越境ECとは?市場規模やメリット・デメリット、必要な準備をわかりやすく解説!

コロナ禍で制限されていた訪日外国人観光客の受け入れが再開され、インバウンド需要が盛り上がりを取り戻しつつあります。

 

そうしたなか、事業者にとって重要性が高まりつつあるのが「越境EC」です。

 

一方で、
「そもそも越境ECとは?」
「越境ECのメリット・デメリットは?」
「越境ECを展開するにはどうすればよい?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、越境ECの基礎知識や市場規模、メリット・デメリットや開始時に必要な準備についてわかりやすく解説します。

 

越境ECを検討している事業者におすすめのサービスや導入事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

   

越境ECとは?

 越境ECとは

 

越境ECとは、国境を越えて行われるEC(電子商取引)のことを意味します。

 

たとえば、国内の事業者が海外の顧客向けにECサイトで商品を販売したり、反対に海外のECサイトで商品を購入して日本に取り寄せたりすることが越境ECに該当します。

 

越境ECの市場規模は拡大を続けており、後述するさまざまなメリットがあることから近年では多くの事業者が越境ECを展開しはじめています。

越境ECが注目を集める理由

越境ECが注目を集める背景には以下のような要因があります。

インバウンド需要の再燃

元々日本製品は世界的に見てもクオリティが高く、海外の消費者から人気がありましたが、越境ECに拍車をかけたのがインバウンドです。

 

来日した外国人観光客が日本で買い物をし、その日本製品を帰国後に使用したり、周囲の知人に口コミで広げたりすることによりリピート需要が高まり、インターネットで手軽に製品を購入できる越境ECの人気に火が付きました。とりわけ、中国人観光客による「爆買い」はインバウンド需要の盛り上がりを象徴するムーブメントだったと言えるでしょう。

 

コロナ禍での訪日外国人観光客の受け入れ規制によりインバウンド需要が一時低迷したものの、2022年6月に訪日観光客の受け入れが再開されたことでインバウンド需要が再燃しつつあります。

急速に進む円安

急速に進む円安も、インバウンド需要および越境ECの加速に影響を与えると考えられています。

 

2019年におけるUSドル/円の年間平均為替レートは1ドル約109円であったのに対し、2023年の年間平均為替レートは1ドル約140円となっています。とりわけ、急速にインフレが進む欧米諸国からの訪日外国人観光客にとっては、日本の商品・サービスは非常にリーズナブルで魅力的に映ることでしょう。

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越境ECの市場規模

次に、越境ECの市場規模について確認していきましょう。

世界の越境ECの市場規模とその推移

越境ECの市場規模
※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.104(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

 

経済産業省が2023年8月に発表した調査結果によると、2021年時点の世界の越境EC市場規模は7,850億USドルと推計されており、2030年には7兆9,380億USドルまで拡大すると予測されています。この間の年間平均成長率は約26.2%と推計され、越境ECの市場規模は拡大を続けていくと考えられます。

EC主要国におけるEC市場シェア

次に、EC主要国における市場規模のシェアを見ていきましょう。

 

EC主要国における市場規模のシェア
※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.103(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

 

上図を見ると、中国の市場規模の大きさが際立っており、全世界のEC市場の50%以上を占めています。第2位はアメリカの18.4%、日本はイギリスに次ぐ第4位で3.1%となっています。

 

上位2ヶ国だけでEC市場シェア68.8%を占めていることからも、越境ECを展開するうえでは中国とアメリカ、とりわけ中国の存在は無視することができないでしょう。

日本・アメリカ・中国における越境EC市場規模

日本・アメリカ・中国における越境EC市場規模
※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.105(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

次に、日本・アメリカ・中国の3ヶ国間の越境EC市場規模を見ていきましょう。

 

2022年における日本の越境BtoC-EC(アメリカ・中国)の総市場規模は3,954億円であり、このうちアメリカ経由の市場規模は3,561億円、中国経由の市場規模は392億円でした。

 

アメリカの越境BtoC-EC(日本・中国)の総市場規模は2兆2,111億円であり、このうち日本経由の市場規模は1兆3,056億円、中国経由の市場規模は9,055億円でした。

 

中国の越境BtoC-EC(日本・アメリカ)の総市場規模は5兆68億円であり、このうち日本経由の市場規模は2兆2,569億円、アメリカ経由の市場規模は2兆7,499億円となっています。

中国で越境ECが拡大している理由

EC主要3ヶ国のなかでも、とくに注目すべきは世界のEC市場シェアの半分以上を占める中国です。

 

