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EC経営者400名に聞いた『データ統合に対する意識調査』全データ公開

EC経営者の半数以上が「データが統合されなければAI競争に勝てない」と危機感を抱えながら、2026年度にデータ統合基盤への投資を増額する企業は2割未満にとどまっています。そのギャップはなぜ生まれ、実際に統合に踏み切った企業はどんな成果を得ているのでしょうか。
株式会社メルカートは2026年3月、EC事業を展開する会社経営者・役員400名を対象に「データ統合に対する意識調査」を実施しました。本記事では、全設問の調査結果を一次データとして公開します。プレスリリースや社内資料・レポートへの引用にご活用ください。
また、本調査をもとに「AI時代のデータサイロ脱却ガイド」としてまとめたホワイトペーパーも無料公開しています。データの読み解き方から、これからのEC基盤に求められる条件まで解説していますので、あわせてご参照ください。
データサイロ脱却ガイド
こんな人におすすめ
・カート選定中で、自社のECにAI活用を見据えたい方
・リアルタイムな経営判断を実現したい方
・AI時代のEC基盤に求められる選定基準をを知りたい方
調査概要
調査名称:データ統合に対する意識調査
調査対象:EC事業を展開する会社経営者・役員
有効回答数:400名
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2026年3月
調査主体:株式会社メルカート( https://mercart.co.jp/ )
※回答者属性:男性92.5%/女性7.5%。年代は50代(39.0%)・60代(42.0%)が中心。企業全体の年間売上規模は「1億円未満」28.8%が最多だが、「100億〜500億円未満」13.3%、「500億円以上」11.8%を含む幅広い規模の経営者が回答。
■調査結果ご利用時の注意事項
調査結果を引用・掲載される際は、調査名「メルカートデータ統合に関する意識調査」の明記をお願いいたします。
Q3:データ統合の優先度と機会損失の実感
設問文:次世代のEC経営において、「分断されたデータ(顧客・在庫・行動等)の統合は経営上の優先事項ですか。また、未統合による「判断の遅れ・機会損失」を感じますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 既に統合されており、リアルタイムな経営判断に活用できている | 97 | 24.3% |
| 統合は進んでいるが、まだ判断に活かすまでのタイムラグがある | 66 | 16.5% |
| 最優先事項であり、実際に判断の遅れや機会損失を強く感じている | 42 | 10.5% |
| 重要な事項であり、たまに判断の遅れや機会損失を感じることがある | 35 | 8.8% |
| 課題ではあるが、今のところ経営判断に大きな影響は出ていない | 61 | 15.3% |
| 優先順位は低く、機会損失も感じていない | 69 | 17.3% |
| その他/当てはまるものはない | 30 | 7.5% |
この設問から、EC経営者のデータ統合への向き合い方は大きく3つのフェーズに分かれています。
「既に統合済みでリアルタイム活用できている」(24.3%)と「統合は進んでいるが活用にタイムラグがある」(16.5%)を合わせると、統合に着手・完了している企業は40.8%にのぼります。
一方で、「最優先事項」「重要事項」として機会損失を実感しながらも、まだ動けていない層が合計19.3%存在します。
さらに「優先順位は低い」(17.3%)と「課題だが大きな影響はない」(15.3%)を合わせた現状維持層も32.5%を占めており、EC業界全体のデータ統合への取り組み水準には依然として大きなばらつきがあります。
Q4:データ統合で追求すべき経営成果
設問文:データ統合によって、経営として最も追求すべき成果は何だと考えていますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| リアルタイムな数値把握による「経営・投資判断の圧倒的な高速化」 | 102 | 25.5% |
| 全チャネル(実店舗・EC・SNS等)の顧客特定による「一貫したブランド体験(OMO)」の提供 | 89 | 22.3% |
| 精緻なROI分析による「広告・販促コストの最適化」 | 56 | 14.0% |
| LTV・離反予測に基づいた「既存顧客の維持・ファン化」の強化 | 30 | 7.5% |
| 定型業務の自動化による「高度専門人材の戦略業務へのシフト」 | 17 | 4.3% |
| その他/当てはまるものはない | 106 | 26.5% |
経営者がデータ統合に求める最大の成果は「経営・投資判断の高速化」(25.5%)でした。「OMOによるブランド体験の提供」(22.3%)が続き、この2項目で全体の約半数を占めています。
