インタビュー詳細
10年ぶりのECサイトリニューアルで劇的に変わった顧客体験と社内の業務効率。知見が少なくても成功させた「アツギ」のECリニューアルとは
1968年に日本初のパンティストッキングを発売した、国内ストッキングのリーディングカンパニー「アツギ」。“すべての女性の美と快適に貢献したい”という創業者の思いからはじまった同社は、70年の長きにわたり、レッグウェア、インナーウェアの分野で多くの女性に寄り添ってきた。
そんな同社がEC事業をスタートしたのは2005年。それから10年が経過した2015年にecbeingのクラウド版である「メルカート」でECサイトのリニューアルを実施している。
そこで今回は、同社 繊維事業本部 営業部 ECグループの福島詩文様とF・I様にリニューアルの背景と改良後の状況を聞く。
今回お話を伺った方
- アツギ株式会社
福島 詩文 様 - F・I 様
「糸」の開発・加工から手がけてストッキングをつくる
昨年、創業70周年を迎えられたそうですね。おめでとうございます。まずはアツギ様の創業ストーリーから教えてもらえますか?
福島:弊社は1947年に創業者の堀禄助が、戦後の食糧もままならないなかでも精いっぱいオシャレをしようとしている女性たちを見て、「すべての女性の美と快適に貢献したい」と夢を描いたことからはじまりました。最初は靴下、メリヤス肌着等の製造販売からスタートし、1952年にシームレスストッキングやタイツの販売に着手しています。
I:1968年に日本初のパンティストッキングを製造・販売したのも弊社です。当時はガーターベルトを使って留めるタイプのストッキングが主流でしたが、どうしても下がってきてしまうという悩みがありました。その不便さを解消するために新たに設備の開発や を行い、日本初のパンティストッキングの生産に成功し、販売を開始しました。
70年以上も女性を足元から支え続けてこられたんですね。現在はストッキングメーカーが多数ありますが、アツギ様のこだわりや他社との違いは?
福島:一番のこだわりは「品質」です。弊社は企画から、開発・生産・物流・販売にいたるまで、すべての工程を自社グループ内で行う「一貫生産体制」です。特にストッキング事業においては商品企画を左右する糸の開発、加工から手がけており、この点が競合他社に対する優位性だと認識しています。国内レッグウェア業界では珍しいこの一貫体制こそが、「徹底した品質へのこだわり」=アツギの強み・こだわりを生み出していると思います。
I:品質管理部も弊社の特徴ですね。商品に対するクレームが届いた場合、弊社は社内に品質管理部内に検査機械が揃えてあるので、外部機関を通さずに社内で検査し、確認することができます。そのため、クレーム対応も迅速に行えるところも大きな強みです。
ECサイトを 「情報発信の場」にする
それでは本題のECについてうかがいます。御社がEC事業をスタートしたのはいつからですか?
福島:2005年です。ただ、以前のものは確たる目的のもとにつくったというよりも、時代の流れを受けて「とりあえずつくった」というのが正直なところだと思います。そのため、デザインのクオリティも低く、買いづらいサイト設計になっていました。
10年間、そのまま続けていたのですが、2015年に市場が変化してきたことでECの売上が伸びた影響を受けて、社内にECグループを新設してリニューアルをすることになったんです。
リニューアルにあたってはどのような点を意識しましたか?