中国における越境EC市場規模は年々拡大しており、越境ECの需要が高まり続けています。その背景には高い経済成長率やスマートフォンの普及もありますが、消費者の目が海外製品に向く理由は、中国が抱える国内事情にもあると考えられています。

 

日本のECにおいては、商品が本物であることや商品説明が正確であることが当たり前として受け取られる傾向がありますが、中国においては必ずしもその限りではありません。

 

中国人が越境ECを活用してでも日本の商品を購入したい理由
※出典:経済産業省 令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書_P.116(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

 

事実、経済産業省が発表している「令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書」によれば、中国人が越境ECを活用してでも日本の商品を購入したい理由として、「正規品等、信頼できる先から購入できる」「高品質である」という理由が「国内にないものを購入できる」という理由に次いで上位となっています。

越境ECのメリット

前述のように、越境ECは高い成長率を誇り将来性のある市場ですが、EC事業者にとって越境ECへの参入はどのようなメリットがあるのでしょうか。

商圏の拡大

越境ECのメリットとしては、日本国内に留まらず世界中に商圏を拡大できるという点が挙げられます。日本国内のEC市場規模は世界のEC市場規模の3.1%に過ぎず、越境ECに対応することでより多くの顧客にアプローチすることが可能になります。

 

また、国内市場では競合他社が多く存在し優位性を確立できていない場合でも、国外市場ではまだまだ競合が少ないというケースも考えられます。いち早く国外市場に目を向けることで、効率的に新規顧客を開拓できるチャンスがあるかもしれません。

出店コストの軽減

実店舗を出店するよりもコストを抑えられる点も、越境ECに取り組むメリットと言えます。海外に実店舗を出店するには、現地での市場調査や物件調査、現地スタッフの教育コストや人件費、さらには商品の調達・配送コストなど、さまざまなコストが発生します。

 

その点、ECサイトであれば実店舗の出店よりも労力や金銭的コストを抑えつつ、外国人向けの商品販売を始めることができるでしょう。

越境ECのデメリット

多くのメリットが期待できる越境ECですが、以下のようなデメリットや課題も存在します。

 
  • 配送費などのコスト
  • 国・地域に応じた対応が必要
  • 海外マーケティングのノウハウが必要

それぞれ詳しく確認していきましょう。

配送費などのコスト

越境ECを展開するうえでネックとなりやすいのが、配送費などのコスト面です。

 

国外に商品を配送する場合、当然ながら国内向けの配送に比べて送料が高額になります。商材によっては商品の値段よりも送料が高くなってしまうケースも珍しくありません。

 

もちろん、配送費以外のコストも念頭に置いておく必要があります。越境ECに対応するサイトの構築コストはもちろん、サイト運用やカスタマーサービスを担当するスタッフの人件費なども発生することを考慮しておくことが大切です。

国・地域に応じた対応が必要

越境ECでは、国・地域に応じて異なる対応が必要になるケースが多々あります。

 

たとえば、配送先の国・地域によって輸出入に関する法律や規制は異なります。国際輸送における条約や品目毎に課される関税、そもそも輸入が禁止されていないかなど、ターゲット国の各種法令やルールに対するリサーチは必須といえるでしょう。

 

また、ターゲットとなる国・地域によって主要な決済方法も異なるでしょう。たとえば、アメリカではクレジットカードが主な決済方法ですが、中国ではアリペイなどのQRコード決済が主流です。また、クレジットカード決済が普及していない国も少なくありません。

海外マーケティングのノウハウが必要

越境ECで売上を伸ばしていくには、その国・地域の特性に応じたマーケティングに取り組む必要があります。

 

たとえば、多くの国では検索エンジンと言えば「Google」が主流ですが、世界最大のEC市場規模を誇る中国においては「Baidu(百度)」がもっとも利用されています。また、日本やアメリカと比べ、中国ではマス広告よりもインフルエンサーの影響力が大きいと言われているなど、国・地域によって最適なマーケティング戦略は異なります。

 

そのため越境ECを成功に導くには、海外マーケティングのノウハウが必要不可欠だと言えるでしょう。

越境ECを始める際に必要な準備

越境ECを始める際に必要な準備

 

越境ECを始めるにあたり、どのような手順が必要か具体的にご紹介します。

商材を決める

まずは販売する商材を絞り込むところからスタートします。

 

海外で人気が出そうな商品や、入手困難な商品などがその候補になるでしょう。対象の商材は輸出入の際に特別な手続きが必要か、航空便の利用が可能かといった点を考慮することも大切です。

ターゲットを決める

次にターゲットとする国や顧客層を決めます。越境ECは世界中のあらゆる国・地域が対象になりえますが、ターゲットが絞り込めていないと施策が分散してコストも余計にかかってしまうため、対象を広げすぎるのはおすすめできません。

