【アパレルEC完全ガイド】市場動向や始め方、よくある課題や成功のコツまで徹底解説!

EC市場は年々拡大を続けており、アパレル・ファッション業界においてもECサイトの重要性は高まりつつあります。

 

そこで今回は、アパレルECに焦点を当てて市場動向や種類、始め方やよくある課題、成功に導くポイントを解説します。

 

アパレルECの構築・リニューアルにおすすめのサービスも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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アパレルEC市場の動向

アパレルEC市場の動向【令和6年度】

 

(出典:令和6年度 電子商取引に関する市場調査|経済産業省)

 

そもそも「EC」とは、「Electronic Commerce」の略称で、日本語では「電子商取引」などと訳されます。インターネット上で商品やサービスを売買することで、「インターネット通販」「ネットショップ」「オンラインストア」などと呼ばれるサービスの総称です。

 

スマートフォンの普及などに伴いアパレルECは存在感を増していましたが、2020年初頭の新型コロナウイルス感染症の拡大や、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置による外出自粛の影響で、その需要はさらに高まっています。

 

衣類・服飾雑貨等のBtoC-EC市場規模は、2024年で2兆7,980億円(前年2兆6,712億円)に達し、EC化率は23.38%(前年22.88%)となっています。

 

コロナ禍以前の2019年時点では、市場規模が1兆9,100億円、EC化率が13.87%であり、ここ数年間で市場規模・EC化率ともに急速に拡大していることがうかがえます。

 

(参考:令和6年度 電子商取引に関する市場調査|経済産業省)

アパレルECの種類

アパレルやファッション関係のネットショップは、大きく3種類に分けることができます。それぞれの特徴やメリットは、以下の通りです。

DtoC型(メーカー直販型)

メーカーやブランドが、独自で構築・展開するネットショップのことを指します。

 

自社製品のみをサイト上で取り扱うため、ブランドイメージを前面に出したECサイトを構築可能です。中間業者を介さないため高い利益率を期待でき、誰が、いつ、何を、どのように購入したかという一次データ(ファーストパーティデータ)を直接取得することも可能。収集した顧客データを活用して独自のキャンペーンやサービスを実施し、顧客の利便性を高めることもできます。

 

また、商品の試着や取り置き、在庫確認など、実店舗との連携を行える点もメリットです。顧客との接点を増やすオムニチャネル施策を実施しやすく、ネットショップや実店舗、SNSなどを連携して売上アップを狙うケースも増えてきています。

 

ただし、サイト運営やマーケティングを基本的には自社で行う必要があります。外部パートナーやベンダーのサポートを受けない場合、サイト立ち上げ直後から安定して売り上げを伸ばしにくい点はデメリットといえます。

 

※関連記事:アパレル業界でD2Cが注目を集める理由は? 成功のコツも押さえよう

モール出店型

モール型ECサイトとは、数多くのショップが集まるインターネット上のショッピングモールのことです。Amazonや楽天市場、ヤフーショッピングが代表的なECモールで、アパレル関連に特化したものだとZOZOTOWNも有名です。

 

テナント料(出店料)や手数料などを支払う必要はあるものの、モール型ECサイト自体の知名度が高いことから、知名度が低いブランドでも集客を期待できます。

 

一方で、自社でECサイトを構築した場合に比べてブランドの個性を出すのは難しく、競合他社が多い場合は価格競争に巻き込まれやすい点もデメリットです。

個人販売型

個人や小規模のブランドが運営するネットショップです。

 

実店舗を持たず、小売店や仲介業者を通さずにECサイトのみで事業を行うことも多いです。

その他の形態

近年は、個人同士が取引を行うCtoCタイプのECも広がりを見せています。メルカリやラクマといったフリマアプリ、ヤフオクなどのオークションサイトがCtoCタイプの例です。

 

また、定額を支払うことで定期的に服をレンタルできる、サブスクリプションサービスも増えてきています。

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アパレルECの始め方ロードマップ

これからアパレルECを始める場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。

STEP1:ターゲットと販売戦略・コンセプトの策定

EC立ち上げでもっとも重要なのが、コンセプト設計です。 「誰に」「何を」「どのように」売るのかを定義します。

 