I:ただ商品を購入できるだけでなく、お客様が買いやすくなるように情報を発信していく場所にしたいと思いました。たとえば、弊社のストッキングの場合、一言で「ベージュ」と言っても、「ベビーベージュ」「ヌーディベージュ」「オークルベージュ」など、数十種類のベージュ色があります。
それだけの色の種類があるのに、以前のサイトは色の説明がテキストのみで、どんな色か全くわからない状況でした。
そこで、リニューアル後の「ATSUGI ONLINE SHOP」では、自分にぴったりの色がわかる「ストッキングカラー比較」や気分や求める機能で種類を選ぶことができる「ストッキング診断」などのコンテンツをつくり、「ここに来れば自分に合ったストッキングを簡単に買うことができる」と思っていただけるサイトにしようと考えました。
ECに詳しくない。だからこそまずはクラウド版を選択
ECサイトリニューアルのパートナーにecbeingを選んだ理由を教えてください。
福島:パッケージ会社数社に声をかけて、見積を取りました。そのうえで、ecbeingさんは「パッケージシェアNo.1」であり、担当の方は「安心、安全」とセキュリティの高さに対するこだわりを何度も口にしていました。弊社も「安心、安全」にこだわり続けてきた企業なので、同じ匂いを感じましたね。
さらに言えば、ecbeingさんは他社と話す内容が違いました。他社は「このパッケージを利用すれば、これだけ売上があがります」と言うのに対して、ecbeingさんは「社内業務のフローはどのようになってますか?」と、ECサイトのリニューアルだけではなく、リニューアル後も見据えて提案してくれたんです。
I:ecbeingさんの話を聞いていて、まずは売上アップを目指すよりも、社内の業務フローを改善しない限り、絶対に売上はあがらないと思いました。たとえば、弊社は受注のお礼メールや発送通知メールを手書きメールで返信したり、伝票は口頭で読み合わせをしたりと、"超アナログ"な業務フローだったんです。これではECサイトをリニューアルして売上がアップしたとしても、対応することはできないと気づきました。
それから実際にecbeingさんは全10回の要件定義のために、毎回弊社に足を運んでくれて、弊社システムと連携する内容はシステム部と分科会を設けてくださるなど、社内に入り込んでリニューアルを進めてくれました。だから、リニューアルをお願いしたというよりも、アナログだった弊社のシステムをIT化してくれるコンサルティングを依頼したという感覚に近いですね。
アツギ様はパッケージ版ではなく、クラウド版の「メルカート」を選択されていますね。その理由は?
福島:私達は営業部署にいたので、ECに関する知識はほぼ皆無でした。そのため、「パッケージで自由につくりこむことができます」と提案してくださる会社もありましたが、自由につくりこめるほどの知見がそもそもありませんでした。また、10年間リニューアルをしていないのに、自由に作り込むのはかなり危険だと思いました。その点、メルカートは既にある標準機能を選んで構築することができるので、私達に向いていると思いました。
I:メルカートは導入しやすい価格設定だったところもあります。クラウド版よりも高額のパッケージ版を導入する場合、社内でコストに見合った売上アップを求められます。ecbeingさんからはパッケージ版とクラウド版の「メルカート」、それぞれのコストとできることをご提案いただき、弊社に合ったメルカートを選択しました。
業務効率化を実現
リニューアル後の変化について教えてください。
I:さまざまな面で業務効率化ができています。たとえば、購入画面に一目で色がわかるカラーチップを導入したので、「このストッキングのベージュカラーとはどんな色ですか?」といった、色に対する問合せが激減したので、対応する件数が減りました。
また、以前はお客様からの問合せメールをプリント&ナンバリングして管理していたのですが、今は管理画面で「どのお客様からどのような問合せが来ていたか」という履歴を一目で見ることができるので、お客様対応もしやすくなりましたね。
福島:他にも、Googleアナリティクスを使いこなせない私達でもわかりやすい「分析ツール」が組み込まれているので、メルマガの配信時間などを工夫できるようになりました。
I:細かいところではセール期間を設定できるようになったのもうれしいですね。以前は手動で切り替えていたのですが、その手間がなくなり、セールの終了に合わせて価格が戻るので楽になりました。また、以前から受注管理システムを導入しているのですが、以前のサイトが対応しきれておらず、使えない機能がたくさんあったんです。その点、ecbeingさんのシステムを導入したら使える機能が増えて、発送までの工数を削減することができました。
外側のかっこいい部分 だけではなく、内側の業務フローも見直す
ありがとうございます。最後に、EC事業を行ううえでの注意点やアドバイスをお願いします。
福島:ECサイトをもっている企業は対消費者の部分に注力していると思いますが、今回のリニューアルを通して、実は受注した後のフローも非常に大事だと気づきました。そのため、リニューアルする際は「外側のかっこいい部分」だけではなく、「内側の業務フロー」まで見直してみることをおすすめします。
正直に言うと、最初は「10回も要件定義があるのか」と少し憂鬱でしたが(笑)、何度も弊社に来てくれて、実状を知ったうえで提案してくださったので、今はecbeingさんにお願いして本当によかったと思います。
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社名
アツギ株式会社
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設立年月日
昭和22年12月24日
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事業内容
ストッキング、ソックス、インナーウェアの企画開発、製造、販売
構築・運用・サポート
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