トクホはECサイトでも人気! 保健機能食品をネットショップで販売する際の注意点

高速なインターネット回線やスマートフォンの普及によって、ECサイト(ネットショップ)の存在感が増しつつあります。中でも、近年需要が伸びつつあるのが、整腸作用などの効果が期待できる「トクホ(特定保健用食品)」の分野です。

しかし、トクホは消費者からのニーズが高い一方で、販売する際はいくつか注意したい点があります。

ここでは、トクホをはじめとした、いわゆる「健康食品」の概要やECサイトで販売する際の注意点などをご紹介します。

   

トクホとは?

トクホ(特保)は「特定保健用食品」の略で、人の生理機能などに影響を与える成分を含んだ食品のことです。より具体的には、含まれている成分が健康の維持増進に役立つと科学的に証明されたうえで、効果や安全性を国が審査し、消費者庁が認可した食品を指します。

 

トクホマークトクホマーク

 

コロナ禍による健康志向の高まりなどにより、近年はECでも市場規模が拡大しつつあるジャンルです。

 

日本では、「健康食品」と呼ばれる食品が多く流通していますが、サプリメントや栄養補助食品などの名称には、基本的に法律上の定義がありません。サプリメントなどの一般的な食品は、「機能」をうたうことが不可能です。

例えば、ただの食品が「体力増強・疲労回復」や「体質改善」といった効果効能を表示したり、「○○が気になる方に」などの効果があると思わせる表示をしたりするのは違法です。

 

一方で、トクホは専用のマークとともに、「脂肪の吸収を抑える」や「お腹の調子を整える」などの機能を表示して販売することが許可されています。ただし、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という文言の記載が義務づけられている点に注意が必要です。

トクホ以外の保健機能食品

トクホ以外にも、「栄養機能食品」や「機能性表示食品」なども、保健機能食品に分類されます。それぞれ表示可能な効果効能が異なるため、違いを押さえておきましょう。

栄養機能食品

ビタミンやミネラルなど、特定の栄養成分を補給するための食品です。科学的根拠が明確な栄養成分を基準量含んでいれば、特別な許可なしに「栄養機能食品」と表示できます。

補給できる栄養素の名称に加えて、1日の摂取目安量や摂取する際の注意事項の表示も義務づけられている点に注意が必要です。

 

ビタミンCやビタミンD、ビオチン、葉酸といったビタミン類や、亜鉛やカルシウムなどのミネラル、DHAやEPAといったn-3系脂肪酸(オメガ3)などが、規格基準として定められている栄養素の例です。

機能性表示食品

国のルールに基づき、食品の安全性や機能性に関する科学的根拠などを消費者庁に届け出た食品です。トクホと同様に保健機能を表示できますが、機能性表示食品は消費者庁に個別で審査や許可を受けたものではありません。あくまでも事業者の責任において、機能を適切に表示する必要があります。

トクホ(保健機能食品)を提供するメリット

一般的に、サプリメントや栄養補助食品などの健康食品に法律上の定義はなく、機能をうたうことはできません。表示内容の信ぴょう性や具体的な効果については、消費者個人が判断しなければいけませんでした。

 

一方でトクホは、一定の基準を満たしていることを消費者庁に届け出て、国に認可された食品です。具体的な機能も表示されているため、ユーザーは目的に適した商品を選択しやすくなります。

 

商品を販売する事業者側も、「消費者庁に届け出て認可された食品」という信頼感や安全性をユーザーにアピールできます。同業他社が販売している類似商品がトクホを取得していない場合は、差別化を図ることも可能です。

届け出や認可までに時間がかかる点はデメリットといえますが、それを補う大きなメリットを得ることができます。

トクホで表示できる効果の例

トクホには、さまざまな機能を持つ食品が登録されています。具体的にどのような表示が許可されているのかを確認しておくと、商品を取り扱う際に役立つでしょう。

トクホで表示できる効果の代表的な例としては、以下が挙げられます。

  • ・お腹の調子を整える
  • ・食後の血糖値の上昇を緩やかにする
  • ・血圧が高めの方に
  • ・カルシウムの吸収を助ける
  • ・体脂肪が気になる方に
  • ・歯の健康維持に役立つ
  • ・肌が乾燥しがちな方に など

ECサイトでトクホを販売する際の注意点

トクホなどの健康食品は広告表現の規制が厳しく、場合によっては違法と判断されることもあります。ECサイトでトクホを取り扱いたい場合は、以下の点に注意が必要です。

商品名や栄養成分等を表示する

成分表示ラベル

 

トクホに限らず、食品を販売する際に確認しておきたいのが食品表示に関する規定です。

食品表示法や食品衛生法、健康増進法などに基づき、食品の容器や包装、添付する文書などに、以下の事項を表示しなければいけません。

  • ・商品名
  • ・賞味期限もしくは消費期限
  • ・保存方法
  • ・製造者または法人名
  • ・製造場所
  • ・許可証票
  • ・許可を受けた表示内容
  • ・栄養成分量、熱量(カロリー)、原材料名、アレルゲンなど
  • ・内容量
  • ・1日当たりの摂取量
  • ・摂取方法と摂取における注意点
  • ・バランスの取れた食生活を推奨する文言
 

このように、トクホはさまざまな文言を記載する必要があります。具体的な内容については、消費者庁などに確認することをおすすめします。

広告表現に注意

薬機法や景品表示法にも注意が必要です。トクホはあくまでも食品で、病気を治したり予防したりする医薬品ではありません。原則として、「がんが治る」「高血圧を改善」といった疾病名を出して、治療や改善をうたう表示は禁止です。

ただし、「カルシウム」や「葉酸」に関しては、「骨粗しょう症のリスクを低減する可能性がある」などの効果効能を表示することが認められています。

 

また、トクホは特定の用途においてのみ、表示を許可されています。明らかに事実に反する文言や、優良誤認を招くような表示を記載すると、誇大表示と判断される恐れがある点にも注意が必要です。

 

消費者庁の公開している資料では、「血糖値が気になり始めた方に適した食品です」という表示許可を受けたにも関わらず、容器や包装に「血糖値を下げる」と表示するのは虚偽誇大表示に当たる恐れがある、としています。※1

文言は適切でも、消費者が「この食品を摂取すれば血糖値が下がる」と意識するような写真や画像を用いると、誇大表示に当たる恐れがあるため注意しましょう。

 

※1 参照:消費者庁『健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(令和2年4月1日一部改正)』

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/pdf/extravagant_advertisement_200331_0001.pdf

健康食品を販売する際はルールに注意

トクホや栄養機能食品、機能性表示食品などの保健機能食品は、それぞれ受けている認可や、表示できる文言などが異なります。場合によっては法律違反に問われたり、消費者からの信頼を失ったりすることにもつながるため、ルールを確認しておくことが重要です。

 

どのような表記が必要で、どんな文言なら問題ないのかなど、正しい知識を身につけておくことで、不要なトラブルを避けることができます。

 

また、消費者の信頼感を得ることにもつながるでしょう。健康食品の販売を考えている方は、ご紹介した内容を参考にしてみてはいかがでしょうか

 

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この記事の監修者

株式会社エートゥジェイマーケティング責任者座間 保

2007年に㈱エートゥジェイの創業に参画し2009年に独立。マス媒体以外のトリプルメディアを活用した一貫性のあるWeb戦略立案・戦術プランニング・実行・分析・改善に携わる。結果を重視した戦略的なECサイトやオウンドメディア構築を行う。WebメディアやWeb関連事業の起業を3度経験した、シリアルアントレプレナー。2017年に㈱エートゥジェイに出戻り、マーケティング部門を統括している。

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