・ペルソナ(理想の顧客像)設定:年齢、性別、職業だけでなく、ライフスタイル、ファッションへのこだわり、オンラインでの購買傾向まで詳細に設定します。
・差別化ポイントの明確化:他社にはない、自社ブランド独自の強み(例:環境配慮型素材、特定の体型に特化したデザイン、高い機能性)を明確にします。
・販売価格と利益計画:生産コスト、販売管理費、販促費を考慮し、EC事業として持続可能な価格設定と利益計画を策定します。

 

※関連記事:ペルソナ設計とは?ECサイトにおけるペルソナの重要性をわかりやすく解説!

STEP2:販売チャネル(ECモール/自社EC)の選定と構築

ECの販売チャネルは、大きく「ECモールへの出店」と「自社ECサイト(DtoCサイト)の構築」に分かれます。

 

ECモールへの出店
・集客力が高い、システム構築不要
・ブランドの世界観を表現しにくい
・広範囲の顧客にリーチしたい場合、初期段階

 

自社ECサイトの構築(DtoC)
・自由なブランド表現、顧客データ取得可
・自力での集客が必要、初期構築の労力
・D2Cブランド、ブランドの世界観を重視する場合

 

多くの成功ブランドは、最初はモールで認知を獲得しつつ、最終的には自社ECサイトを主軸に切り替えるハイブリッド戦略を採用しています。

STEP3:法的要件と必要な準備(特定商取引法など)

ECサイトを運営する上で、法律の遵守は絶対条件です。とくに特定商取引法(特商法)に基づく表記は必須です。

 

【特商法に基づく主な表示項目】
・販売業者名、住所、電話番号、代表者名
・販売価格、送料
・代金の支払い時期と方法
・商品の引渡時期
・返品・交換に関する事項

 

これらをサイト内の目立つ場所に明記することが義務付けられています。また、個人情報保護のため、プライバシーポリシーの策定も忘れてはなりません。

STEP4:運営体制の整備

ECサイトの準備と並行して、運営体制の整備が必要です。

 

アパレルECの運営業務は多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下を挙げることができます。

 

・コンテンツ制作・ささげ(撮影・採寸・原稿)業務
・マーケティング業務
・受発注・在庫管理業務
・顧客対応業務

 

詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせてご確認ください。

 

※関連記事:アパレルECの運営はどんな業務をするの? 売り上げを伸ばすための運営方法

アパレルEC特有の課題と対策

市場拡大を続けるアパレルECですが、業界特有の課題も存在します。

 

次は、アパレルEC特有の課題と、解消に向けた対策を見ていきましょう。

【課題1】「試着できない」から生じる購買障壁への対策(サイズ・素材感)

オンライン購入における最大の不安要素は、「サイズやフィット感」「素材の質感」が確認できないことです。アパレル商材はサイズ感やカラー、風合いなど、実際に見たり試着したりしないと判断が難しい商品も多く、これが高い返品率やカゴ落ちの原因となります。

 

こうした課題の解消には、以下のような取り組み・対策が有効です。

 

・AR(拡張現実)試着機能の導入
・AIによるサイズ推奨エンジン導入
・詳細な採寸データ(身幅、肩幅、袖丈など)の掲載
・モデル着用サイズと身長の明記
・高解像度のクローズアップ画像や動画(ドレープ感、生地の動き)の活用
・ライブコマース(ライブ配信での商品紹介・販促)の導入

 

※関連記事:注目を集める「ライブコマース」とは? 新しいECの形と配信のポイント

【課題2】シーズンごとの在庫・欠品リスクへの対策

アパレルは流行に左右されやすく、需要予測が難しい商材です。在庫過多はキャッシュフローを圧迫し、欠品は販売機会損失に直結します。

 

こうした在庫リスク管理には、データに基づいた「精度の高い予測」と「柔軟な生産体制」が求められます。

 

・データ分析の活用: 過去の販売データに加え、SNSのトレンド、気象データなどを分析し、精度の高い需要予測を行う。
・小ロット生産・クイックレスポンス: 初動は小ロットで開始し、売れ行きに応じて迅速に再生産を行う(クイックレスポンス生産)。
・プレオーダー/受注生産の導入: 確実な需要分のみを生産する体制を導入し、在庫リスクを最小限に抑える。

 

※関連記事:アパレルECは在庫管理が売り上げの鍵。効率的な管理につながる方法は?