注目すべきは「定型業務の自動化・人材シフト」が4.3%にとどまっている点です。経営者がデータ統合に求めているのは「業務効率化」ではなく、「経営判断の質とスピードを上げること」だというのが、この数値が示す事実です。
また「その他/当てはまるものはない」が26.5%と高い比率を占めており、期待の形が各社の経営課題によって異なることも示唆しています。データ統合が「ひとつの正解」に向かう施策ではない以上、導入設計の段階から「何のために統合するか」を明確にしておくことが成否を分けます。
Q5:データのサイロ化が招く経営リスク
設問文:社内のデータが「サイロ化(各システムで分断)」していることで、経営判断において最も懸念しているリスクは何ですか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 顧客ニーズの変化や市場の予兆を把握できず、競合に後れを取る | 90 | 22.5% |
| 施策の効果が不透明なまま、多額の予算を投じ続けてしまう(ブラックボックス化) | 82 | 20.5% |
| 現場の「勘と経験」に頼った運営になり、事業の再現性・継続性が失われる | 81 | 20.3% |
| データの収集・加工に膨大な時間がかかり、組織全体の生産性が低下する | 34 | 8.5% |
| その他/特に懸念はない | 113 | 28.3% |
データサイロ化が招くリスクとして、「競合に後れを取る」(22.5%)「予算のブラックボックス化」(20.5%)「勘と経験への依存」(20.3%)の3項目がほぼ拮抗して上位に並びました。
3つが横並びになるというのは、サイロ化の悪影響が「競争力」「投資効率」「組織の再現性」という、まったく異なる経営軸に同時に及んでいると経営者が直感していることを示しています。
「データ加工に時間がかかる生産性低下」(8.5%)が相対的に低い点も見逃せません。経営者がデータサイロ化の問題を「現場の手間」ではなく「経営意思決定の質の低下」として捉えているからこそ、この順位になっています。
つまり経営者は、データ統合の価値を「担当者の工数が減る」という文脈ではなく、「判断の精度とスピードが上がる」という文脈で評価しています。社内でデータ統合の必要性を上申する際には、この視点が重要な論点になります。
Q6:データ統合・DX化を阻む組織の壁
設問文:データ統合・DX化を阻む「組織的な壁」として、最も大きいものはどれですか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| IT部門と事業部門の戦略的な連携不足(目的の不一致) | 75 | 18.8% |
| データ活用を前提としたビジネスプロセスの欠如 | 64 | 16.0% |
| 過去のシステム投資(レガシーシステム)の減価償却やサンクコスト | 60 | 15.0% |
| 統合基盤の構築にかかる莫大な初期投資と不透明な投資回収期間 | 42 | 10.5% |
| 全社的なデジタルリテラシー・変革を推進するリーダーシップの不足 | 37 | 9.3% |
| その他/特に組織的な壁はない | 122 | 30.5% |
データ統合・DX化を阻む最大の壁は「IT部門と事業部門の戦略的な連携不足」(18.8%)でした。「データ活用を前提としたビジネスプロセスの欠如」(16.0%)「レガシーシステムのサンクコスト」(15.0%)が続きます。
上位3項目はいずれも技術の問題ではありません。組織の構造・文化・過去の意思決定に起因する課題です。
この結果が示すのは、DXが進まない理由が「良いツールがない」ことではなく「使う組織側の準備が整っていない」ことにある、という事実です。
IT部門が「何を作るか」を決め、事業部門が「何に使いたいか」を伝えるという分断が残る限り、どれほど高機能なシステムを導入しても活用の成果は出ません。データ統合を成功させるには、システム選定と並行して、組織横断でのデータ活用方針の策定と意識合わせが欠かせません。
Q7:AIに対する期待と変革の方向性
設問文:AIをEC運営の根幹に導入・強化することで、経営層として現場に期待する「最大の変革」は何ですか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 特に期待していない | 97 | 24.3% |
| 予測データに基づく「攻めの在庫管理・販促計画」へのシフト | 91 | 22.8% |
| 顧客体験(CX)の極大化による、LTV(顧客生涯価値)の最大化 | 83 | 20.8% |
| 現場が作業から解放され、より高度な戦略立案に集中できる環境作り | 69 | 17.3% |
| 専門スキル不要で、誰でも高度な分析・運用ができる「業務の標準化」 | 51 | 12.8% |
| その他 | 9 | 2.3% |
