注目を集める「ライブコマース」とは? 新しいECの形と配信のポイント

スマートフォンの普及や新型コロナウイルス感染症の影響により、ECサイト(ネットショップ)で商品を購入するのが当たり前になりつつあります。ECの新しい形として中国で広がりを見せ、日本でも注目されているのが「ライブコマース」と呼ばれる販売方法です。

顧客との接点を強化しながら売り上げを伸ばすために、ライブコマースの導入を検討しているEC担当者の方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、ライブコマースを取り組む際に知っておきたい基礎知識から、魅力的なライブコマース用コンテンツの作り方などをご紹介します。

   

ライブコマースとは

 

ライブコマース(Live Commerce)とは、ライブ配信の動画内で商品紹介を行い、顧客の購買を促す販売形態です。専用のプラットフォームやSNSなどでライブ配信を行い、商品を紹介します。

 

従来のECサイトは、商品ページの文章や写真で商品を紹介していました。一方で、ライブコマースは動画を使うので、文章では伝えるのが難しい商品の魅力や使い方などを、正確に伝えることができます。

 

また、リアルタイムで商品やサービスを紹介するというライブ配信の特性上、配信者(ライバー)と視聴者がコミュニケーションを取れるため、その場ですぐに疑問点を解消できる点も、ライブコマースの特徴です。

中国では既に大きな成果を収めているライブコマース

世界の中でも、ライブコマースが大きな盛り上がりを見せているのが中国です。中国国内は多くのECサイトがライブコマースを導入していて、2025年には2兆元(約42兆円)の市場規模になるとも予測されています。

 

中国でライブコマースが流行した理由はいくつか考えられますが、大きな要因に商品への信頼度の低さが挙げられます。中国のECサイトでは偽物や不良品も多く出回っていて、ユーザーからの信頼度が低い状態にありました。

 

しかし、ライブコマースは配信者が良いと思った商品を紹介するうえに、リアルタイムで商品に関する質問を行うこともできます。

説明文と写真しかない通常のECサイトよりも安心感が高い仕組みとして、ユーザーに受け入れられたのです。

 

日本でもライブコマースは徐々に広がりつつありますが、現状は認知度が低く、浸透しているとは言い切れません。とはいえ、成功事例も既に生まれていて、今後徐々にライブコマースが広がりを見せる可能性はあります。

ライブコマースのメリット

ライブコマースは、従来の販売手法とは異なるメリットを持っています。どのようなメリットがあるのかを、導入前に確認しておきましょう。

商品の魅力を伝えやすい

年々需要が伸びつつあるECサイトですが、「商品を実際に手に取れないのが不安」と、買い物に抵抗感を覚える人もいます。

ライブコマースでは、配信者が商品の感想を紹介したり、実際に使ったりする様子を見ることが可能です。

説明文や写真を見るだけよりもイメージが湧きやすく、商品の魅力も伝えやすくなります。

顧客とコミュニケーションを取りやすい

リアルタイムで配信を行う点も、ライブコマースのメリットです。商品の使用感を直接伝えるだけでなく、視聴者の疑問に配信者がその場で答えることができます。

配信者と顧客がコミュニケーションを取りやすく、商品への想いや活用方法などを具体的に紹介できるでしょう。

 

また、顧客が商品に対して何を思っているのか具体的に知ることで、商品の改善につなげたり、マーケティングに生かしたりすることもできます。

データの移行や設定を行う

多くのメリットがあるライブコマースですが、配信内容によっては効果が見られないばかりか、ブランドのイメージを損なう可能性も捨てきれません。効果的にライブコマースを行うためには、魅力的なコンテンツの作り方を押さえることが重要です。

ライブコマース用のコンテンツを作る際は、以下の点を確認しておきましょう。

配信時間や頻度を決める

最初に、ライブ配信の時間や頻度を決めておきましょう。例えば、深夜や早朝に短時間だけライブ配信を行っても、視聴者がほとんど来ない可能性があります。

30代の男性が対象なら終業後の20時前後、専業主婦が対象ならお昼など、ターゲットに合わせて配信時間を決めることがポイントです。

 

具体的な配信の長さは商品にも左右されますが、1時間程度が目安だとされています。短すぎるとユーザーが配信に気付く前に終わってしまい、長すぎると飽きて視聴を止めてしまう可能性があるため、注意が必要です。

 

また、配信頻度もポイントです。配信が多すぎると視聴者の負担になり、少なすぎると物足りなさを感じることが考えられます。週1度程度を目安に、ユーザーの反応を見ながら配信頻度を調整していくと良いでしょう。

配信するプラットフォームを決める

配信時間だけでなく、プラットフォームの選定も必要です。ライブコマースの配信方法は、大きく自社サイトと専用のプラットフォームの2種類に分けられます。それぞれのメリット・デメリットは、以下の通りです。

 