【課題3】顧客とのコミュニケーション不足とロイヤリティ向上

実店舗と異なり、ECでは顧客との物理的な接点がないため、ブランドへの愛着(ロイヤルティ)を築くのが難しい傾向があります。

 

ロイヤルティを高め、リピーターを育成するためには、「購入後の体験価値」を最大化することが重要です。

 

・CRM(顧客関係管理)の徹底:購入履歴に基づいたパーソナライズされたメールマガジンやDMを配信する。
・UGC(User Generated Content)の活用:顧客レビューやSNS投稿を積極的に紹介し、コミュニティ感を醸成する。
・ライブコマースの導入:リアルタイムで質疑応答を行い、販売員のような接客体験を提供する。

 

※関連記事:ロイヤルティプログラムとは?主な種類やメリット、成功事例を紹介!

【課題4】高まる物流コストと配送品質の維持

配送料金の高騰が続くなか、顧客体験を損なわないための迅速かつ丁寧な配送はEC運営の生命線です。

 

コストを抑えつつ品質を維持するには、効率化とサプライヤーとの連携強化が不可欠です。

 

・配送業者の最適化:複数の配送業者と契約し、配送エリアや商品サイズに応じてコスト効率の良い業者を使い分ける。
・梱包の工夫:ブランド体験を高めるオリジナルの梱包資材を用いつつも、過剰包装を避けてコストと環境負荷を低減する。
・発送業務の外部委託(3PL):発送、ピッキング、梱包といったノンコア業務を外部に委託し、人件費と固定費を削減する。

アパレルECの売上最大化に向けたマーケティング戦略

ECサイトを立ち上げても、マーケティングに取り組まなければ集客することができず、売上アップも見込めません。

 

ここでは、アパレルECのマーケティング戦略について見ていきましょう。

アパレルECサイトにもSEOは必須

Webサイトの集客方法として代表的な施策にSEO(検索エンジン最適化)がありますが、これはECビジネス、ひいてはアパレルECにおいても同様です。

 

とくにアパレルECは、商品のカテゴリやカラー・サイズなどのバリエーションなどによりページ数が多くなりやすく、サイト全体の構造が複雑になりがちです。そのため、ECサイトの構築段階からテクニカルSEOを考慮した設計を行うことが不可欠です。

 

その上で、商品やブランドの特徴や魅力がユーザーにも検索エンジンにも伝わるよう、商品ページやカテゴリページ、TOPページ、特集ページなどのコンテンツを充実させていきましょう。

 

※関連記事:ECサイトにおけるSEOとは?基本から近年のトレンド、フェーズ別の実践方法を解説!

効果的な広告戦略と費用対効果の改善

SEOと合わせて取り組みたいのが、Web広告です。

 

広告は短期間で集客効果を得るための強力な手段ですが、費用対効果(ROAS:広告費用対効果)を常に意識する必要があります。

 

・リターゲティング広告の活用:ECサイトを訪れたものの購入に至らなかったユーザーに対し、再度広告を表示し購入を促します(CPAを抑えるために有効)。
・コンバージョン率の高い商品に集中:広告予算を、過去のデータからコンバージョン率や利益率が高いと判明している商品に集中投下する。
・データフィード広告の最適化:顧客の閲覧履歴に基づき、興味を持った商品をタイムリーに表示する動的な商品広告を活用する。

 

※関連記事:ECサイトの集客に役立つ7つのWeb広告を解説!運用のポイントや成功事例も紹介!

