プランニング・実行・分析・改善に携わる。結果を重視した戦略的なECサイトやオウンドメディア構築を行う。WebメディアやWeb関連事業の起業を3度経験した、シリアルアントレプレナー。2017年に㈱エートゥジェイに出戻り、マーケティング部門を統括している。

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