ECの顧客体験(CX)を向上させる方法とは?フェーズ別の施策を解説

「顧客体験(CX)の向上が大事」とよく言われるものの、「何から手をつければいいのかわからない」「施策の優先順位が立てられない」と感じているEC担当者は少なくありません。

 

顧客体験は、ECサイトへの訪問から購入・アフターフォローまで、あらゆるタッチポイントにまたがる概念です。そのため、一部の施策を改善するだけでは全体のCX向上につながりにくいという難しさがあります。

 

本記事では、ECにおける顧客体験(CX)の基本から重要性、カスタマージャーニーの各フェーズで取れる具体的な施策、そしてCX向上を加速するパーソナライゼーション活用まで、実務に役立つ情報を体系的に解説します。

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EC 顧客体験(CX)とは?基本をおさらい

CX(カスタマーエクスペリエンス)の定義

顧客体験(CX:Customer Experience)とは、顧客が商品・サービスを認知してから購入・利用するまでの一連の体験プロセス全体を指します。ECサイトにおいては、広告やSNSでブランドを知った瞬間から、サイト訪問・商品検索・購入・受け取り・アフターフォローまで、すべての接点での体験の総体がCXです。

 

単に「使いやすいサイト」を作ることとは異なり、顧客が感じる感情や印象まで含めた広い概念です。CXが高い状態とは、顧客が各タッチポイントで「心地よい」「また来たい」と感じられる体験が積み重なっている状態を指します。

 

ECサイトにおけるCXの構成要素

ECサイトにおけるCXの主な構成要素は以下のとおりです。

 
  • 認知・集客体験:広告・SNS・検索からの流入時の第一印象
  • サイト内体験:商品の検索しやすさ、ページの見やすさ、読み込み速度
  • 購入・決済体験:フォームの入力のしやすさ、決済手段の豊富さ
  • 配送・受け取り体験:リードタイム、梱包の質、配送通知の丁寧さ
  • アフターフォロー体験:フォローメール、問い合わせ対応、リピート促進
 

これらの接点はバラバラに存在するのではなく、つながり合って顧客のブランドに対する総合的な印象を形成します。どれかひとつが欠けても、全体のCXに影響が出る点に注意が必要です。

 

CXとUX・顧客満足度(CS)との違い

CXと混同されやすい概念として、UX(ユーザーエクスペリエンス)と顧客満足度(CS)があります。

 

UXは主にサイトやアプリなどデジタル製品の使いやすさに焦点を当てた概念であり、CXの一部を構成する要素です。CXはUXよりも広く、オンライン・オフラインを問わないブランドとの全接点を対象とします。

 

顧客満足度(CS)は顧客が体験に対して抱く「満足・不満足」の評価指標であり、CXを測る尺度のひとつです。CX向上の取り組みが進むと、結果としてCSが向上するという関係にあります。

 

ECでCX向上が重要視される理由

競合との差別化が価格から「体験」に移行している

EC市場の成熟化と競合の増加により、商品の品質や価格だけで差別化を図ることが年々難しくなっています。同じ商品でも複数のショップから購入できる現在、顧客が「どこで買うか」を決める基準は、体験の質へとシフトしています。

 

顧客は無意識のうちに「このサイトは使いやすい」「購入後のフォローが丁寧だった」という体験を評価し、次回の購入先を判断しています。CX向上への投資は、価格競争に巻き込まれないための本質的な差別化戦略といえます。

 

リピート率・LTVへの直接的な影響

CX向上がビジネスにもたらす最も大きな恩恵のひとつが、リピート率とLTV(顧客生涯価値)の向上です。快適な体験を通じて満足を得た顧客は「また購入したい」という心理が働き、自然とリピーターへと育っていきます。

 

新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストよりも高いとされており、リピーターを増やしLTVを高めることは、広告費を抑えながら収益性を高める有効な手段です。CX向上はコスト削減と売上アップを同時に実現する取り組みであるともいえます。

 

※関連記事: ECサイトの「リピート購入」を増やすには?リピーター獲得に効果的な施策や推進事例をご紹介!

