年間3,000万人の潜在顧客を獲得せよ!インバウンド需要から始める多言語EC戦略とAI翻訳

株式会社エートゥジェイとWIPジャパン株式会社は、2023年10月19日(木)に、越境ECに興味があるEC担当者を対象とした共催Webセミナー『年間3,000万人の潜在顧客を獲得せよ!インバウンド需要獲得から始める多言語EC戦略とAI翻訳』を開催しました。本記事ではその概略をレポートいたします。

   

セミナー登壇者

  • WIPジャパン株式会社
    代表取締役社長
    上田 輝彦

    福井出身。上智大学(法学部)在学中、欧州各国や中国等を跋渉、その後、住友銀行(大阪)、英国ケンブリッジ大学大学院留学(歴史学部)を経てWIP創業。オリンピック関連調査を端緒として、多言語および海外市場を対象にした事業のみに特化し現在に至る。「グローバルビジネスほど面白いものはない」が信条。

    上田氏写真
  • 株式会社エートゥジェイ
    メルカート事業責任者 / 執行役員
    渡邉 章公

    2010年に株式会社ecbeingへ入社。エンジニアとして様々なクライアントのECサイト構築支援に従事。2016年よりSaaS型のECプラットフォーム構築に参画し、2018年に新サービス『メルカート』を立ち上げ。2020年にグループ会社のエートゥジェイへ事業と共に転籍し、執行役員に就任。

    渡邉写真
 

メルカートサービス紹介

AIシュリーマンセミナーレポ図版1

 

株式会社エートゥジェイは、ECやCMSを駆使して、お客様のEC事業やマーケティング事業のご支援を行っています。グループにはecbeingやReviCo、visimoなど、EC事業領域を支援するサービスを持つ会社が多く、HDグループ全体でお客様のビジネスを支援しています。

 

我々が提供しているメルカートというサービスは、ECの中にCRMが搭載された、集客と顧客分析に強いカートシステムです。ECカートのなかでも非常に機能が豊富で、マーケティング施策を回しながらECを成長させていくことができるプラットフォームです。

特にサポート体制が厚く、ECを立ち上げようと思っているお客様や、EC売り上げをさらに成長させていきたいお客様に好評を得ているカートシステムです。

 

AIシュリーマンセミナーレポ図版2

 

導入ユーザー様の一例として、渡辺製麵様やリンガーフーズ様、アシックス様、コクヨ様、今治繊維リソースセンター様など非常に有名な企業様にもご利用いただいています。また、大手企業様だけでなく、大小問わずさまざまな企業様にご利用いただいているサービスです。

メルカートの特徴

AIシュリーマンセミナーレポ図版3

 

メルカートは、豊富な機能が特徴的ですが、特に注力しているのがCRMやマーケティング機能であり、さらに専門のサポートチームがしっかりと支援させていただいています。

サポートチームの分類としては、ヘルプデスクやカスタマーサクセス、マーケティング支援チームなどがあります。このような伴走体制をご用意し、お客様のフェーズに合わせてシステムと人で価値を提供しています。加えて、高いセキュリティ基準を誇っており、さまざまなお客様に「セキュリティが強い」とご評価をいただいています。

メルカートで実現できるCRMの全体像

メルカートで実現できるCRMの全体像図版

 

昨今、EC事業者がどのようなところに注目しているのかをお伝えします。

図の左側がECのシステムやCMSなどのオウンドメディア、右側がより戦略的なタッチポイントを強化していくマーケティングツールになっています。

 

ECの初期フェーズでは、ECサイト上での接客をどれだけ強化できるかというところに注目が集まります。レビューをたくさん集めてより信頼性の高いコンテンツをサイト上に出していくReviCoや、Instagram上のユーザー投稿(UGC)をECサイトと連携して、接客のコンテンツとして使っていくvisumoなど、メルカートでも接客を強化するマーケティングツールの利用が可能です。まずはEC内のCMSや、あらゆるツールを駆使してECサイト上でのコンテンツを充実させていくことに注目して事業に取り組んでいる事業者も多いのではないでしょうか。

 

