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ECの客単価を最大化するアップセル・クロスセル施策とは?具体策と成功のポイント

ECサイトの利益率を改善するために、今最も重要視されているのが客単価の向上です。
新規顧客の獲得コストが高騰する中、既存の顧客接点においてアップセルとクロスセルを正しく活用できるかどうかは、売上成長の成否を分ける大きなポイントとなります。
本記事では、両者の違いや具体的な施策例、顧客の自然な購入を促す導線設計のコツを解説します。
自社の収益性を高めるためのガイドとしてご活用ください。
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ECで客単価向上が重要な理由
ECサイトの売上を最大化させるための方程式は、一般的に「アクセス数×CVR(コンバージョン率)×客単価(AOV)」で表されます。
かつてのEC市場では、広告を投下してアクセス数を増やすことが成長の近道でした。
しかし、現在の市場環境ではいかに1回の注文あたりの金額を高めるかが事業の成否を分ける極めて重要な戦略となっています。
ECにおける客単価とは
ECにおける客単価は、AOV(Average Order Value)と呼ばれます。これは、一定期間の売上合計を注文数で割った数値です。
単に高い商品を売ることだけが客単価向上ではありません。
・1回あたりの商品単価を上げる アップセル
・1回の買い物での購入点数を増やす クロスセル
この2つのアプローチを組み合わせることで、顧客満足度を維持しながらAOVを最大化させることが可能です。
新規獲得だけに頼らない売上成長の考え方
現在のEC業界では、以下の要因により新規顧客の獲得コスト(CPA)が高騰し続けています。
1.市場の成熟と競合増加:類似商品が増え、広告のクリック単価が上昇
2.サードパーティーCookieの規制:ターゲティング精度の低下により、広告効率が悪化
新規獲得のみに依存したモデルは利益率を圧迫します。
一方、客単価の向上は、追加の広告費を抑えつつ売上を伸ばせるため、LTV(顧客生涯価値)の向上と利益率の改善に直結します。
既存顧客への施策が注目される背景
パレートの法則(売上の8割は2割の優良顧客が作る)にある通り、既存顧客との関係性を深める施策は、新規獲得よりも遥かに効率的です。
・信頼関係の活用:すでにブランドを認知している顧客は提案を受けやすい
・購入体験の質向上:顧客のニーズに合わせた提案は自分に合う商品が見つかった満足感につながる
単なる押し売りでなく、顧客の課題解決を促進する手段としてアップセル・クロスセルが注目されています。
アップセル・クロスセルとは?基本概念を整理
ECサイトで売上を上げるために重要なアップセル・クロスセル。
ここではそれぞれの意味や違いについて解説していきます。
アップセルとは
アップセル(Up-selling)とは、顧客が検討している商品よりも、さらに上位のモデルや高単価な商品を提案し、購入してもらう手法を指します。
例えば、PCの購入を検討している顧客に対し、よりスペックの高いモデルや、最新の機能を備えた上位機種を勧めることがこれに当たります。
顧客にとっては「より高い満足度」を得られるメリットがあり、店舗側にとっては「商品単価の向上」につながるのが特徴です。
クロスセルとは
クロスセル(Cross-selling)とは、購入しようとしている商品に関連する別の商品を組み合わせて提案し、購入点数を増やしてもらう手法です。
典型的な例としては、スマートフォンの購入時に保護フィルムやケースを勧める「合わせ買い」の提案が挙げられます。これは、1回の決済における購入点数(セット率)が増えるため、結果として客単価が引き上げられます。
そのうえ、顧客にとっては「買い忘れの防止」や「利便性の向上」というメリットがあります。
アップセルとクロスセルの違い【比較表】
アップセルとクロスセルは、どちらも客単価を上げるための施策ですが、そのアプローチは明確に異なります。以下の表で主な違いを整理しました。
| 比較項目 | アップセル | クロスセル |
|---|---|---|
| 目的 | 商品単価を上げる | 購入点数を増やす |
| 提案内容 | 上位モデル、高機能版への切り替え | 関連商品、消耗品、周辺機器の追加 |
| アプローチ | 「より良いもの」を1点売る | 「これも一緒に」と複数売る |
| 顧客のメリット | より高い性能や満足感の獲得 | 利便性の向上、買い忘れの防止 |
どちらの施策が適しているかは、取り扱う商材や顧客の検討フェーズによって異なります。これらを戦略的に使い分けることが、ECサイトの収益最大化への近道となります。
ECにおけるアップセル施策の具体例
アップセルを成功させるためには、単に高いものを勧めるのではなく、顧客が「プラスの料金を払ってでもこちらの方が価値がある」と納得できる文脈が必要です。
ECサイトで即効性の高い具体的な3つの手法を紹介します。
上位モデル・高機能商品の提案
最もよく行われるアップセルは、スペックや機能が優れた上位商品を提案することです。
