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「マーケティング組織ゼロ」からの出発。耐熱ガラス食器の『iwaki』が実践したファンと歩むSNS×EC一体型戦略の全貌

iwakiが自社ECの強化に乗り出した当初、現場では「CV(コンバージョン)」という言葉の意味さえ浸透していない状態からのスタートでした。
そんな組織が、いかにお客様との「双方向の対話」を軸にした戦略的なEC・SNS運営を確立させるに至ったのか。
本記事では、ターゲットの解像度を極限まで高めたペルソナ設計や、運営データに基づく顧客志向マーケティングへの戦略変更のプロセスを公開します。
卸を主軸とした実店舗販売をしてきた老舗ブランドが、デジタル上でファンを増やし続けるために実践した「仕組み作り」の裏側を詳しく解説します。
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売れるブランドを育てるSNSとECの一体型戦略
ECサイトとSNSを活用して売れるブランドを育てるノウハウについてまとめました。
こんな人におすすめ
・ECの売上アップのためのSNSを活用したい方
・SNS運用をより効果的に実施したい方
・UGC活用を思う用にできていないEC担当者様

【目次】
・ まとめ
顧客の声を反映させた戦略がないことが最大の課題
「確かな商品の力」をデジタルで最大化させるべく、自社ECを中心とした戦略へと舵を切ったiwaki。
お客様と直接つながり、対話を通じて関係を育む「双方向のコミュニケーション」の必要性に気づいたことが、自社ECサイト構築の原動力となりました。
卸販売主軸から自社ECの強化へ
1883年の創業以来、卸による間接販売を主軸に展開してきたiwakiにとって、Webでの顧客接点はブランドサイトしかありませんでした。そのため、オフライン・オンライン共にお客様とのコミュニケーションが一方通行になっていたという課題がありました。
ブランドサイトでは企業側が伝えたい情報を一方的に流すだけになっていました。
また、店頭でも商品を卸した後の顧客体験に関与することはほとんどありませんでした。
この「お客様との対話」の欠如こそが、自社ECを立ち上げるに至った大きなきっかけです。
自社EC強化の裏で直面した組織の実態
双方向のコミュニケーションを目指してEC強化に乗り出したものの、当時の現場は「CV」という言葉の意味さえ浸透していない状態からのスタートでした。
高い商品力を持ちながらも、それをデジタル上で何を定義し、どのようにお客様と繋がるべきかという戦略が全くない状態でした。
そこで、まずは自分たちの立ち位置を客観的に把握するため、専門書を手に取ることから始め、ビジネスフレームワークなどのマーケティング手法を一から学んでいきました。
実務を通じて、「自分たちが目指すべき姿」を模索し、現状を整理するための分析を地道に繰り返しました。
こうした学習と分析のプロセスを経て、組織として最初に取り組んだのがペルソナの設定でした。
誰に届けるかを明確にするためのペルソナ設定
ターゲットが曖昧な状態では、施策の良し悪しを判断する基準が持てません。
まずは「広すぎる顧客像」を捨て、チーム全員が迷いなく施策を打てるよう、解像度の高い一人の人格へと落とし込む作業が必要です。
曖昧だったターゲットを具体化し、社内の共通言語を作る
かつては、「20~60代、女性、主婦」といった、あまりに広範なターゲット認識が社内で支配的でした。
しかしこれでは対象が広すぎて具体的なアプローチが決まらないため、まずはターゲットの絞り込みを実行しました。
40代の主婦で、名前、家族構成や年収、性格、悩み、さらには「よく検索するキーワード」まで細かく規定したペルソナを設定しました。
誰に向けた施策かを明確にして生まれる判断基準
具体的なペルソナを定義したことで、「抽象的な主婦層」ではなく「この人ならどう受け止めるか」を社内の全員が意識できるようになりました。
これにより、バナー1枚、投稿一つに対しても共通の物差しで議論が可能になり、マーケティング戦略を立案する上でのコミュニケーションロスを削減することに成功しました。
顧客視点への転換と、双方向でつながる仕組みの構築
一方通行な情報発信から脱却し、お客様と直接つながる場を作る。