 

SNS口コミ・UGCへの波及効果

優れた顧客体験を経験した顧客は、SNSや口コミサイトでその体験を発信する傾向があります。現代においてSNSの口コミは購買意欲に大きく影響する情報源となっており、ファンによる自発的な発信はブランドの信頼性向上と新規顧客獲得の両面で大きな効果をもたらします。

 

逆に、ひとつの悪い体験がネガティブな口コミとして広まるリスクもあります。CX向上はマーケティングコストを補完する施策として、経営レベルで取り組む価値があるといえるでしょう。

 

カスタマージャーニー別・CX向上の具体的な方法

CX向上の施策は「どのフェーズの体験を改善するか」によって内容が大きく異なります。ここでは、ECにおけるカスタマージャーニーを4つのフェーズに分け、それぞれで取れる具体的な施策を解説します。

 

①認知・集客フェーズ ─ 最初の接点を磨く

顧客との最初の接点となる認知・集客フェーズでのCXは、その後のサイト訪問・購入行動に直結します。広告やSNS投稿のクリエイティブが顧客のニーズや世界観と合致しているか、ランディングページの内容が広告の期待値を裏切っていないかを定期的に見直すことが重要です。

 

また、SEO対策によってコンテンツ経由での流入を増やすことも、潜在顧客との良質な出会いを生む施策です。問題解決型のお役立ちコンテンツは、顧客の信頼を獲得しながらブランド認知を広げる効果があります。

 

※関連記事: ECサイトの売上を伸ばすには?取り組むべき施策や成功事例をわかりやすく解説!

 

②サイト内体験フェーズ ─ 検索性・UI/UXの改善

サイトに訪問した顧客が「欲しい商品をスムーズに見つけられるか」は、購入率に直接影響します。検索機能の精度向上、カテゴリ設計の最適化、絞り込み機能の充実が基本的な改善ポイントです。

 

加えて、商品ページの品質も重要です。顧客が購入前に感じる不安や疑問を商品ページ内で解消できているか、複数アングルからの画像・動画・サイズ感のわかる写真・レビューの充実度などを見直してみましょう。また、ページの読み込み速度もCXに影響するため、モバイルでの表示速度最適化も欠かせません。

 

③購入・決済フェーズ ─ カゴ落ち防止と決済UX

購入意欲を持ちながらも離脱する「カゴ落ち」は、ECにおける大きな機会損失です。フォームの入力項目の削減・自動入力対応・ゲスト購入の対応など、購入完了までの摩擦を減らすことが優先度の高い施策です。

 

決済手段の多様化も重要です。クレジットカードに加え、AmazonPay・PayPay・後払い決済など、顧客が使い慣れた決済方法を選択できる環境を整えることで、決済フェーズでの離脱を防ぐことができます。また、カゴ落ちしたユーザーへのリマインドメールやポップアップ施策も効果的です。

 

④アフターフォローフェーズ ─ 購入後の体験こそ差がつく

購入後のフォローは、CXの中でも特に差がつきやすいフェーズです。丁寧な梱包・配送通知・購入お礼メールといった基本的な対応に加え、商品が届いた後のフォローアップメールや使い方コンテンツの提供は、顧客満足度を高め次回購入につながる体験を生み出します。

 

問い合わせへの迅速・丁寧な対応も重要です。顧客が不満を持ったときの対応品質がその後のブランドへの信頼感を大きく左右します。チャットボットやFAQページを充実させ、顧客が自己解決できる環境を整えることも有効な施策のひとつです。

 

CX向上を加速する「パーソナライゼーション」の活用

一斉配信メルマガ・LINEの限界

かつてEC事業者のCRM施策の中心であった一斉配信のメルマガやLINEは、その効果が年々低下しています。情報過多の時代において、顧客は自分に関係のない情報を瞬時に取捨選択するようになっており、画一的なメッセージは開封すらされないケースが増えています。

 

「3ヶ月前に購入した顧客に同じ新着情報を送る」「全員に同じクーポンを配布する」といったアプローチは、顧客の期待を裏切り、長期的にはLTVの低下を招くリスクがあります。パーソナライズされていないコミュニケーションは、もはや悪い体験として認識されつつあるのです。

 

