「エコシステム」とは? 具体例を交えながらわかりやすく解説

「Appleのエコシステム」や「Amazonのエコシステム」など、ビジネスの世界でエコシステムという言葉を耳にする機会が増えています。エコシステムとは具体的にどのような意味の言葉なのでしょうか。

この記事では、エコシステムの概要や具体例、エコシステムを取り入れるメリットについてご紹介します。

   

エコシステムとは

エコシステム(ecosystem)とは英語で「生態系」を意味しており、もともとは生物学で使われていた用語です。生物学上では、特定の領域に存在する生物同士がお互いを必要とし、依存しながら生態を維持する様子を指しています。

 

ITやビジネスの分野ではこれが転じて、「業界や製品がお互いに連携して大きなシステムを形成すること」を指す言葉として用いられるようになりました。期間限定で実施される複数企業の共同キャンペーンなど、限定的な共存もエコシステムに含まれます。

ただし、生産業者と物流業者など特定の活動でのみ連携する「アライアンス」や、商品の共同開発などは異なった考え方となり、これらをエコシステムと呼ぶことはありません。

エコシステムの具体例

エコシステムのわかりやすい具体例としては、スマートフォンやパソコンといったデバイスとアプリケーション/ソフトウェアの関係性が挙げられます。それ以外にも、エコシステムとしてよく知られている事例には次のようなものがあります。

Apple

代表的なエコシステムとして知られている事例が、Apple社のケースです。iPhoneやMacといったApple製品は、チップセットやカメラなど多くの部品から作られており、それらの製作や組み立てには複数の企業が携わっています。

また、Apple社が提供するAppStoreでも、Apple以外の企業によって作られたアプリケーションが多く提供されていますが、これもエコシステムの一環といえます。

Amazon

Amazonも、大規模なエコシステムを形成しているひとつの例です。複数の店舗が出店して運営されているECモールや、IoT関連企業が携わっているスマートスピーカー「Amazon Echo」、Amazonの提供する各種クラウドサービスなどがエコシステムに該当します。

クラウドサービス

インターネット経由でサーバーやアプリケーションの利用ができるクラウドサービスも、エコシステムの一種といえます。

AppleやAmazonと異なり、クラウドサービスは具体的な企業ではありませんが、クラウド構築にはネットワークやOS、ハードウェア、アプリケーションなどを作って提供する多くの企業が連携しています。

 

また、クラウドは独自性が少なく開かれているほど、エコシステムが広がりやすく、スピード感のある変化につながるのも特徴です。クラウドサービスによって相互への影響や進化が起こり得る点が、クラウドサービスがエコシステムに含まれる理由といえるでしょう。

エコシステム導入のメリット

企業がエコシステムを導入することにより、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか。ここでは、エコシステムの持つメリットをご紹介します。

新事業の創出

エコシステムの導入により、複数の企業が協業することとなります。協業の過程で自社以外の技術やアイデアを取り入れられるため、新事業やサービスを生み出すことにもつながる可能性があります。

ユーザーのニーズに素早く対応したり、新しい事業に向けた取り組みを進めたりできるといったメリットが期待できるでしょう。

幅広い層へのアプローチが可能

エコシステムでは、協業する各企業がそれぞれの顧客に向けてプロモーションを行います。自社だけでプロモーションを行う以上に幅広い展開が可能になり、サービスや企業の認知度向上を期待できるのがメリットです。

また、自社でエコシステムを構築する場合、生み出されたプラットフォームによって新たな市場の創出につながる可能性もあります。

クラウドサービスにおけるエコシステムの特徴

 

クラウドサービスにおけるエコシステムは「API」によって実現されています。APIとは、ソフトの一部を公開することで、他のソフトと機能を共有できるようにした仕組みを指す言葉です。

 

複数の企業が連携した結果、巨大なプラットフォームが形成されることで、サービス間でログインパスワードを共有したり更なるサービスを追加したり、ユーザーにとって有益なサービスの提供を実現しているのです。

エコシステム導入のポイント

エコシステムの導入により、販売層の拡大や新たなサービスの創出など、多くのメリットが見込めますが、導入の際には検討しておくべきポイントもいくつかあります。ここでは、エコシステムの導入時に確認しておきたい点をご紹介します。

自社に適しているかを考える

エコシステムの実現には、自社がどのような企業と協業できるか、あるいは自社がどのようにしてエコシステムに参画できるかを考える必要があります。市場における自社の立ち位置を考慮しつつ、そのエコシステムか自社に適しているか考えたうえで導入することが大切です。

導入によるメリットの有無

エコシステムを導入してから利益が上がるまでには、一定の時間とコストがかかります。例えば、特定の強みを持たずに中庸なサービスを提供している企業の場合、他の企業に埋もれてしまいエコシステムの導入が失敗に終わる恐れもあります。

エコシステムの導入によって自社がどのようなメリットを得られるか、あるいはコストに見合った価値を生み出せるかについて、慎重に考えたうえで導入を図る必要があります。

エコシステムは互いの協力関係が不可欠

 

エコシステムを正しく機能させるためには、参画企業が協力しあって最大のパフォーマンスを発揮できる環境が重要です。うまくいかないと、一部の企業だけが多大な利益を上げ、エコシステムの独占を招いてしまう可能性も考えられます。

十分な準備と配慮が必要にはなりますが、新たなビジネスにチャレンジするために、エコシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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株式会社エートゥジェイ
メルカート事業責任者 / 執行役員渡邉 章公

2010年に株式会社ecbeingへ入社。エンジニアとして様々なクライアントのECサイト構築支援に従事。2016年よりSaaS型のECプラットフォーム構築に参画し、2018年に新サービス『メルカート』を立ち上げ。2020年にグループ会社のエートゥジェイへ事業と共に転籍し、執行役員に就任。

渡辺
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