そのためにiwakiが行ったのは、単なるサイト刷新ではなく、顧客視点に立ったコミュニケーションの仕組化でした。
自社ECを「ブランド体験の場」と定義し、双方向の接点を作る
「お客様と対話を通じて関係性を育みたい」という目的を形にするため、自社ECと顧客接点を強固に構築できるECカートシステムという選定基準で進めました。
最終的にはUGC活用が容易にできそうだなと思い、自社ECのプラットフォームは『メルカート』を導入し、ブランド体験の拠点としました。
さらに、メルカートのグループ会社で提供しているビジュアルマーケティングプラットフォーム『visumo』を活用し、Instagram上の「#iwakiのある暮らし」というお客様の投稿(UGC)をサイト内に取り込む仕組を構築しました。
メーカー側の一方的な製品説明ではなく、お客様のリアルな活用シーンをサイトの主役に据えることで、直接的な反応やニーズが可視化される双方向の接点を実現しました。
企業視点を捨て、SNSからサイトまでを「顧客が欲しい情報」で統一
仕組み作りと並行して、発信のスタンスも「企業が言いたいこと」から「顧客が求めるもの」へと180度転換しました。
かつてのSNSやサイトは製品の機能紹介が中心でしたが、現在は「お客様がiwakiを使ってどんな体験ができるか」を起点に、レシピ提案や彩りある暮らしのイメージ発信を徹底しています。
この徹底した顧客視点はデジタル上のあらゆる接点で統一しました。
お客様の暮らしに寄り添い、共にブランドを作っていく姿勢を体現したことで、ブランドからの提案にお客様がリアクションを返し、それがまたコンテンツになるという「双方向の好循環」が生まれています。
運営データをもとに行った転換
ペルソナの設定や双方向で繋がる仕組化などにより計画的に行われたマーケティング施策の結果をもとに、次の施策に活かしています。
未来を見据えたペルソナ変更
iwakiが現在、ECやSNSの運用において最も重要視しているターゲット像は「32歳のファミリー層」です。
運用開始当初は40代以上の主婦層をメインペルソナとしていましたが、蓄積されたデータを分析したところ、「保有率は40代が高いものの、他者への推奨やSNSでの発信力といった熱量は30代が突出している」という事実がNPSの数値から判明しました。
この結果を受け、現在は戦略的にターゲット設定を追加しています。
このペルソナ追加は、将来にわたる売上の安定化、いわば「未来への投資」を一つの目的としています。
iwakiが定義した新しい30代のペルソナは、単に若い層を狙ったものではありません。時間が経てば、従来のボリューム層になり得るような家庭環境や経済状況までを細かく想定して設定されています。
つまり、将来的にiwakiの中核顧客層へと成長していく世帯に対し、今この瞬間からiwakiのある暮らしを体験してもらい、長期的な関係性を築いておくことが狙いです。
この方針に基づき、ECサイトのテイストやSNSのトーン&マナーも、新しい世代が違和感なく入り込めるような可愛らしく洗練されたものへと刷新しました。
施策の結果から最適化するチャネルの使い分け
限られたリソースを最大限に活かすため、各チャネルの役割も運営データに基づいて再定義しました。
かつては全方位に展開していましたが、どの媒体がブランド体験や売上に寄与しているかを分析しました。
その結果、ただ告知をするだけになっていた「Twitter」などの運営には注力せず、熱量を育てる「Instagram」とリピートを促進する「LINE」に集中することになりました。
Instagramで認知と熱量を高め、自社ECでの体験を経て、LINEでリピーターへ育てるという明確な勝利方程式を確立しました。
目的が曖昧な施策を削ぎ落とし、最もお客様と深いつながりが期待できる場所にリソースを集中させることで、効率的かつ強固なファンベースの構築を実現しています。
戦略の中心としてのSNS
ここまで解説したように、iwakiは顧客との双方向のコミュニケーションを重視したマーケティング施策を行ってきました。
そのデジタル戦略において、SNSはファンと共にブランド価値を共創していく中心地です。
「#iwakiのある暮らし」とUGCが生まれる余白
iwakiがコンテンツ発信において最も重要視しているのは、ブランドが前面に出すぎない「余白」を残すことです。