さらにECサイトの利用顧客が増えてくると、そのようなお客様をリピートさせるために「サイトに来ていただいたお客様をどれだけファン化できるか」という視点に変わってきます。その際、ECサイト上でユーザーを分析し、CRMを強化していくことが重要です。そのようなファン化施策の中でポイントとなる視点が「顧客理解」です。お客様をより深く知り、そのお客様に最適なコンテンツを提供できるか、が戦略のカギとなります。

CDPの役割

分析を高度化させ、より良い最適なコンテンツを出していくために、活用が進んでいるのがCDPです。

 

CDPの役割図版

 

CDPとは、Customer Data Platformの略称で、顧客データを集めて分析・可視化することを得意としています。ECや基幹システムなどに蓄積された顧客データをCDPに集約し、データをつなぎ合わせてより定量的な顧客理解を図ります。さらに、レビューやUGC、それらにまつわるデータなどもCDPに集めることによって、定性的な視点も補完しながら分析していくことが可能です。

 

このような定量的・定性的な両面のデータを集める、分析することで、これまで把握しきれてなかった解像度の高い顧客理解が進みます。最近はこのようにCDPを使って分析を強化していきたいというニーズが非常に増えています。

 

今ECサイトを利用しているユーザーを理解することは、類似した潜在顧客の発掘にもつながります。新たなお客様の獲得や、ファン化させていくプロセスの中で、CDPは非常に重要な役目を果たします。

CDPを活用したCRMの仕組み

CDPを活用したCRMの仕組み図版

さらに、CDPで得られた顧客像やセグメントを踏まえて、最適にタッチポイントを創出していくことでCRMに繋がります。

 

分析データを使って、親和性の高いユーザーセグメントを見出し、ダイレクトにオファーをかけていくことによって施策効果が高まり、コンバージョンの創出やファン化につながりします。

 

最適なCRMを実現するために、まずはCDPで顧客理解を深めていくというのが、昨今のトレンドでもあります。

 

ここまで顧客理解の話をさせていただきました。今回のセミナーは多言語やAIがテーマですが、来ていただくお客様にユーザーファーストなコンテンツを提供できるか、という視点では、顧客理解と密接に関連しています。

国内のECの市場成長性

国内EC成長率の図版

 

左のグラフは、国内のECの市場成長性を表しています。BtoCの市場では、物販分野が成長を牽引して、前年比で9.9%増えています。EC化率も前年比から0.35増えて、9.13%と成長を見せています。コロナによって一度サービス分野が収縮しましたが、そこを物販分野が牽引する形で毎年伸びています。

 

加えて、右側は越境ECの状況です。中国の消費者が日本の商品を越境ECによって購入した金額規模は前年比から5.6%増えています。また、アメリカからの越境EC購入額も6.8%増えています。

 

国内の市場規模も増えていますが、最近はさらに商機を増やしていくために、海外に注目する流れになっています。

訪日外国人動向

ECの方程式

 

続いて、訪日外国人動向についてです。

 

左側のグラフは、訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移です。2019年までは年間3,000万人の外国人が日本を訪れていました。そこから3年間はコロナの影響でぱたりと止まっています。そして、2023年になって急速に回復しています。7月時点のデータでは、1,000万人を超えています。おそらく今年中に2,500万〜3,000万人が日本に訪れる見込みです。

 

国の政策では、2030年までに年間で6,000万人の訪日外国人を目指すという発表がされています。急速に回復する訪日外国人のお客様に、いかにユーザーファーストなコンテンツ提供ができるかがこれからの戦略のポイントです。

 

右側の図は、旅行・観光産業開発指数ランキングです。これは、一般的に国の魅力度ランキングといわれています。世界経済フォーラムが出している指標で、交通のインフラや利便性を含めて国をスコアリングしています。

 

実は、日本は2021年に世界ランク1位を獲得しました。より日本に行きたいという注目度が集まっている状況です。そのなかで、コロナが明けて2023年から急速に人が増え始めています。こういった訪日外国人たちに、戦略的にコンテンツを提供しながら接客していくことが非常に注目されています。