 

ターゲット国の法律や嗜好、国民性に合わせた対応を行えるよう、まずはターゲットを絞ってスタートするのが肝要です。

出店方法を決める

越境ECを出店する方法にはさまざまな種類があります。例えば、自社で独自ドメインを用意して越境ECに対応したECサイトを構築する方法や、現地のECモールに出店するという方法が一般的です。

 

自社で越境EC対応のサイトを構築する場合は、構築費用をはじめ、サーバーや在庫をどこに抱えるのかなどを考える必要があります。

 

現地のECモールとしては、中国企業を例に挙げるとアリババグループが運営する天猫商城(Tmall)や、京東商城(JD.com)などが有名です。利用する場合は出品料がかかり、出品が限られていることもありますが、現地の決済方法などを簡単に利用することができます。

 

いずれの方法を選ぶ場合でも、現地の市場調査を綿密に実施し、自社の商材に合致した出店方法を選択することが重要です。越境ECを成功させる上で重要となる、現地の市場調査を代行するサービスを提供しているECベンダーもあるので、そのようなサービスを活用するのも良いでしょう。

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越境ECへの対応ならメルカート

次は、越境EC展開を目指す事業者におすすめのサービスとして、クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」をご紹介します。

越境EC対応のECサイトを構築可能

「メルカート」は、EC構築20年超の実績を誇る国産ECパッケージ「ecbeing」から生まれたクラウドECプラットフォームです。

 

「ecbeing」の充実の標準機能をクラウド上で利用でき、ECサイトの構築はもちろん、集客やファン化まで一気通貫で実現することができます。

 

タグを1行追加するだけで越境EC対応を可能にする「WorldShopping BIZ」との連携が可能なので、手間をかけることなく越境ECを実現することができます。

 

そのほかにもさまざまなオプション機能や外部ツール連携を用意しているので、お客様の目的にあったECサイトを構築可能です。

豊富なノウハウで越境ECをサポート

「メルカート」の特徴として、充実のサポート体制を挙げることができます。

 

サイト構築から運用開始後までお客様に寄り添いサポートを行い、EC事業の成長に向けて伴走いたします。

 

世界最大のEC市場を誇る中国向けの販売戦略やインフルエンサーを活用したプロモーションなど、越境ECならではの課題に対してもトータルでサポート可能ですので、はじめてECに取り組む事業者の方でも安心です。

越境ECを見据えたメルカート導入事例

最後に、越境EC展開を見据えてメルカートを導入した企業事例をご紹介します。

 

昆布茶や佃煮などの製造販売を手掛ける不二食品株式会社は、2021年7月にメルカートを導入して自社ECサイト「不二食品公式オンラインショップ」をオープンしました。

 

同社ではかねてよりECモールを利用してEC事業を展開しており、コロナ禍で実店舗の売上が減少した一方でECモールでの売上は伸長。そこで、会社方針としてEC事業を強化することが決定し、ECモールの運営に力を入れつつ、公式オンラインショップの構築に着手することとなりました。

 

また、同社は将来的な越境EC展開を見据えており、サービス選定においては越境ECへの対応が重要なポイントに。最終的には、越境ECに対応可能な点や豊富な導入実績、優れたデザイン性を評価し、「メルカート」の採用に至りました。

 

2021年7月、同社は「メルカート」で公式ECサイト「不二食品公式オンラインショップ」をオープン。徐々に認知が広まり、会員向けキャンペーンを実施して新規会員の獲得に成功したほか、過去最高の売り上げを記録するなどEC事業の成長を実感されています。現在は内製化を進めてECのノウハウ獲得に努めるなど、将来的な越境EC展開に向け着実に歩みを進めています。

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まとめ

今回は、注目度が増す越境ECに焦点を当て、その概要やメリット・デメリット、おすすめのサービスをご紹介しました。

 

コロナ禍で制限されていた訪日外国人観光客の受け入れが再開され、越境ECの重要性はますます高まることが予想されます。

 

記事内でご紹介した「メルカート」は、越境ECに対応するECサイト構築はもちろん、売上を伸ばしていくためのトータルサポートが可能です。越境EC展開を検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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メルカート事業責任者 / 執行役員渡邉 章公

2010年に株式会社ecbeingへ入社。エンジニアとして様々なクライアントのECサイト構築支援に従事。2016年よりSaaS型のECプラットフォーム構築に参画し、2018年に新サービス『メルカート』を立ち上げ。2020年にグループ会社のエートゥジェイへ事業と共に転籍し、執行役員に就任。

渡辺

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