【自社サイト】

自社サイトにてライブ配信を行います。自社サイトの利用をユーザーに促すことができ、ブランドの世界観を表現しやすいのがメリットです。

ただし、自社サイトを知らないユーザーに訴求するのが難しいため、新規顧客の取り込みには向きません。

 

【専用プラットフォーム】

YouTubeやInstagram、LINEといったライブ配信が可能なSNSや、ライブ配信専用のプラットフォームを活用するパターンです。自社サイトよりもライブ配信の手間がかかりにくく、既存プラットフォームのユーザーを取り込める可能性もあります。

 

一方で、オリジナリティを出すのが難しい、自社ECサイトに誘導できずユーザーが離脱する恐れがあるなどのデメリットも考えられます。

紹介する商品の選定

ライブコマースで紹介する商品も、成功を左右するポイントです。実際に使いやすく、視覚的に魅力や効果がわかる商品の方が、ライブコマースには適しています。

例えば、化粧品はその場ですぐに肌のトーンやツヤなどの違いが見て取れるため、ライブコマースに向いた商品といえるでしょう。

 

また、ECサイトで問い合わせが多く、ユーザーが興味を持っている商品を紹介するのもおすすめです。多くの視聴者に訴求することができ、ライブ配信も盛り上がりやすくなります。

大まかな流れを作る

ライブ配信を行う時間や紹介する商品を決めたら、大まかなライブの内容や流れを考えておくことも重要です。リアルタイム性や視聴者との突発的な掛け合いがライブ配信の魅力とはいえ、大まかな流れが決まっていないと、動画の内容が乱雑になってしまう恐れがあります。

 

また、配信内容や発言が不適切で、ブランドイメージを損なってしまうこともあるでしょう。

また、リニューアルしてすぐに旧サイトを閉鎖するのではなく、旧サイトから直接新サイトに遷移できるように設定しておくのも有効です。リニューアルを知らない顧客に、「サイトが閉鎖した」と勘違いされるのを防ぐことができます。

大まかな流れや想定される質問に対する回答などはあらかじめ作っておき、不要なトラブルを避けることがポイントです。

映像の乱れや、見えてはいけないものを映してしまうといった事態を防ぐために、リハーサルを一度行っておくこともおすすめします。

ライブコマース成功のコツは「出演者」の選び方

ライブコマースは、配信する人によって印象が大きく変わります。商品を魅力的に紹介するためには、配信者選びが重要なポイントです。

ライブコマースの配信者を決める際に意識したい点をご紹介するので、参考にしてみてください。

コミュニケーションを取れるか

ライブコマースの魅力は、ECサイトでは難しい視聴者と配信者のコミュニケーションが取りやすい点です。視聴者のコメントと上手にコミュニケーションを取れる配信者ではないと、ライブコマースの強みを生かすことができません。

 

また、ライブ配信は商品を宣伝するだけではなく、視聴者を楽しませる場でもあります。視聴者を楽しませることができる配信者かどうかも、重要なポイントです。

商品の知識が豊富か

配信者は、商品の魅力を視聴者に伝える必要があります。視聴者から寄せられる商品への質問に答えられなければ、購入につなげることはできません。

面白い配信ができるかどうかだけでなく、質問や疑問に回答できるだけの商品知識も求められます。

ブランディングに即した人物か

ライブコマースにおいて、配信者は商品や企業のイメージを代弁する存在です。ブランディングに即した人物を起用することも心がけましょう。

例えば、若い女性向けの商品を展開しているブランドの配信に、年配の男性インフルエンサーを起用しても、効果が出ない可能性は高いです。

 

フォロワー数や知名度だけで配信者を決めるのではなく、日頃から自社商品について発信していて商品理解度が高い人や、ターゲット層からの人気が高い人を起用する必要があります。

ライブコマースで顧客との接点を増やそう

ライブコマースは、商品の魅力を動画で伝えることができるマーケティング手法です。従来のECサイトでは難しかった、顧客との双方向のコミュニケーションを取ることができます。

 

日本ではまだ発展途上の手法ですが、だからこそ、先行して取り組むことで大きなメリットを得られるはずです。

どのようなユーザーに向けて、どのような商品を紹介したいのかを踏まえたうえで、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

弊社ではライブコマースを実装可能なECプラットフォームのご提案が可能です

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この記事の監修者

株式会社エートゥジェイマーケティング責任者座間 保

2007年に㈱エートゥジェイの創業に参画し2009年に独立。マス媒体以外のトリプルメディアを活用した一貫性のあるWeb戦略立案・戦術プランニング・実行・分析・改善に携わる。結果を重視した戦略的なECサイトやオウンドメディア構築を行う。WebメディアやWeb関連事業の起業を3度経験した、シリアルアントレプレナー。2017年に㈱エートゥジェイに出戻り、マーケティング部門を統括している。

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