最も注目すべきは「特に期待していない」が24.3%で最多回答になった点です。AIブームが叫ばれる中、EC経営者の4人に1人がAI導入への明確な期待を持っていない。これが現実です。業界全体のAI活用が、一部の先行企業に偏っている実態を示しています。
一方で、AIに期待する層の内容は具体的です。「攻めの在庫管理・販促計画」(22.8%)「LTV最大化」(20.8%)は、膨大なデータをリアルタイムで処理しなければ実現できない施策です。経営者がAIに求めているのは「コスト削減」ではなく、「人間では不可能だった精度と速度での売上最大化」であることがわかります。
「業務の標準化」(12.8%)が最下位に近い点も、この解釈を裏づけています。属人化の解消はあくまで手段であり、経営者が最終的に目指しているのはその先の成果です。
AIへの期待派と不期待派がはっきり分かれているという事実は、業界の二極化が始まっていることを示しています。現時点でAIに懐疑的な経営者層に具体的な成功事例を提示できていないことが、普及のための最大のボトルネックになっています。
Q8:AIエージェントの仕組みへの感触
設問文:「膨大なデータの分析」から「課題特定」、「具体的な改善策の提案」、「システムへの設定実行」までを、専門家のように一貫して代行・支援するAIの仕組みについて、どう感じますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 経営判断のスピードと精度を飛躍的に高める、有力なビジネスパートナーになる | 102 | 25.5% |
| 人的リソースに依存しない「次世代のEC運営」として、非常に価値が高い | 85 | 21.3% |
| 特に何も感じない | 75 | 18.8% |
| 現場の負担を減らす「優れたツール」だが、最後は人間が介在すべきだ | 59 | 14.8% |
| 仕組みとしては面白いが、自社の実務に馴染むか懐疑的である | 39 | 9.8% |
| AIにそこまで任せる必要性は感じない | 36 | 9.0% |
| その他 | 4 | 1.0% |
分析から実行まで一貫して代行・支援するAIエージェントの仕組みに対し、「有力なビジネスパートナーになる」(25.5%)「価値が高い」(21.3%)という積極的な評価が合計46.8%に達しました。
Q7で「AIに特に期待していない」が24.3%だったのに対し、具体的な仕組みを提示した設問では肯定評価が大きく上回っています。「AIはよくわからない」という感覚の裏側に、具体的なイメージさえ持てれば評価が変わる潜在層が相当数存在することを示しています。
「AIにそこまで任せる必要性は感じない」(9.0%)と「自社実務への懐疑」(9.8%)を合わせた否定的評価は18.8%にとどまり、「特に何も感じない」(18.8%)という無関心層も一定数存在します。
「最後は人間が介在すべき」(14.8%)という回答は、AIへの全面委任への慎重さを示すものの、AIを否定しているわけではありません。EC経営者がAIエージェントを「すべてを任せる存在」ではなく「意思決定を支援するパートナー」として位置づけている姿が、この数値から読み取れます。
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Q9:ECプラットフォーム選定で重視する要素
設問文:今後のECプラットフォーム選定において、以下のうち最も「経営層として魅力的」と感じる要素はどれですか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 自社が持つあらゆるデータ(1stパーティデータ)が容易に統合・可視化できること | 95 | 23.8% |
| 将来の事業拡大に合わせて、システムをゼロから作り直さず拡張できること | 82 | 20.5% |
| 初期コスト・月額コストの低さ | 77 | 19.3% |
| 常に業界の最新トレンドやセキュリティ対策が自動でアップデートされること | 71 | 17.8% |
| 手厚い伴走支援(カスタマーサクセス)により、運用の不安がないこと | 44 | 11.0% |
| その他 | 31 | 7.8% |
「1stパーティデータの統合・可視化」が23.8%でトップとなり、「コストの低さ」(19.3%)を約4ポイント上回りました。長らくプラットフォーム選定の最大の評価軸だったコスト優位性より、データ活用力を重視する経営者が多い結果です。
「拡張性」(20.5%)が2位に入った点も重要です。「現在の要件に合うか」ではなく「将来の成長に対応できるか」という視点でプラットフォームを評価する経営者が増えています。AI・データ活用の進化を見据えた、長期的な選定が主流になりつつあります。
上位4項目(データ統合力・拡張性・コスト・自動アップデート)はいずれも「今よりも3〜5年後の競争力」に関わる要素です。EC経営者のプラットフォーム選定の視点が、確実に近未来志向にシフトしています。
Q10:ECプラットフォームの進化への期待