データ活用による One to One 体験の実現

顧客ひとりひとりに最適な体験を届けるためには、購買履歴・閲覧行動・属性データ・問い合わせ履歴など、複数のデータを統合して顧客像を把握することが不可欠です。

 

例えば、「3ヶ月前に初回購入した顧客に、そろそろ使い切るタイミングで次回購入を促すメールを送る」「カートに入れたまま離脱した顧客には送料無料クーポンをトリガーとして送る」といった施策は、データを活用した One to One アプローチの典型例です。適切なタイミングで適切なメッセージを届けることが、CXを大きく向上させます。

 

AIレコメンドがCXに与えるインパクト

AIを活用したレコメンドエンジンは、顧客が自覚していない「潜在的な欲しい」を掘り起こす強力なツールです。閲覧・購買履歴をリアルタイムに分析し、その顧客に最も関連性の高い商品を提案することで、回遊率・クロスセル・アップセルの機会が生まれます。

 

さらに近年は、AIが分析・施策提案・実行支援まで一気通貫で行える環境が整いつつあります。担当者がAIの提案をもとに迅速に施策を打ち、その結果を再びAIが学習してさらに精度を高めるサイクルを回すことで、継続的なCX向上と売上アップを実現できます。

 

CX向上に取り組む際のプロセス・ポイント

STEP1: 現状のタッチポイントを整理する

CX向上に着手する最初のステップは、自社と顧客との接点(タッチポイント)を網羅的に整理することです。広告・SNS・サイト内・メール・配送・問い合わせなど、顧客がブランドと接するあらゆる場面をリストアップし、それぞれで現状どのような体験が提供されているかを可視化します。

 

カスタマージャーニーマップを作成すると、全体像の把握と課題の特定がしやすくなります。まずは「どこに問題があるか」を俯瞰して見ることが重要です。

 

STEP2: 顧客調査・NPS計測で課題を特定する

タッチポイントの整理ができたら、顧客の声や行動データをもとに課題を特定します。NPS(ネット・プロモーター・スコア)調査・アンケート・レビュー分析・ヒートマップ解析・直帰率の確認など、定性・定量の両面から現状を把握します。

 

数値データだけでなく、顧客の生の声(VOC)を収集することで、改善すべきポイントが具体的に見えてきます。特に問い合わせ内容や低評価レビューは、CXの課題を把握するうえで重要な情報源です。

 

STEP3: 優先度をつけて施策を実行・改善する

課題が特定できたら、改善効果が高いものから優先順位をつけて施策を実施します。すべてを一度に改善しようとするよりも、特に影響度の大きいフェーズ(例:カゴ落ち率が高い購入フェーズ)から着手することで、短期間で成果を出しやすくなります。

 

ECビジネスの環境は常に変化するため、施策の効果を計測し、データに基づいてPDCAを継続的に回すことが重要です。CX向上は一度で完成するものではなく、顧客の変化に合わせて継続的に改善し続けるプロセスです。

 

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ECの顧客体験向上を支援する「メルカート」

ここまで、ECサイトの顧客体験(CX)向上の方法や施策についてお伝えしてきましたが、CX向上を本格的に取り組むうえでは、データ統合・パーソナライゼーション・CRM施策・運用効率化を支えるプラットフォーム選びも重要な要素です。

 

そこでご紹介したいのが、中堅・大手企業向けのクラウド型ECプラットフォーム「メルカート」です。

 

データ統合とAIが導くEC運用

メルカートの最大の特徴は、バラバラに管理されがちな顧客・在庫・行動・VOCを一つの基盤に統合できる点にあります。

 

統合されたデータに基づき、AIエージェントが詳細な分析、そしてその結果から最適な販売戦略を自動で解析・提案します。

 

さまざまなデータを参照しつつAIがそれらの作業を行うことで、施策は高速かつ高度に実施することにつながります。

 

その結果、施策1つ1つが高度なパーソナライズを実現し、売上アップに寄与します。

 

運用を極限まで効率化

リソースが限られた現場でも最大の実績を出せるよう、徹底した効率化を支援します。

 

ノーコードで更新可能な直観的なUIや生成AIを活用して商品登録を効率化する機能などにより、運用工数を大幅削減しています。

 