以前はメーカーとして製品の機能性を詳しく伝える発信が中心でしたが、現在は「お客様がiwakiを使ってどのような体験をしているか」を起点としたメッセージへの転換を図っています。
この背景には、既に商品を持っている方のエンゲージメント向上や、お客様による投稿(UGC)を活性化させたいという狙いがあります。
あえて「この機能が便利」と断定するのではなく、料理が楽しくなるレシピや活用法を提案し続けることで、お客様が「自分ならこう使う」「これを作った」とシェアしたくなるきっかけを作っています。
コーポレートステートメント「いつも私のキッチンに」が示す通り、主張しすぎず、気づいたら暮らしの一部に溶け込んでいる。
そんな理想のあり方を追求した結果生まれたハッシュタグ「#iwakiのある暮らし」は、ブランドの提案とお客様のリアルな日常が重なり合う場として、今も自然な広がりを見せています。
失敗を資産に変え、現場の熱量で回し続けるPDCA
変化の激しいデジタルマーケティングの世界において、iwakiは現場の「まずはやってみる」というスピード感と熱量を何よりも大切にしています。
すべての投稿やキャンペーンが最初から狙い通りの数字を叩き出すわけではありませんが、社内ではそれを単なる失敗とは捉えません。
たとえ反応が薄かったとしても、「今のユーザーには何が刺さらないのか」を明確にできたのであれば、それは次の一手を打つための貴重なデータであり、組織にとっての共有資産となります。
「二度と同じ失敗を繰り返さないための知見」が得られたと考えれば、それは将来の成功に向けた重要な投資であるという前向きな姿勢が、攻めの運用を可能にしています。
このデータに基づく冷静な分析と、現場の試行錯誤を許容する組織文化の掛け合わせこそが、ファンに愛され続けるiwakiのSNS戦略を支える生命線となっているのです。
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売れるブランドを育てるSNSとECの一体型戦略
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こんな人におすすめ
・ECの売上アップのためのSNSを活用したい方
・SNS運用をより効果的に実施したい方
・UGC活用を思う用にできていないEC担当者様

まとめ
iwakiが取り組んできた一連の変革は、単にターゲットを見直したりSNSの見せ方を変えたりすることだけが目的ではありません。
その本質にあるのは、140年続く老舗ブランドとしての信頼を大切にしながら、自社ECをはじめとしたデジタル上に「お客様と双方向でつながる場」をいかに作るかという挑戦です。
具体的には、NPS(推奨意欲)のデータに基づき、将来を見据えて「32歳のペルソナ」を戦略的に追加したことや、UGCをサイトの主役に据えるために、あえてブランド側の主張を抑えたコンテンツ作りを徹底したことです。
こうした現場の地道な試行錯誤の積み重ねこそが、点の発信を「ブランドを育てる仕組み」へと昇華させ、現在の好調な自社EC運営を支える土台となっています。
本記事では、iwakiの自社EC運営における戦略的プロセスを中心に解説してきました。
その中で、ファンとの接点として極めて重要な役割を果たしていたのが「SNS」の存在です。今回、iwakiが重視していたSNS運営の実践的なノウハウや、共感をECの成果へとつなげる具体的なサイクルについては、別冊のホワイトペーパーとしてまとめました。
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この記事の監修者
株式会社メルカート
執行役員座間 保
株式会社AtoJの創業メンバーとしてAtoJに参画。自らもWEBサービスやコンサルティング会社設立を経て、AtoJのデジタルマーケティング事業責任者としてAtoJに復職。SEO・モール・広告・SNS・GrowthHack領域のデジタルマーケティング支援部署の立上げを行い、AtoJの執行役員兼マーケティング統括責任者に就任。2025年 メルカートの分社化に伴い転籍。現在は株式会社メルカートのマーケティングやインサイドセールスの執行役員として従事しています。

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