インバウンド需要獲得から始める多言語EC戦略とAI翻訳

アフターコロナ ノットウィズコロナ

中国だけはまだ戻っていませんが、他の国々の観光客は戻っています。コロナの影響はかなり落ち着いてきているので、ウィズコロナではなく、アフターコロナとして取り組んでいくのが良いしょう。

 

ただし今後、5年や10年スパンで世界的な感染症が流行することがあり得るので、その都度観光業は大きな波を受ける可能性があります。つまり、ボラティリティの高い産業になるかなと思いつつも、基本的には観光は最速で最大の成長産業ということです。

日本の安さは円安によりさらに加速

これから訪日外国人は急増していきます。皆さん、最近海外に行かれましたか?アメリカのホテルで朝食をとると、日本のファミレスで食べられるような朝食が今は一人(円換算で)7,000〜1万円ほどします。円安の影響や、もともと日本がこの30年間物価が上がってないという現状があり、海外に比べると日本のモノはかなり安い状況です。そのため、訪日外国人にとって日本は、食べ物もサービスも商品も安く、全てバーゲンセールのような状態になっています。

インバウンドからアウトバウンドへ 観光→輸出販売へ変化

実際に、コロナ期間中のインバウンド業界は壊滅状態になりました。我々のクライアントも外国人を対象にご商売をしているところは本当に壊滅的だったのですが、これから完全復活に入っていくでしょう。

 

そうした中、一番王道なのは、やはりインバウンドで日本の商品やサービスに触れて、彼らが帰国した後に「もう一度欲しい」「もう一度買いたい」「もう一度食べたい」と思ってもらうことです。

 

そして、何度か日本に来て帰国するたびに、「あれを入手したい」「食べたい」「購入したい」と思ってもらうことが大切です。それが最終的には、アウトバンド、つまり輸出につながっていきます。

 

そのため、今日は「インバウンドから始めて最終的な輸出販売につなげる」というテストマーケティング的な位置づけとして、インバウンドを捉えるお話をしていきます。

競争激化というトレンド

ネットの世界では競争が激しくなっています。以前は国内ライバルの動向を見ていれば良かったのですが、そのフェーズはすでに終了し、これからは、「あらゆるもの」について「あらゆる国々」の「あらゆる人々」とネット上で競争する時代です。

 

実際に、日本でネットサービスを提供しているアメリカの企業や海外の企業はたくさんあります。全て海外の企業が日本語化して、現地にサービスを展開している商売です。そのため、日本ももっと海外に出て競争するべきです。そこにはエキサイティングな世界が待っています。

多言語化というトレンド

多言語化トレンド図

 

「多言語化?いやいや、英語化でしょ」「基本的には英語ですよね」と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

 

2020年時点の世界のインターネット人口は46億人で、そのうち英語が12億人、英語以外を使っている人が34億人です。この比率は、ここ10〜20年変わっていません。だいたい4分の1が英語でネットを使っていて、4分の3ぐらいは英語以外の言語でネットを使っています。

母言語を重視するトレンド

母国語シェア

 

世界の母語別人口を1〜10位に並べました。これは同時にネットユーザーの母言語だと思っていただいていいと思います。

 

母国語シェア2

 

11位以降は面白くなります。初めて聞く人もいると思われるパンジャブ語が11位。以降、インドで使用されている言語が並びます。今はあまり注目されてないインドマーケットですが、これから中産階級が生まれると巨大なマーケットが広がります。これは、言語別のマーケットとして捉えるべきです。インドはまだまだ所得が低いですが、これから所得が上がるにつれて巨大なマーケットになるはずです。

 

英語で商売ができるのはBtoBだけです。BtoCは、英語で商売をしようとすると限界があります。日本人が英語で買い物をしないように、基本的には現地語で売らないと現地の人「C(Customer)」は買ってくれません。BtoBは英語ですが、BtoCは母言語がトレンドです。

 

紀元後からのGDP

 

「A history of world GDP」というグラフがあります。紀元後0年から2000年間のGDPの推移を表しています。エンジ色が中国で薄橙色がインドです。グラフからわかるように、1800年代まではインドと中国を足すとだいたい50%くらいのGDPがありました。

 