商品詳細ページにおいて「この商品の上位モデルはこちら」といった比較提示を行うことで、より良い体験を求める顧客を誘導します。
例えば、家電やガジェットであれば「バッテリー持続時間が2倍のモデル」、化粧品であれば「より美容成分が凝縮されたプレミアムライン」を提示します。
機能の差分を明確に視覚化することで、納得感を高めるのがポイントです。
価格帯別のアップセル導線設計
「松竹梅」の法則(ゴルディロックス効果)を活用し、3つの価格帯を用意する設計も効果的です。
中間の価格帯(竹)を選びやすい心理を利用し、最も売りたい商品を「竹」に設定した上で、さらに上位の「松」を比較対象として見せることで、自然と単価が底上げされます。
また、期間限定のアップグレードキャンペーンとして「今なら+1,000円でワンランク上のサイズに変更可能」といった、お得感を強調した導線も強力な武器になります。
アップセルが効果的な商材・ECの特徴
アップセルは、全ての商材で一律に機能するわけではありません。
数ある商材の中でも、「スペックの違いが価値に直結する家電・PC」や、「長期利用が前提で失敗したくない高額商品(マットレスなど)」において非常に高い効果を発揮します。
また、定期購入(サブスクリプション)モデルを採用しているECであれば、「通常購入から定期コースへの切り替え」を促すこともアップセルの一種です。初回単価は下がったとしても、LTV(生涯顧客価値)の観点では大幅なアップセルとなります。
ECにおけるクロスセル施策の具体例
クロスセルは、顧客が今まさに買おうとしているものに関するニーズを先回りして提案する手法です。
押し売り感を出さずに、顧客の利便性を高める形で提案することが成功の鍵となります。
関連商品・同時購入商品の提案
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というレコメンド表示は、クロスセルの代表例です。
メイン商品を使用するために必要な付属品や、一緒に使うことで効果が高まるアイテムを提案します。
例えば、革靴を検討している顧客に対して「靴磨きセット」や「シューキーパー」を提案する、パスタを購入する顧客に「パスタソース」を提示するといった形です。
顧客の「探す手間」を省く提案は、非常に高い確率で同時購入に繋がります。
バンドル販売・セット割引の活用
複数の商品をセットにして販売する「バンドル販売」も強力なクロスセル施策です。
単品でそれぞれ購入するよりも少しお得な価格設定にすることで、顧客のついで買いのハードルを下げることができます。
アパレルECであれば「トップスとボトムスのコーディネートセット」、サプリメントであれば「3ヶ月分まとめ買いセット」などが一般的です。
「セットで買うと10%OFF」といった明確なメリットを提示することで、客単価の大幅な向上が見込めます。
送料無料ラインを活用したクロスセル
「あと〇〇円で送料無料」という表示は、ECサイトにおいて最も強力なクロスセルのフックとなります。
顧客は「送料を払うくらいなら、何かもう一つ商品を買った方が得だ」と判断しやすいためです。
その際、○○円に該当するような数百円~千円で買える低単価の商品をレコメンドしておくことが重要です。
靴下やハンカチなどの低単価かつ必需品を提案することで、決断に時間がかからずスムーズな購入を促すことに繋がります。
アップセル・クロスセルを成功させる導線設計
アップセルやクロスセルはどれほど魅力的な提案であっても、出すタイミングを間違えると離脱の原因になってしまいます。
顧客の買い物体験に合わせた最適な導線設計のポイントを解説します。
商品詳細ページでのレコメンド設計
商品詳細ページは、顧客が商品の比較検討を最も熱心に行っている場所です。ここでは「アップセル」の提案が非常に有効です。
例えば、標準的な美容液を見ている顧客に対し、「より早く効果を実感したい方へ」という一言を添えて、高濃度成分配合のプレミアム版を提示します。
顧客が直感的に欲しいと感じる導線を作ることで、迷いなく上位モデルに誘導が可能です。
このように顧客の潜在的な悩みに刺さる商品を、手に入れるベネフィットとともに提案することが効果的です。
カート・購入直前での提案ポイント
カート(買い物カゴ)画面やチェックアウト直前は、顧客の購買意欲が最高潮に達しているタイミングです。ここでは、決断を邪魔しない程度の「クロスセル」が効果を発揮します。
「送料無料まであと○○円」という案内とともに、ついで買いしやすい低単価な消耗品や必需品をワンクリックで追加できるボタンを配置するのがベストです。
決済の手間を増やさず、メリットだけを提示することで、スムーズな追加購入を促せます。
購入後・リピートフェーズでの提案
決済が完了した後や、商品が届いた数日後のアフターフォローも絶好の提案機会です。
サンクスページ(購入完了画面)での「今だけ限定!次回使えるクーポン」の提示や、フォローメールでの提案が含まれます。
特に「消耗品の買い足しタイミング」や「購入した商品と相性の良い新着アイテム」を、購入履歴に基づいたパーソナライズメールで案内することで、2回目以降の購入(リピート)時に客単価の高い注文を狙うことが可能になります。