設問文:ECプラットフォームは今後、「単なる販売・管理の場」から、データをもとに「経営の意思決定を支える頭脳」へと進化すべきだと思いますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 強くそう思う(プラットフォームに求める役割が変わる) | 125 | 31.3% |
| どちらかといえばそう思う | 150 | 37.5% |
| 今のまま(販売・管理機能中心)で十分である | 73 | 18.3% |
| 分からない | 44 | 11.0% |
| その他 | 8 | 2.0% |
「強くそう思う」「どちらかといえばそう思う」の肯定層が合計68.8%と約7割に達しました。ECプラットフォームを「販売・管理の場」にとどめる必要はなく、「経営の意思決定を支える頭脳」へと進化させるべきという認識が、EC経営者の間では既にマジョリティです。
「今のままで十分」(18.3%)と回答した層の存在も見逃せません。現状に大きな不満がない企業においては、「統合によって何が変わるか」を可視化した具体的な成果事例が、最も有効な説得材料になります。
Q13で示される「統合済み企業の89.6%がKPI改善を実感」という数値は、こうした層に対しても最も説得力のある根拠になるでしょう。
Q11:2026年度 IT・システム予算の増額予定
設問文:2026年度、IT・システム予算において前年度より最も増額する予定の項目はどれですか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 増額する予定のものはない | 123 | 30.8% |
| 広告・新規顧客獲得(ADテック) | 77 | 19.3% |
| データ統合基盤・分析環境(CDP/DWH/BI) | 73 | 18.3% |
| サイトUI/UX・フロントエンド改善 | 54 | 13.5% |
| 在庫・物流・バックヤードシステム | 37 | 9.3% |
| カスタマーサポート(チャットボット等) | 23 | 5.8% |
| その他 | 13 | 3.3% |
「増額する予定のものはない」が30.8%で最多という結果は、EC業界全体のIT投資の足踏みを如実に示しています。
データ統合基盤(CDP/DWH/BI)への増額予定は18.3%。Q15で「データサイロ化がAI競争の不利になる」と認識している経営者が58.0%いることと並べると、危機感と行動の間に大きなギャップがあることがわかります。
さらに気になるのは投資の順番です。広告・新規顧客獲得への増額(19.3%)がデータ統合基盤(18.3%)をわずかに上回っており、データが整備されていない状態での広告投資は、Q5で経営者自身が懸念した「施策のブラックボックス化」を深めるリスクをはらんでいます。先に基盤を整えた上で広告効率を高めるという順序ではなく、引き続き獲得投資を優先する企業が多いことが、この数値に表れています。
Q12:複数データ横断集計にかかる時間
設問文:経営会議などで『施策ごとのLTV』や『在庫回転率と連動した広告ROI』など、複数データを跨ぐ集計が必要な数字を求められた際、手元に届くまでにどのくらいの時間を要しますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 即時(リアルタイムにダッシュボードで見られる) | 102 | 25.5% |
| 当日中 | 97 | 24.3% |
| 2〜3日程度 | 81 | 20.3% |
| 1週間程度 | 29 | 7.3% |
| 1週間以上かかる / 算出できない | 42 | 10.5% |
| その他 | 49 | 12.3% |
「2〜3日程度」「1週間程度」「1週間以上・算出できない」を合計した"3日以上かかる"層は37.9%にのぼります。経営会議で求められた数字が翌週以降にしか揃わないとすれば、意思決定の質と速度の両方が損なわれます。
一方、「即時(リアルタイム)」と「当日中」を合わせた"当日中に揃う"層も49.8%と約半数を占めており、EC業界の中でもデータ環境の整備度に大きな格差があることがわかります。
特に注目すべきは「1週間以上かかる/算出できない」(10.5%)の存在です。複数データを横断した集計がそもそも不可能な企業が1割超存在する。Q4で示された「経営・投資判断の高速化」というデータ統合への期待が、今まさに満たされていない企業がこれだけあるということです。
Q13:データ統合後のKPI改善実感(統合済み企業のみ)
設問文:データ統合を実現したことで、LTV(顧客生涯価値)やリピート率などの主要KPIは、導入前と比較してどの程度改善しましたか。(n=163 ※Q3でデータ統合済みと回答した企業のみ)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 30%以上向上した | 40 | 24.5% |
| 20%〜30%未満向上した | 57 | 35.0% |