中国とインドはかなり難しいマーケットではありますが、世界の母言語人口を加味すると今後長期的には徐々に1800年代の比率に戻りつつある歴史になっていくと考えられます。

 

繰り返しになりますが、何でも英語で済ませる時代は終わっています。これからは、母言語や母文化を重視する時代に入っていきます。

多国家化というトレンド

これからまずます国が増えていきます。国連憲章に署名した国は、1945年時点で51カ国でしたが、現在は193カ国に増えています。

 

市場は都市単位

そして、私たちはマーケットを国単位で捉えがちですが、都市単位で考えるべきです。実は都市単位で考えたとき、圧倒的な所得とマーケット、人口の多さは東京圏です。日本は元気がないと言われていますが、都市圏のマーケットを考えたときに、関東圏は世界最大のマーケットです。

 

2位はジャカルタ、そしてデリー、広州、ムンバイ、マニラと続きますが、「所得×人口」という観点でいくと東京が圧倒的だということを改めて、頭の片隅に置いていただきたいです。

 

今後は、こうした変化が急速に進展していきます。そして、どのような分野のどのような規模の会社も、この変化からは逃げられません。そのため、どれだけ本気でこのビジネスのトレンドに乗るかによって、会社や地域の競争力が変わっていきます。

 

これから日本の人口は減少し、ジリ貧になっていき、今後30年間で4,500万人減ります。そのため、日本語だけで商売するよりは、日本語以外でマーケットを作っていったほうがいいのは明白です。このような会社・地域の多言語化、越境化、リモート化、ネット化が日本の競争力を大きく変えると思っています。

提供しているサービスについて

このトレンドのなかで私たちは、「売上の1%を多言語に投資しましょう」とお客様にお伝えをしています。

 

私たちAIシュリーマンサービス

 

私たちの会社では、さまざまなクラウドサービスを展開しています。まずは個人の翻訳者とつなげるようなマーケットサービスで、インバウンド向けにやっているようなサービスです。

 

次に個人の通訳者とマッチングするようなサービス、また、AIの翻訳でECを多言語化するようなサービスもあります。さらに、書籍を北米で出版するためのAI翻訳のスキームを使ったサービスも開始をしています。

 

弊社は、多言語、インテリジェンスでお客様の課題解決に対して提案をする会社です。全体としては、「翻訳したい」「伝えたい」「会議したい」「海外を調べたい」「人のアウトソースしたい」というようなことを事業範囲としています。おかげさまで大手企業様から個人のお客様まで、延べ1万2,000社のお客様とお取引をさせていただいてきました。

 

どのような商売・どのようなビジネスをするにせよ、基本的には変化するこれからの世の中で何をしようかを考えて、それに対して手を打っていくことが大事です。その中でもEC(越境EC)市場は間違いなく、これから成長していく産業だと考えています。

越境EC三大障壁

越境EC三大障壁は、基本的には決済・物流・言語です。決済に関しては、本当に代金回収できるのかという障壁です。最近では、クレジットカードの不正利用も増えてはいますが、決済できちんとお金が回収できるかが重要です。

 

2つ目の物流は、モノがきちんと届くのか、壊れたり、盗まれたりしないのかという問題があります。日本ほど物流の仕組みがきれいに整っている国は少ないです。モノを海外に送っても、途中で配達員が盗んでしまったり、扱いがひどくて壊れてしまったりということが起こります。様々考えなければいけない問題もありますが、今日は言語に絞ってお話をしていきたいと思います。

多言語EC戦略の展開

EC戦略を考えるときに、皆さんの会社の中で、「どの国で」「誰に」「どのように売るのか」という意思統一が必要です。私は、さまざまなクライアント様とお話をしてきた中で、社長さんと現場とで実は認識が違うことがありました。一方では中国がいい、もう一方ではアメリカがいいと思っているケースや、南米に売れるマーケットがあるのではないか、東南アジアの若い人に売れるのではないかなど、それぞれ持っている仮説が会社内でバラバラなことがあります。そのため、一度しっかりと議論して意思統一をする必要があります。販売の対象や手段に関しては、社内の担当の方や代表の方が、最終的に腹落ちするまで議論する必要があります。

