宮崎県に根ざし、焼肉のたれやドレッシングなどの名産品を全国に届けている株式会社戸村本店。スーパーやレストランの運営、自社工場や牧場も手掛けるなど、多角的な事業展開を行っています。地元で長年親しまれてきた味をより多くの方へ届けるため、同社は自社ECサイトのリニューアルに着手しました。新たに導入したクラウド型ECカート「メルカート」を活用し、全国への販路拡大や運営効率化を実現。今回、サイトリニューアルの背景や選定理由、メルカート導入による効果、今後の展望について、お話を伺いました。

今回お話を伺った方

• 株式会社戸村精肉本店
  熊村様

メルカート導入の目的・課題・効果

旧ECサイトの課題からリニューアルを決断――宮崎の名産品を全国へ届けるための品揃え拡充・新商品開発と地方企業へのヒント

株式会社戸村精肉本店様の事業内容を教えてください。

我々株式会社戸村精肉本店は、宮崎県に根ざした総合食品企業として、幅広い事業を展開しています。「スーパーとむら」を4店舗運営するほか、レストラン、自社の食肉加工工場を持ち、地域の食卓を支えてまいりました。

また、グループ会社である戸村フーズでは宮崎で広く知られる「焼肉のたれ」やドレッシングなどの調味料を製造しており、戸村牧場では自社ブランド牛の生産も行っています。一次産業から二次産業、三次産業に至るまで、グループ全体で食の川上から川下までを手掛けているのが大きな特徴です。現在、ECサイトでは焼肉のたれやドレッシングをはじめ、鶏肉加工品や餃子などの冷凍商品も取り扱い、宮崎の名産品を全国のお客様にお届けしています。

全国展開を見据えた分かりやすいサイトづくりへ

これまでにもECサイトを運営していたのですが、いくつかの課題を感じていました。以前のサイトは、商品の見せ方が固定されていて、画像や説明文の配置が限られていたため、各商品の魅力を十分に伝えきれていませんでした。

また、情報発信も自由度が低く、キャンペーンや新商品などをタイムリーにアピールすることができませんでした。弊社は営業担当者がおらず、これまでは主に口コミやスーパーへの卸販売を通じて認知を広げてきましたが、県外への販路拡大にはどうしても限界を感じていました。加えて、送料をお客様にご負担いただく分、商品そのものの価値や魅力をきちんと伝えないと、購入までつながりにくいという課題もありました。

このような背景から、より分かりやすく、商品の魅力を伝えやすいサイトにしたいと考え、リニューアルに踏み切りました。お客様にとって使いやすく、情報発信の幅も広がることで、宮崎の名産品を全国の方々に知っていただくための基盤を整えたいという思いがありました。

ブランド成長を見据えた最適なカートシステム導入

ECサイトのリニューアルにあたっては、複数のカートシステムを比較検討しました。その中でメルカートを選んだ一番の理由は、操作性の高さと、宮崎の名産品を全国に広めていくために必要な機能がしっかり備わっていた点です。具体的には、管理画面が非常に分かりやすく、メルマガやアクセス解析、セキュリティ面なども充実していたので、運営の幅が広がると感じました。

また、以前利用していたECカートと比べて、商品ごとに画像やレイアウトを柔軟に変更できる点も大きな魅力でした。CSSやHTMLを使った拡張が可能で、商品の特徴やキャンペーン内容をより効果的に見せられるようになりました。さらに、トップページや特集ページなど様々な情報を1画面で分かりやすく表示できるので、情報発信の自由度も大きく向上しました。

サポート体制の手厚さも安心材料でした。導入や運営に関して困ったことがあっても、すぐに相談できる体制が整っているので、安心して利用できています。こうした点を総合的に判断し、今後のEC事業の成長やブランド価値向上のためにもメルカートが最適だと考え、導入を決めました。