動画や画像などのビジュアル活用

アパレルECにおいて、消費者が商品に直接触れられない分、動画や画像などのビジュアル活用を積極的に行うのも有効です。

 

たとえば、動画で商品の使い方を紹介したり、実際のコーディネート例を画像で紹介したりすれば、ユーザーは商品をイメージしやすくなるはずです。店頭スタッフによるコーディネート例を紹介するのも良いでしょう。

 

また、動画や画像を用いつつブランドの目指す世界観や色調を統一することで、サイト全体でブランドイメージを醸成することも可能です。

 

【お役立ち資料】「“ビジュアル”活用の考え方と活用事例」を無料ダウンロードする

InstagramなどのSNS活用

アパレルECにとって、InstagramやTikTokといったSNSは強力な集客チャネルの一つです。単に商品を宣伝するのではなく、「共感と発見」を提供する場として活用します。

 

SNSの活用例としては、以下を挙げることができます。

 

・インフルエンサーマーケティング:ブランドターゲット層に影響力のあるインフルエンサーと連携し、商品のレビューやコーディネートを投稿してもらう。
・ハッシュタグ戦略:ブランド名だけでなく、ファッションのトレンドキーワードや着こなしのハッシュタグを戦略的に利用し、潜在層にリーチする。
・ユーザー参加型企画の実施:顧客がブランドのハッシュタグを付けて投稿することで参加できる企画(例:着回しチャレンジ)を実施し、UGCを増やす。

 

※関連記事:アパレルECはSNSの活用が大切! 運用前に確認したいポイントは?

オムニチャネル化で店舗との連携を強化する

オムニチャンネル図

 

店舗やECサイトなど、オンライン・オフラインに関わらず、各種チャネルを連携させるオムニチャネルの施策に取り組みましょう。顧客情報や在庫管理などを一元化することで、販売機会を逃すリスクを下げられます。

 

また、ポイントの連動や店舗受け取りの対応など、顧客のニーズに沿った施策を行えるようになり、ファン化を促せる点もメリットのひとつです。

 

※関連記事:オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違いや戦略の成功ポイント、導入事例を紹介

アパレルECの構築・リニューアルなら「メルカート」

アパレルECを成功させるためには、アパレルに必要な機能を有したECサイトを構築することが重要です。クラウドECシステム「メルカート」なら、アパレルEC特有の課題を解決するECサイトを構築できます。

アパレルECに必要な機能を搭載

商品検索やお気に入り機能、自動レコメンドなど、アパレルECに必須のものから売上拡大に欠かせないものまで、多くの機能を搭載しています。

 

また、業種ごとの傾向などを元に豊富なデザインテンプレートを作成していて、スムーズなサイト構築も可能です。テンプレートにオリジナルデザインを反映してブランディング施策につなげることもできます。

 

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外部サービスとの連携実績も豊富

アパレルECで求められる各種決済サービスや、複数のネットショップの受注情報を一元管理するシステムなど、外部サービスとの連携実績も豊富です。

EC初心者でも使いやすいサポート体制

豊富な機能を取り揃えていても、使いこなせなければ意味がありません。メルカートでは、集客からCRMまで専門チームがサポート。初めてEC事業に取り組む方でも、安心してご利用いただけます。

 

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まとめ

今回は、アパレルECに焦点を当てて、市場動向や始め方、よくある課題や成功のポイントなどを解説しました。

 

ネットショッピングが当たり前になった現代、アパレル・ファッション業界においてもECサイトの存在は不可欠になりつつあります。

 

一方で、実際に商品を手に取ることができないECサイトでは、商品の質感やサイズ感などを伝える工夫が必要になります。

 

アパレルECを運営している方や、これからアパレルECを展開しようと考えている方は、今回ご紹介した情報をぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者

株式会社エートゥジェイマーケティング責任者座間 保

2007年に㈱エートゥジェイの創業に参画し2009年に独立。マス媒体以外のトリプルメディアを活用した一貫性のあるWeb戦略立案・戦術プランニング・実行・分析・改善に携わる。結果を重視した戦略的なECサイトやオウンドメディア構築を行う。WebメディアやWeb関連事業の起業を3度経験した、シリアルアントレプレナー。2017年に㈱エートゥジェイに出戻り、マーケティング部門を統括している。

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