ペルソナ設計とは? ECサイトにおけるペルソナ設定の重要性を詳しく解説

通販サイトやネットショップをはじめとしたECサイトを運用する上で、効率的に顧客に商品を訴求するためには、ペルソナ設計が重要です。

ここでは、企業の担当者が新たにECサイトを展開する上で知っておきたいペルソナの基礎知識や設計時の注意点など、詳しくご紹介します。

   

ECサイトでは対象の選定が必須

あなたが企業の担当者で、これからECサイトの運営を展開するならば、まず対象の選定、つまり「誰に対してモノを売るのか」を明確にしなければなりません。

 

企業としては、世の中にいる人すべての人に商品を売りたいものです。しかし、メインターゲットを選定し、まずそのターゲットを獲得しなければ、そもそもすべての人に商品を売ることはできないどころか、その野心とは裏腹に誰も商品を買ってくれない中途半端なECサイトとなってしまいます。

 

ECサイトにおける「ペルソナ」とは

Webマーケティング、特に通販サイトやネットショップの運営を経験したことがある方なら「ペルソナ」という言葉聞いたことがあるかもしれません。

 

「ペルソナ」とは、もともとはギリシア語の「persona」由来し、演劇において「仮面」を意味する言葉です。それが転じて、「人」や「人格」などを指す言葉として使われるようになりました。

ちなみに、心理学でも「ペルソナ」という言葉は使われており、そちらでは「人の外的側面」という意味を持ちます。

 

ECサイトのマーケティングにおける「ペルソナ」は、サービスや商品を利用購買する顧客の中で「最も象徴となる利用者の人物モデル」を指します。

ペルソナは対象を選定する際に必要になる要素で、特定の製品やジャンルに特化したECサイトの運営においては、ペルソナを設定することは特に重要です。

 

ペルソナとターゲットの違い

最も象徴となる人物モデルという意味を持つペルソナは「ターゲット」と使い方が似ていますが、意味は異なります。

 

マーケティングにおけるターゲットとは、通常は人物モデルを一つの層として捉える考え方です。例えば「40代 サラリーマン」や「30代 OL」などが、ECサイトのマーケティングにおけるターゲットに当たります。

 

語弊があるかもしれませんが、もう少しかみ砕いて説明すると、ターゲットは設定する人物像に多少幅を取っています。そのため、ペルソナというフレームワークを知らなくとも、実際ターゲットの選定までは多くの方がされているのではないでしょうか。

 

ペルソナを設定する際に必要な項目

ペルソナというのは、ターゲットより詳細で細分化された人物像です。例えば、ターゲットマーケティングでは「40代 サラリーマン」と設定するだけですが、ペルソナマーケティングでは以下のように人物像を設定します。

 

・性別

・職業

・年齢

・地域

・年収

・役職

・家族構成

・趣味

・生活スタイル

・健康

・所有デバイス

 

ペルソナを設定する際に必要な項目

 

上記はあくまでも一例です。販売する商品やサービスによっては、必要な設定項目を追加したり、より詳細にしたりする必要があります。

 

ECサイトで「ペルソナ設定に意味はない!」は本当?

こんなに細分化してしまっては、ネットショップで商品が売れなくなってしまうという不安を持つ方々も多いようです。

実際、ECサイトでは「ペルソナの設定なんて不要で意味がない」「売れる対象を狭めているだけだ」という、ちょっと乱暴な意見を耳にすることすらあります。はたして本当にそうなのでしょうか?

 

すべての消費者に対して画一的な手段を用いる「マスマーケティング」が、あらゆる局面において正義であるというのは、趣味趣向が細分化された現在では限界を迎えつつあります。

 

大量消費・大量生産・情報の圧倒的露出を前提としたマスマーケティングが決して悪という訳ではありません。実際に大きな面・フィールドをとれる可能性は十分にありますが、マスマーケティングの実施は莫大な予算を前提としています。

 

「誰にでも」「どんな人にも」がマスマーケティングならば、「あなた」に対して訴求する、その第一歩がペルソナの設定です。明確なペルソナ設定は、「ユーザー目線のECサイト」を作ることにもつながるのです。

 

ペルソナを設定するメリット

ECサイトの運営において、ターゲットを選定するにとどまらず、ペルソナデザインを設定することには、次のようなメリットがあります。

 

ユーザーの視点でサイト構築を行える

具体的な情報まで設定したペルソナは、一人の人物が実在しているようなものです。ペルソナが満足するようなサイト運用を行おうとすれば、それはおのずとユーザーのニーズを満たすことにつながります。

また、具体的な氏名や写真、バックボーンを用意することで、箇条書きのデータよりも感情移入しやすく、ユーザーニーズをより感じやすくできる点もメリットです。

 

担当者間での認識の効率化

簡単なターゲットを設定しただけでは、担当者間で認識の齟齬が発生する可能性が高いです。しかし、詳細な情報まで構築しているペルソナなら、対象ユーザーに対する共通理解が容易なので、より効率的・低コストの作業進行が期待できます。

 

ペルソナの具体的な作り方

ペルソナに必須の項目を設定するためには、実在の人物を分析することが大切です。ここでは、ペルソナの具体的な作り方をご紹介します。

 

アンケートを分析する

ペルソナ設定の際、多くの場合でターゲット層は決まっているのではないでしょうか。

そのため、ターゲット層に当たる人たちにインタビューやアンケートを実施したり、既存のアンケート結果を分析したりしてみることで、ユーザーの行動や考え方をより具体的に考察することが可能です。

 

アクセスを解析する

実際にサイトを訪れているユーザーのアクセスデータを解析するのも有効です。アクセス解析ツールを使用すれば、ユーザーがアクセスした時間や利用しているデバイス、何をクリックしたかなどを分析し、ペルソナ設計に活かすことができます。

 

ペルソナ設計の例

ペルソナ設計の簡単な例をあげてみましょう。

あなたは40代のサラリーマンです。仕事が忙しく、夕食は毎日23時過ぎという生活。そんなライフスタイルのせいか、お腹がぽっこり出てきてしまい、現在ダイエットに大変興味があります。

 

そんな時、たまたま見つけた通販サイトに以下の3種類のキャッチコピーがあった場合、あなたはどの商品を選びますか?