対象ターゲット

対象ターゲット図

 

今日のテーマはインバウンドということで、対象ターゲットのカテゴリーとして、在留外国人・訪日外国人・海外(外国人)が挙げられます。

 

実は忘れがちなのが在留外国人です。現在国内に300万人ぐらいの在留・在日の外国人がいます。1位は中国ですが、最近急増しているのはベトナムの方です。ほとんどの方は日本語も通じますが、日本に来たけれど日本語は不得意、読めないという方も増えています。そのため、在留外国人をマーケットにすると、いろいろなテストマーケティングができると思います。

 

対象ターゲットの細分化

新規顧客へのアプローチ図

 

対象ターゲットをさらに細分化すると、上記のとおりです。下に行くほど、モノを売る難易度が上がります。

 

1番の在日の外国人は、日本の国内法のまま販売し、消費税を取る方法でいいので難度が低いです。ターゲットとして検討されるのもいいと思います。

 

2番、訪日外国人についてです。飲食物など日本国内で消費するものは国内法で販売しますが、基本的には日本国内で消費するもの以外は免税扱いをしなければいけないので、フローが変わります。そして、最終的に訪日外国人にモノを売るというのは、基本的には輸出になります。

 

3番、在日・訪日から帰国した人は、彼らが帰国した後に売ると現地法の縛りが入ってきます。また、本人たちが買った場合に本人たちが支払う関税の問題があります。

 

4番、帰国した外国人からいかに口コミを広げられるかという施策が考えられます。帰国後に「これおいしかったよ」「これいいよ」と家族に話すことも多いと思います。実際に家族からの紹介や口コミでないと信用しない国も多くあります。ここの2番から3番、4番へとつなげていく施策が重要です。

 

そして5番目の海外は、最終目標として設定したらいいのかなと思います。自ずと4番の人が増えれば最終的には現地への本格的な輸出につながっていくと考えられます。

多言語対応のECサイトの構築のポイント

多言語化サイト構築ポイント

 

多言語対応のECサイトの構築のポイントを3つ挙げます。

 

まずは言語選択です。自動的にユーザーの言語を判別して選択できるようにします。海外の人が、日本語のサイトに入っても言語選択のボタンがどこにあるのかを簡単には見つけられないですよね。理想としては、自動的にユーザーの言語を判別して選択できるようになるといいなと思います。

 

次に通貨選択です。最初は日本円でいいと思いますが、場合によってはドルの近似値を出すのも良いでしょう。

 

最後にローカリゼーションです。商品説明や利用規約は、国によって内容が変わるので、こちらも厳密に行うと結構奥が深いです。今日はあまりここに関しては深く入りません。

 

グローバルマーケットとの競争力の強化方法

グローバルマーケットとの競争力の強化方法図

 

グローバルマーケットでの強化方法は、SEO対策とSNSマーケティングの2つがあります。

 

まず、世界は大きく2つに分かれます。中国と中国以外です。中国に関しては私たちが使っているようなSNSが使われていないので、ネット上に大きな壁があります。中国と中国以外は大きく違うということを頭に入れておいていただきたいです。

 

基本的には、自社ECと現地のECモール出店を両立してやる方法をおすすめします。最終的には、自社ECで売るのが理想的ですが、日本では有名な商品でも海外ではほとんど知られてない場合が多いです。そのため、日本における楽天のような現地モールに出店しつつ、ブランドの認知度を上げてから自社ECで売る方法をおすすめします。

訪日外国人へのアプローチ

訪日外国人へのアプローチイメージ

 

さて、訪日外国人へのアプローチ方法ですが、まず訪日外国人の人は日本のどこに行くかをどのように決めているのか考えます。その場合に、訪日前・移動中・訪日中・訪日後の4つのステージがあり、そのなかで彼らは情報収集しています。

 

訪日前は、ウェブでいろいろと調べているでしょう。旅行者がまとめているサイトやトリップアドバイザーなど、さまざまなものがあります。

 

一方、来ている途中や来てからどこ行こうかと決めている人たちもいます。移動中に雑誌を見て情報収集をする人も多いので、機内誌や船内誌など移動中に触れるメディアに注目するのもいいと思います。