| 10%〜20%未満向上した | 35 | 21.5% |
| 10%未満の向上 | 14 | 8.6% |
| 変わらない | 17 | 10.4% |
この設問は、データ統合への投資判断を検討しているすべての企業にとって最も参考になるデータです。統合済み企業のうち、何らかのKPI改善を実感した割合は89.6%。「変わらない」は10.4%にとどまっています。
改善の規模にも注目してください。「20〜30%未満向上」が35.0%と最多で、「30%以上向上」が24.5%。統合に踏み切った企業の約6割が、20%以上という意味のある水準でのKPI改善を実現しています。
「やってみたが効果が出なかった」という結果ではなく、「やれば確実に成果が出る」という実態が数値で裏付けられています。
ただし、「変わらない」10.4%の存在も現実として直視する必要があります。データ統合はあくまで手段であり、統合後にどのようなデータ活用設計をするかが成否を分けます。データを繋いだ後、分析と施策実行をどこまで一気通貫で行えるか。この差が89.6%と10.4%を分けているポイントです。
Q14:データ加工・レポート作成にかける月間工数
設問文:貴社のマーケティングや経営企画の担当者が、『データの抽出・加工・レポート作成』のためだけに費やしている時間は、月間合計でどの程度だと推測しますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 100時間以上(数人分が常時稼働) | 39 | 9.8% |
| 50〜100時間未満 | 57 | 14.3% |
| 20〜50時間未満 | 105 | 26.3% |
| 20時間未満 | 112 | 28.0% |
| ほぼゼロ(自動化されている) | 33 | 8.3% |
| その他 | 54 | 13.5% |
月間20時間以上をデータ加工・レポート作成に費やしている企業は、「その他」を除くと50.4%と半数を超えます。「100時間以上」(9.8%)の企業では、毎月数人分の稼働リソースがデータ加工という付加価値を生まない作業に割かれているということになります。
「ほぼゼロ(自動化されている)」はわずか8.3%。大半の企業でデータ加工が手作業で行われており、Q12で示した「3日以上かかる横断集計」という結果とも直結しています。
データ加工に費やしている時間は、本来なら施策立案・改善実行に使えるはずのリソースです。月20〜50時間をデータ加工に使っている企業が26.3%と最多層を形成しており、この層にとってデータ統合の恩恵は工数削減だけでなく、「戦略思考に使える時間を取り戻す」という形で現れます。
Q15:データサイロ化がAI競争に与える影響
設問文:AIがEC運営を自動化・高度化していくこれからの時代において、自社の「データの分断(サイロ化)」が、AIの学習・活用を阻害し、競合他社との「経営能力の差」を広げる決定的な要因になると感じますか。(n=400)
| 回答選択肢 | n | % |
|---|---|---|
| 非常に強く感じる(データが統合されない限り、AI競争に勝てない) | 89 | 22.3% |
| やや感じる(AIを活かすために、まずデータ統合が不可欠だと考えている) | 143 | 35.8% |
| あまり感じない(データがバラバラでも、最新のAIツールを導入すれば解決すると思う) | 59 | 14.8% |
| 全く感じない(AI活用やデータ統合が経営の優劣に直結するとは考えていない) | 37 | 9.3% |
| 分からない(データ統合とAI活用の関係性が明確でない) | 72 | 18.0% |
「非常に強く感じる」「やや感じる」の合計は58.0%。EC経営者の6割近くが、データサイロ化の解消をAI競争の前提条件として認識しています。
「AIツールを導入すればデータがバラバラでも解決する」(14.8%)という回答も一定数見られますが、実際にはAIの精度は学習データの質と量に直結しており、分断されたデータでは高度なAI活用は成立しません。
「分からない」が18.0%と比較的高い点にも注目です。データ統合とAI活用の関係性についての理解が、業界全体でまだ十分に浸透していません。
この層は否定しているわけではなく、理解が追いついていない状態です。「顧客行動データ・購買データ・在庫データが統合されていないと、AIはパーソナライズのためのパターン学習ができない」——こうした具体的なメカニズムを平易に説明することが、このセグメントの意識を変えるきっかけになります。
調査から見えた5つのポイント
全15設問のデータを横断すると、EC業界のデータ統合・AI活用をめぐる現状について、5つの構造的な示唆が浮かび上がります。
ポイント1:経営者は危機感を持っているが、組織の壁に阻まれて動けない