 
  1. A)どんな人にも、老若男女に効果がある〇〇ダイエット食品です
  2. B)ランニングの効果を爆発的に高める、アスリート志向の〇〇ダイエット食品です
  3. C)仕事が忙しく深夜に食事をとる方向け! ビジネスマンの味方〇〇ダイエット食品です
 

ペルソナ設計の例

 

へとへとになって仕事から帰ってきて深夜に食事をとり、運動なんてとてもじゃないという方であれば、Cを選ぶケースが多いのではないでしょうか。

また、活力にあふれ、どうしてもあと1か月で痩せたい、仕事で帰宅が遅くなってもランニングをして早く何が何でも痩せたい! という方であれば、C、もしくはBに心が奪われることでしょう。

 

このようにWebサイトの読み手、訪れたユーザーに「自分のことだ!」「自分に向けた商品だ!」と思ってもらえれば、現在の趣味趣向が細分化されたユーザートレンドにマッチした通販サイトを展開することができます。

 

「みんな」「誰でも」という売り方自体は、決して間違いではありません。しかし、前述通り趣味趣向が細分化されやすい傾向にある今日では、ペルソナを設定することが非常に効率的で有利に働くのです。

 

ペルソナ設定の注意点

予算規模や期限、人的リソースなど、新規事業・新規通販サイトには制限がつきもので、すべて理想通りに進めることは困難ですが、そのような中でも可能な限りペルソナ設定は詳細に行う必要があります。

限られた時間の中で、ペルソナを設定する際の注意点としては、以下のことがあげられます。

 

可能な限り事実に基づいてペルソナを設定する

ペルソナを設計する際は、思い込みやイメージを反映するのは避けなければいけません。

 

職人的な勘やセンスが活かされる場合もあるでしょうが、実際にアンケートをとったりアクセス解析を用いて数字を分析したり、データに基づきペルソナを設定すれば、ぶれない骨太のペルソナを設定することが可能です。

 

イメージで設定したペルソナがすべて誤っているわけではありませんが、事実に基づいたペルソナを設定すれば、自社の通販サイトによりマッチしたユーザーをもたらしてくれる可能性が高まります。

 

ペルソナを必要に応じてアップデートする

Webマーケティングの世界では、変化はつきものです。当然ながらECサイトにおけるペルソナもアップデートしなければなりません。

 

非常にわかりやすい例としては、15年前に設定した30代OLのA子さんというペルソナ。ネット通販を積極的に活用しPCから商品を購入することを好んでいました。

実際、15年前の8割以上のユーザーはPCから商品を購入してくれていましたし、それが事実であり、何の問題もありませんでした。

 

しかし、現在の30代のOLは、大半がPCではなくスマホから商品を購入しているという統計があります。にもかかわらず、企業側としてPCのECサイトしか用意していなければ、当然そこにミスマッチが起こります。そのECサイトはユーザーからすれば使い勝手が悪く、その結果ユーザーが離れてしまうこともあるでしょう。

 

このようなことも起こり得るので適切にペルソナのアップデートは行う必要があります。

 

BtoCとBtoBで設定が変わる

BtoC、BtoBなど、マーケティングの種類にかかわらず、ペルソナ設定は重要な役割を持ちます。しかし、両者には購買プロセスに決定的な違いがあるため、設定方法を変えなければいけません。

 

例えばBtoCでは、ライフステージやプライベートな情報を設定し、人物像を作り上げていきます。

一方、BtoBにおけるペルソナ設定では、人物の基本情報に加えて、業務上の目標や課題、所属している企業の情報が必要です。また、購買決定には複数人の担当者が携わるため、その人数分のペルソナを設定しなければいけません。

 

このように、ペルソナはターゲットユーザーや取引の形態応じて、適宜設定方法を考える必要があるのです。

 

ECサイトのマーケティングにおいてペルソナ設定は重要

ECサイトをはじめるにあたって、訴求したいユーザーを明確化するペルソナ設定は非常に重要な要素です。どのようなサービスを行えばユーザーニーズを満たせるのかを考えることで、顧客満足度を上げることにつながります。

ターゲットを定めるだけでなく、ペルソナを設計して都度修正することで、マーケティングの質をより高めましょう。


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この記事の監修者

株式会社エートゥジェイマーケティング責任者座間 保

2007年に㈱エートゥジェイの創業に参画し2009年に独立。マス媒体以外のトリプルメディアを活用した一貫性のあるWeb戦略立案・戦術プランニング・実行・分析・改善に携わる。結果を重視した戦略的なECサイトやオウンドメディア構築を行う。WebメディアやWeb関連事業の起業を3度経験した、シリアルアントレプレナー。2017年に㈱エートゥジェイに出戻り、マーケティング部門を統括している。

座間
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