 

訪日中に関してはいろいろな観点があります。そもそもリアル店舗をお持ちの方とお持ちでない方がいると思います。リアル店舗を持っている方は強みを生かして、自社の店舗にどう引き込むかが重要です。

 

まずは自分のお店の近くで、訪日の旅行客が一体どこに集まっているのかをよく調べてみてください。空港や駅、もしくは自分のお店の近くの観光名所、お店などさまざまな場所があると思います。そこに対して、そこから自分のお店にリードが測れないか、何かしら接点を作れないかを考えてみましょう。

 

訪日中はバスガイドといったランドオペレーターにさまざまな場所を案内してもらう人も多いです。皆さんも経験したことがあると思いますが、あまり行きたくないけど、お土産物屋に連れていかれることがあると思います。そのような拠点になれないか考えてみるのもいいと思います。

 

どのようなところに人が集まり、どのような方法でその人たちを運んでいるのかという観点で、自分のリアル店舗への接点が作れないかを考えてみてください。

 

また、皆さんのリアル店舗に訪日外国人が来たら「なぜここ選んだのか」「どうやってここを知ったのか」確認してみてください。実際に来た人に聞くことで、一体何を見てここに来てくれたのかを把握することができます。それによって、また打ち手を変えることが出来ます。

 

越境ECでは、いかにリアルの店舗に誘導して、帰国後にまた購入してもらえるかが大切です。リピート購入をしていただかないと売上の成長にはつながりにくくなります。リピート購入していただくには、訪日外国人の連絡先を獲得する必要があります。様々な工夫をしている企業がありますので、事例を調べてみてください。

 

私がおもしろいなと思った事例は、キャラクターなどと一緒に写真撮影をし、その写真を共有するためにメールアドレスを記入してもらうという方法です。何かしらのフォローができるような施策が重要です。最終的に彼らが帰国した後、メールで案内し購入してもらい、リピートに繋げるということが大事です。

AIによる翻訳技術の活用

主な機械翻訳サービス

現在の主な機械翻訳エンジンの種類は上記の通りです。

 

主な機械翻訳サービス 2大巨頭

文章の翻訳に関しては、人間の翻訳者に匹敵することもあるDeepLが頭一つ抜けています。

 

Google翻訳はキーワード検索を行うため、固有名詞の単語が非常に優秀とされています。人間の翻訳が100点だとすると、Google翻訳は70〜80点のレベルまで来ています。

 

また、DeepLの翻訳に関しては、日本語の翻訳、英語の翻訳のいずれも80〜85点ほどに到達しており、Google翻訳より5〜10点ほど高い結果が出ています。さらにモノリンガルの校正になりますが、Chat GPTをかけるとさらに5〜10点上乗せが可能です。

 

DeepLやGoogle翻訳は言語の組み合わせによっては、50点や70点もありますが、かなり精度は上がってきています。ただ、DeepLはアジア言語に弱いので、アジア言語に関してはGoogle翻訳を使うことをおすすめします。

 

固有台詞の翻訳精度例

 

余談ですが、鬼滅の刃の主人公の名前を翻訳させると、Google翻訳はきちんと翻訳できました。DeepLでは、誤訳になる状況なので、言語によって使い分けが必要です。

 

また、現場で使う音声翻訳機は、日本のNICTという情報機関が作ったVoiceTraというアプリが非常に優秀です。また、ポケトークもおすすめなので、ぜひ使っていただけたらなと思います。

異文化(未知)との接点

未知のもの、知らない人と接するとき、ドキドキハラハラしませんか。異文化の人たちとの取引は常識が通じないケースもたくさんあります。しかし、このドキドキ、ワクワク、ハラハラが重要です。この感情は何かに似ていませんか。そうです、実は恋愛の感情に似ています。脳科学的にも非常に良いといわれています。

 

そのため、未知との接点を作ることで、「日本語文化では常識だと思っていたけど、そうじゃない」ということをたくさん発見することができます。そのなかで、自分の会社の強みや日本の強み、日本文化の強み、日本の地域の強みが徐々にわかってきます。この点でも越境 ECは非常に脳に良いと思っています。