データサイロ化がAI競争の不利につながると感じている経営者は58.0%(Q15)、ECプラットフォームに「経営の頭脳」への進化を求める声は68.8%(Q10)。しかし2026年度にデータ統合基盤への投資増額を予定している企業は18.3%(Q11)にとどまり、投資増額なし企業は30.8%と最多です。
この乖離は「意欲がない」のではなく「踏み出せない」状態を示しています。Q6が明らかにした「IT部門と事業部門の連携不足」「レガシーシステムのサンクコスト」「初期投資と回収の不透明さ」という3つの組織的な壁が、危機感を行動に変換する回路を塞いでいます。
ポイント2:データ統合に踏み切った企業の約9割が成果を実感している
統合済み企業のKPI改善実感は89.6%(Q13)。「30%以上向上」(24.5%)と「20〜30%向上」(35.0%)を合わせると、6割近くが20%超の大幅改善を実現しています。「やるかやらないか」を迷っている企業にとって、このデータは最も力強い根拠になります。
「効果が出るかどうか」の不確実性は、既に低いです。問いは「どうやって進めるか」という実行設計に移っています。
ポイント3:経営者が求めるAIの役割は「作業の代替」ではなく「経営判断の高度化」
Q7でAIへの最大の期待として「攻めの在庫管理・販促計画」(22.8%)と「LTV最大化」(20.8%)が上位に入り、「業務の標準化」(12.8%)は最下位に近い結果でした。
Q4でもデータ統合の目的として「経営・投資判断の高速化」(25.5%)が「業務自動化による人材シフト」(4.3%)を大幅に上回っています。
経営者がAIおよびデータ統合に期待しているのは「人件費削減」「作業効率化」ではなく、「人間だけでは下せなかった意思決定を、高精度・高速で実現する」という経営インパクトです。この視点は、現場から上申する際の論点としても有効です。
ポイント4:今のAIへの姿勢の差が、数年後の経営力の差になる
Q7で「AIに特に期待していない」と回答した経営者は24.3%で最多。Q11ではIT予算を増額しない企業が30.8%に達します。
一方でAIに積極的な企業はデータ統合への投資も進めており、Q13が示すようにその成果は既に数値で現れ始めています。AIへの姿勢の違いがデータ整備の差を生み、その差がAI活用精度の差になり、最終的には経営スピードと収益力の格差として顕在化していく——この構造が続けば、EC業界の二極化は今後数年で決定的なものになります。
ポイント5:プラットフォームに求められる役割が「販売管理」から「経営基盤」へシフトしている
プラットフォーム選定で最も重視する要素として「1stパーティデータの統合・可視化」(23.8%、Q9)が「コストの低さ」(19.3%)を上回り、「経営の頭脳への進化」を求める声は68.8%(Q10)に達しています。
ECプラットフォームに期待される役割は「注文を処理する箱」から「データを経営判断に変換するインフラ」へと明確にシフトしています。「機能が多い」「価格が安い」だけを訴求するプラットフォームは、今後の選定軸には合わなくなっています。
データサイロ脱却ガイド
こんな人におすすめ
・カート選定中で、自社のECにAI活用を見据えたい方
・リアルタイムな経営判断を実現したい方
・AI時代のEC基盤に求められる選定基準をを知りたい方
調査を踏まえたメルカートの考え方
今回の調査から明らかになったのは、EC経営者の6割近くがデータサイロ化の危機感を持ちながら、実際に統合基盤への投資に動いている企業は2割未満にとどまるという現実です。
しかし、統合に踏み切った企業の89.6%がKPI改善を実感しており、「やれば成果が出る」ことは数値で証明されています。
データ統合はもはや大企業だけの話ではなく、AI活用の精度を左右する経営インフラとして、すべてのEC事業者が向き合うべきテーマになっています。
メルカートでは、データ統合とAI活用をワンストップで進められる環境を専任チームの伴走とともに提供しています。まず自社の現状を整理したい方は、本調査をまとめたホワイトペーパーをご活用ください。
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この記事の監修者
株式会社メルカート
執行役員座間 保
クラウドECプラットフォーム『メルカート』のマーケティング・インサイドセールス統括責任者。SEO・広告・SNS・GrowthHackなど、デジタルマーケティング全領域に精通。株式会社エートゥジェイの創業メンバーとして参画し、WEBサービスやコンサルティング会社の設立を経てエートゥジェイに復職。デジタルマーケティング事業責任者として支援部署を立ち上げ、執行役員兼マーケティング統括責任者に就任。2025年のメルカート分社化に伴い転籍し、現在は株式会社メルカートの執行役員としてマーケティング・インサイドセールスを統括している。
専門領域:クラウドEC、BtoBマーケティング、SEO、デジタル広告、インサイドセールス、SaaSグロース

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