アパレル業界でD2Cが注目を集める理由は？ 成功のコツも押さえよう

近年、アパレル業界で注目を集めているのが「D2C」と呼ばれるビジネスモデルです。従来の販売手法より優れた部分が見られる一方で、売り上げを伸ばすためには注意したい点もいくつかあります。

この記事では、アパレル業界でD2Cが注目を集める背景やメリット、成功に導くためのコツなどをご紹介します。

D2Cとは？

D2C（DtoC）は「Direct to Consumer」の略で、メーカーが卸売業者や小売店を介さずに、ECサイト（ネットショップ）を通じて商品を消費者に直接販売するビジネスモデルのことです。

通常、メーカーが商品を販売する際は、卸売業者や小売店といった仲介業者を経由して、消費者の元に商品を届けます。

一方でD2Cは、商品の製造から消費者に届けられるまで、一貫して自社で対応するのが特徴です。

2025年には約3兆円の市場規模になるともいわれており、今後も規模が広がっていくことが予想されています。

SPAとの違いは？

アパレル業界には、「SPA（Specialty store retailer of Private label Apparel）」と呼ばれる販売手法も存在します。SPAは「製造小売業」とも呼ばれ、商品の企画や製造から販売まで、一貫してメーカー自らが対応する手法です。

一見するとD2Cと同じように思えますが、D2CがECサイトでの販売を軸にしているのに対して、SPAは実店舗での販売を軸にしているという点で異なります。

また、それぞれ重視しているポイントも異なるので、覚えておきましょう。D2Cは、ブランドのコンセプトを消費者に伝えて、魅力を感じてもらうことに重きを置いています。

一方でSPAは、消費者にどれだけ効率的に商品を提供できるかを重視しているのが特徴です。

アパレル業界でD2Cが注目される理由

アパレル業界において、なぜD2Cが注目を集めているのでしょうか。D2Cが注目される理由をご紹介します。

ライフスタイルの変化

近年、消費者のライフスタイルは「モノを所有すること」から「モノを利用・所有することで得られる体験」を重視するようになっています。定額の使用料を支払うとサービスが受けられる、サブスクリプションサービスの台頭がわかりやすい例です。

消費者のニーズを理解したうえで商品の開発・販売を行う必要性が高まったことから、消費者との関係性を構築しやすいD2Cに注目が集まっています。

SNSの普及

従来のビジネスモデルだと、企業が商品のコンセプトを紹介したいと思った場合は、テレビ広告を打ったり、プロモーションを展開したりする必要がありました。

しかし、InstagramやTwitter、YouTubeといったSNSの普及により、企業は直接消費者とコミュニケーションを取ることができるようになったのです。

ブランドのコンセプトを伝えたり、特定の消費者に絞って広告を出したりしやすくなった点も、D2Cが注目を集める理由といえるでしょう。

アパレルにおけるD2Cのメリット

ビジネスモデルにはD2C以外にもさまざまなものがありますが、その中からD2Cを取り入れることで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。

アパレル系の企業がD2Cを行うメリットは、大きく3つ考えられます。

ブランドのコンセプトを伝えられる

D2Cは、自社で製造から販売までを行うビジネスモデルです。自由にマーケティング施策を打ったり、ECサイトのデザインを決めたりできるので、ブランドのコンセプトや商品の魅力などを正確に伝えることができます。

また、SNSを活用して消費者とコミュニケーションを取れば、ブランドや商品のファンを増やすことも可能です。

コストを抑えられる

従来のビジネスモデルでは、販売までに卸売業者や小売店を経由していたため、手数料やマージンといったコストが発生していました。

D2Cの場合は、直接消費者の手元に商品を届けられるため、それらのコストを削減することができます。

また、自社のECサイトで商品を販売するため、実店舗の家賃や人件費、光熱費といったコストの削減も可能です。

顧客のニーズに応えやすい

消費者と直接つながるため、顧客のニーズに応えやすい点も魅力です。例えば、顧客の閲覧したページや購入した商品、口コミといったデータを収集したり、SNSでアンケートを実施したりすれば、顧客のニーズを直接汲み取ることができます。

商品開発や改良に役立てたり、マーケティング施策に生かしたりすることが可能です。

D2Cを成功させるコツ

さまざまなメリットがあり、アパレル業界で注目を集めているD2Cですが、導入したからといって絶対に成果が出るわけではありません。

成功を収めるには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

SNSを活用する

D2Cの一番の特徴は、消費者と企業が直接つながることができる点です。Web広告やテレビ広告だけではなく、SNSも積極的に活用して、消費者とのコミュニケーションを取っていく必要があります。

例えば、写真や動画の投稿がメインのInstagramなら、ブランドコンセプトを視覚的に伝えることができます。積極的にユーザーとコミュニケーションを取ることで、ブランドの認知度向上やファン獲得にもつながるでしょう。

また、投稿を見たユーザーがそのままECサイトに遷移して、商品を購入してくれる可能性もあります。

ブランドイメージを構築する

ブランドイメージの構築もポイントです。アパレル業界は、数多くのブランドが存在しています。ブランド独自の世界観やコンセプトを構築することで、競合他社との差別化を図りましょう。

ブランドのコンセプトに共感してくれたファンを増やすことで、リピーター獲得につながります。

ブランドのコンセプトや世界観を表現する方法はいくつか考えられますが、ECサイトのデザインやトンマナ、ロゴなどを活用するのがおすすめです。商品のコンセプトを、開発秘話のような形で紹介するのも良いでしょう。

また、ECサイトだけではなく、SNSや広告など、全ての販売チャネルで世界観を統一することも大切です。

顧客情報を商品開発に生かす

どれだけ素晴らしい品質の商品を生み出しても、顧客のニーズから外れていると売り上げは期待できません。消費者がどのような商品を求めているのか、自社商品はどのようなユーザーに支持されているのかなどを分析し、商品に反映させることも重要です。

口コミやWebページの滞在時間、SNSの投稿といったデータを収集して、積極的に生かしていきましょう。

アパレル系のD2Cは自社ECサイトを活用しよう

仲介業者を挟まずに商品を販売できるD2Cは、コストを抑えられる、ブランドコンセプトを発信しやすいといったメリットから、アパレル業界を中心に注目されています。

今後も市場が拡大していくと見られていますが、ただ始めたからといって成功するものではありません。

ブランドの世界観を構築したり、ファンを増やすための施策を行ったりして、着実に歩みを進める必要があります。

また、ブランドのコンセプトを伝えることが求められるD2Cでは、自社ECの活用が欠かせません。

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