AIシュリーマンについて

AIシュリーマン主な特徴

 

AIシュリーマンはウェブサイトやECサイトを丸ごとAIが翻訳するようなタイプのサービスです。AIによる自動翻訳(DeepLやGoogle翻訳)を組み合わせています。また、Chat GPTの校正をかけることが可能です。加えて、手動翻訳で最終的にブラッシュアップをすることができるため、「AIだけでは心配・・・」という方に対しては非常に良いサービスです。

 

設定は、メタタグにコードを貼るだけなので、5分で導入が終了します。一旦それで自動翻訳が始まるように設定されています。

 

AIシュリーマン主な特徴2

 

その他の特徴として、実際にブラウザ言語を判別して自動翻訳を行います。仮に英語圏の人が英語のブラウザで見に来た場合には、最初から英語で言語表示をさせます。SNS用の翻訳支援ツールも搭載していますので、X(旧Twitter)やFacebook、Instagramに投稿するような文章も無料で翻訳ができるようになっています。

 

料金は、ページ数で小規模・中規模・大規模に分けています。ご興味のある方はお問い合わせください。

質疑応答

Q.AI翻訳はコストを抑えられるますか?

  • 渡邉 今まで翻訳は、完璧を目指すと人の手間がかかってしまいます。しかし、簡単なツールで済ませると50〜60点の翻訳で終わってしまいハードルが高いなと思っていました。
    AIシュリーマンは、DeepL×Chat GPTでAIの力を使ってさらに点数を上げていくのが強みであり、それに加え、コストメリットもあります。やはり、その点に魅力を感じて採用されている企業様は多いですか?

    渡邉
  • 上田氏 実際にコストも抑えられています。人の校正が入らない場合のケースでは30分の1に圧縮できると思います。ECサイトもウェブも、単純に事実を伝えるページに関しては、AI翻訳だけで十分かもしれません。
    一方で、会社のコンセプトや社長挨拶などの感性的な表現のページでは、最終的には人が校正したほうがいいでしょう。このようにページの分類や切り分けをすることで、かなりコスト削減につながると思います。

    上田氏写真
  • 渡邉 実は別のセミナーで登壇した方が、とある調査結果を話していました。リアル店舗でモノを買う前にネットで情報収集をするかという調査をしたところ、96%の人が口コミを見ているという結果になりました。
    そう考えると翻訳も、商品のスペックを的確に伝えるだけではなく、その先の使った人の信頼性の高い声も翻訳で伝えていくことも今後重要になるはずです。そのため、翻訳の精度も今後さらに注目されるようになると思います。

    渡邉
  • 上田氏 おっしゃる通りです。ただ、口コミの文章はかなり感性的な表現なので、どこまでAI翻訳が対応できるかは内容次第になります。

    上田氏写真

Q.越境ECで注力するページは?

  • 上田氏 食べ物を販売している場合は、やはり日本の処理水の状態はよく説明したほうがいいと思います。
    ただ、中国向けはカントリーリスクもあります。マーケットはもちろん大きいので魅力ですが、一気に中国政府が輸出入を止めることもあるので、中国はそのようなリスクを踏まえて進める必要があります。

    上田氏写真
  • 渡邉 ありがとうございます。中国以外で越境ECを展開する際に、一般的に押さえておきたいページやコンテンツはありますか?

    渡邉
  • 上田氏 法規制のレベルや国や地域によって求められる説明が変わります。
    また、ここでしか買えないというPRは非常に重要です。そういうところの説明や訴求が大切だと思います。

    上田氏写真

まとめ

今回のセミナーでは上田様をお迎えして、グローバルな視点から言語とインバウンドに関して解説していただきました。越境販売の先駆けとして、訪日外国人の普及傾向や行動を十分に理解し、どのようにユーザーファーストなコンテンツを提供していくか、ということは非常に重要な戦略になります。メルカートやAIシュリーマンに関してだけではなく、マーケティング戦術や海外動向など、様々な視点でサポートできるところがあるかと思いますので、お気軽にお問い合わせください。


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