顧客にとっては「自分のことをわかってくれている」という信頼感にも繋がります。
効果測定に使う指標と分析方法
アップセル・クロスセル施策は、リリースして終わりではありません。
データに基づき、狙い通りに顧客の行動が変化したかを客観的に評価することが、継続的な収益向上に不可欠です。
AOV(平均注文額)の基本的な考え方
客単価の指標であるAOVは、施策前後のAOVを比較しサイト全体の収益性がどれだけ改善されたかを可視化することに活用されます。
ただし、特定の高額商品の売れ行きによって数値が大きく変動することもあるため、中央値を確認したり、顧客セグメント(新規・リピーター別など)ごとにAOVの推移を追うことで、施策の真の寄与度を正確に判定できます。
アップセル率・クロスセル率とは
施策そのものが「顧客に響いているか」を測るために、以下の2つの成約率をモニタリングします。
・アップセル率:提案した上位商品への切り替えが発生した割合
・クロスセル率:メイン商品と一緒に、提案した関連商品が購入された割合
例えば、クロスセル率が低い場合は「提案商品の関連性が低い(今必要だと思われていない)」、アップセル率が低い場合は「ベネフィットの訴求が弱く、価格差を正当化できていない」といった具体的な課題が見えてきます。
これらを個別に改善していくことが客単価向上の近道です。
A/Bテストによる施策検証
どのタイミングで、どのような見せ方をするのが最も効果的かは、A/Bテストで検証します。複数のパターンを同時に試すことで、経験則に頼らない確実な最適化が可能です。
「送料無料まであと500円」と金額で背中を押すパターンと、「この商品とセットで使うとより便利です」とベネフィットで訴求するパターンでは、どちらが追加購入を誘発しやすいかなどを比較します。
小さなテストと改善の積み重ねが、最終的な大きな売上成長へと繋がります。
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まとめ
ECサイトにおいて、広告費が高騰する中で安定した利益を確保するためには、アップセル・クロスセルによる客単価(AOV)の向上が欠かせません。
アップセルは「より良い体験(ベネフィット)」を提示して上位モデルへ導き、クロスセルは「関連ニーズ」を先回りして提示してついで買いを促す手法です。どちらも共通して、単なる「押し売り」ではなく、顧客の課題解決をサポートする視点を持つことが成功の鍵となります。
まず取り組むべきポイントとして、自社サイトの現状を分析し、最も購入頻度が高い商品の「関連アイテム」は何か、またはその商品の「ワンランク上の選択肢」が直感的に示されているかを確認しましょう。特にカート画面での「送料無料ライン」への誘導は、即効性の高い施策として非常におすすめです。
一度にすべてのページを改修する必要はありません。主要な商品からスモールステップでテストを開始し、A/Bテストやデータ分析を通じて「顧客が最も納得するタイミングと内容」を探り続けることが、長期的な売上成長とLTV向上に繋がります。
FAQ
Q. アップセルを強引に感じさせないコツはありますか?
A. 単に「高い方」を勧めるのではなく、顧客の悩みがより早く、あるいはより確実に解決することを強調しましょう。
「〇〇でお悩みなら、こちらの方が後悔しません」といった、顧客のベネフィットを第一に考えた文脈作りが大切です。あくまで顧客の選択を助けるための情報提供というスタンスを崩さないようにしましょう。
Q. クロスセルにおすすめの商材は何ですか?
A. メイン商品を使用するために必須となる「電池」「ケーブル」などの付属品や、セットで使うことで利便性が増す「専用ケース」「ケア用品」などが定番です。
また、送料無料ラインに届かせるための「安価な日用品・消耗品」も非常に効果的です。顧客が「ついでにこれも買っておこう」と迷わず判断できる、低単価で実用的なアイテムを選定するのがポイントです。
Q. アップセルとクロスセル、どちらから着手すべきですか?
A. 一般的には、クロスセルの方が着手しやすい傾向にあります。なぜなら「関連商品の提案」は顧客にとって利便性が高く、心理的なハードルが低いためです。
まずはクロスセルで買い合わせ率(セット率)を高める土壌を作り、その後に、特定のカテゴリや高単価商材において上位モデルへの誘導(アップセル)を強化していくのが、スムーズで失敗の少ない流れです。
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この記事の監修者
株式会社エートゥジェイマーケティング責任者座間 保
2007年に㈱エートゥジェイの創業に参画し2009年に独立。マス媒体以外のトリプルメディアを活用した一貫性のあるWeb戦略立案・戦術プランニング・実行・分析・改善に携わる。結果を重視した戦略的なECサイトやオウンドメディア構築を行う。WebメディアやWeb関連事業の起業を3度経験した、シリアルアントレプレナー。2017年に㈱エートゥジェイに出戻り、マーケティング部門を統括している。

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