メルカートの自動化機能で業務効率化と販路拡大に貢献

メルカートを導入してから、まず実感したのは売上と注文数の増加です。以前は関東や関西からのご注文が中心でしたが、リニューアル後は東京より北の地域をはじめ、全国各地からご注文をいただくようになり、売上が昨対比で130%の月もありました。また、ECサイトを訪問された方が実際に購入に至るコンバージョン率も、導入前の1.3％から4％近くまで大きく向上しています。特にブラックフライデーのキャンペーン時などは注文が急増し、新規会員登録も大幅に増えました。

運営面でも大きな変化がありました。以前は期間限定の価格変更や会員ランクごとの割引設定を手作業で行っていたため、注文処理に一件あたり5～10分かかっていたのですが、メルカートの自動化機能のおかげで、こうした作業が格段に効率化されました。ピックアップリストの作成ができるようになり、在庫管理や出荷準備もスムーズになったのは大きなメリットです。

さらに、商品の見せ方やキャンペーンの告知など、情報発信の幅が広がったことで、新規のお客様やリピーターの獲得にもつながっていると感じています。全体として、売上・業務効率・情報発信力のすべてが向上し、EC事業の成長に大きく寄与していると実感しています。

また、自社サイトで初めてコラボ商品の販売も行うことができました。これまでもコラボ商品の販売は行っていましたが、以前のカートでは期間限定商品の販売がシステムの制約があり難しかったため、直営店の販売やコラボ先のサイトでの販売に限られていました。

今後の展望を教えてください。

現在のECサイトでは焼肉のたれやドレッシングを中心に14品目を取り扱っていますが、今後は取扱品目をさらに増やしていきたいと考えています。工場の移転に伴い一時的に品数が減ってしまったのですが、まずは従来の品揃えを回復させ、売上目標達成を目指しています。

また、自社の強みである戸村牧場の宮崎県産牛肉をECサイトで販売することも計画中です。これまでスーパーや一部店舗でしか手に入らなかった商品を、全国のお客様にも気軽にお届けできるようにしたいです。

さらに、新設した食肉加工場を活用し、餃子のタレ味など新たな冷凍商品の開発にも積極的に取り組む予定です。スーパーで人気のあった商品や、過去に好評だった富士パンとのコラボ商品「タレのパン」の復活、現在販売中のカルビーポテトチップス焼肉のタレ味など、さまざまなコラボ商品のオンライン販売も強化していきたいと考えています。特に、カルビーとのコラボ商品はSNSでも大きな反響があり、オンライン限定販売など新しい販売方法にもチャレンジしていきたいです。メルカートの予約販売機能なども活用し、お客様のニーズに合わせたサービスを展開していくことで、これからも宮崎の魅力を全国に発信していきたいと考えています。

最後に、メルカートを検討している地方企業の方々へアドバイスをお願いします。

地方の特産品や地元ならではの商品を全国に広めたいと考えている企業は多いと思いますが、まず大切なのは“商品そのものを売る”ことよりも、“自社やブランドの知名度を上げること”だと感じています。例えば、「宮崎県でシェア60%」といった自社や商品の強みを前面に打ち出していくことが、認知度の向上につながります。知名度が上がれば、自然と商品にも興味を持ってもらえますし、売上にもつながっていくはずです。

そのためにも、ECサイトを単なる販売の場として使うのではなく、情報発信やブランド価値の訴求の場として積極的に活用してほしいと思います。また、全国規模の物産展などのイベントにも積極的に参加し、多くの方に自社商品を知ってもらう“きっかけ”を作ることも大切です。露出の機会を増やすことで、より多くのお客様に認知してもらえるようになります。

メルカートは、情報発信やキャンペーン企画なども柔軟に運用できるので、地方発のブランドづくりや全国展開を目指す企業には非常におすすめのサービスだと思います。ぜひ、“自社らしさ”を活かしたEC運営にチャレンジしてみてください。

1. 社名

   株式会社戸村精肉本店

2. 設立

   1972年

3. 取締役社長

   池邉恭行

4. 本社

   〒887-0012 宮崎県日南市園田一丁目2番4号