それに加え、AIによる分析の自動化により、これまで分析や施策立案に割いていた時間を戦略立案などよりクリエイティブな領域に割けるようになります。

 

その結果として、業務効率化を実現しながらも売上を成長させることができます。

 

盤石なセキュリティと伴走型の成功支援

初めてのEC構築や大規模なリニューアルにおいて、安全性とサポート体制は欠かせない要素です。

 

メルカートは自社起因によるセキュリティ事故ゼロ件を継続しており、盤石なセキュリティを誇ります。AI活用も、基盤内で行えることから、秘匿性の高いデータを外部に流すことなく安全にAI活用ができる堅牢な環境を提供しています。

 

さらに、専任チームによる「伴走型サクセス」が課題発見から改善提案まで深く踏み込み、Web広告やCRM支援など、社内のノウハウやリソース不足を補うプロフェッショナルな支援体制で貴社の成功を強力にバックアップします。

 

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よくある質問(FAQ)

ここでは、ECの顧客体験(CX)向上に関するよくある質問とその回答についてまとめました。

Q1: ECのCX向上に効果的な施策を教えてください。

A: CX向上の施策はカスタマージャーニーのフェーズによって異なります。まずは自社の課題がどのフェーズにあるかを特定することが先決です。購入率が低い場合はサイト内体験や購入フォームの改善、リピート率が低い場合はアフターフォローの強化やパーソナライズ施策が有効です。ヒートマップ解析やNPS計測で課題を可視化したうえで、優先度の高い施策から着手することをおすすめします。

Q2: CXとUXの違いは何ですか?

A: UX(ユーザーエクスペリエンス)は主にサイトやアプリなどデジタル製品の使いやすさに焦点を当てた概念です。一方CX(カスタマーエクスペリエンス)は、UXを含むより広い概念で、広告・SNS・配送・カスタマーサポートなどオンライン・オフラインを問わないすべてのブランド接点での体験全体を指します。UXはCXの一部を構成する要素と理解するとわかりやすいでしょう。

Q3: 小規模なECでもCX向上に取り組めますか?

A: はい、取り組めます。費用をかけずにすぐ実施できる施策も多くあります。例えば、商品ページのレビュー収集・購入お礼メールの文面改善・問い合わせ対応スピードの向上・SNSでの丁寧なコミュニケーションなどは、リソースが少ない環境でもすぐに始められるCX向上施策です。まず「顧客がどこで不満を感じているか」を把握し、小さな改善から着実に積み上げることが重要です。

まとめ

本記事では、ECの顧客体験(CX)向上の方法について、以下のポイントを解説しました。

 
  • CXとは認知から購入・アフターフォローまでの全接点での体験の総体であり、UXや顧客満足度とは異なる概念
  • 競合との差別化・リピート率向上・LTV最大化・口コミ効果の観点からCX向上は経営レベルの重要課題
  • カスタマージャーニーの各フェーズ(認知・サイト内・購入・アフターフォロー)ごとに取るべき施策が異なる
  • パーソナライゼーションとAI活用がCX向上をさらに加速させる
  • 現状のタッチポイント整理 → 顧客調査による課題特定 → 優先度付けの施策実行というプロセスが重要
 

CX向上は一朝一夕で完成するものではありませんが、顧客の視点に立ってひとつひとつの接点を丁寧に改善し続けることが、リピーターを育て、ブランドへのロイヤリティを高める最短の道です。まずは自社のカスタマージャーニーを整理し、優先度の高いフェーズから施策に着手してみてください。

 

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この記事の監修者

株式会社メルカート
執行役員座間 保

株式会社AtoJの創業メンバーとしてAtoJに参画​。自らもWEBサービスやコンサルティング会社設立を経て、AtoJのデジタルマーケティング事業責任者としてAtoJに復職。SEO・モール・広告・SNS・GrowthHack領域のデジタルマーケティング支援部署の立上げを行い、AtoJの執行役員兼マーケティング統括責任者に就任。2025年 メルカートの分社化に伴い転籍。現在は株式会社メルカートのマーケティングやインサイドセールスの執行役員として従事しています。

座間

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