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セミナーレポート ECサイトで売上/LTVをUPさせる手法 〜顧客理解×広告最適化×CVR向上×F2転換〜(4社共催セミナー)
株式会社Sprocket、meyco株式会社、Spider Labs Inc、株式会社エートゥジェイの4社は2022年8月30日(火)に、EC担当者やWebマーケターの皆様を対象とした共催Webセミナー『ECサイトで売上/LTVをUPさせる手法 〜顧客理解×広告最適化×CVR向上×F2転換〜』を開催しました。本記事ではその概略をレポートいたします。
【目次】
■第2部(Spider Labs Inc) アドフラウド対策入門講座
■第3部(株式会社Sprocket) 顧客の行動とECサイトのCVR改善事例
セミナー登壇者
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meyco株式会社
ユザシル事業 統括
山際 友貴氏新卒で通販・EC事業に特化したダイレクトマーケティング支援企業にて、顧客の売上拡大・BtoBマーケティング業務に従事。その後、meyco株式会社に参画。Webディレクター、LINE公式アカウント運用サービス立ち上げに従事。現在は、顧客へのヒアリングを用いて、新規獲得施策の効果を上げる『ユザシル』の事業拡大に邁進中。
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Spider Labs Inc Business Development
小沢 勲男氏大学院にて人工知能と行動経済学分野の研究に従事し、マーケティングに応用するために基礎特許を出願。2019年に新卒で通販に特化した広告代理店に入社し、一貫して複数の新規事業の立ち上げに従事。2021年8月からSpider LabsにてPR・Marketingとして参画し、現在は事業開発に従事。その他、マーケティング支援、新規事業開発、大学の客員研究員などを兼務。
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株式会社Sprocket
代表取締役
深田 浩嗣氏15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を支援することを目指している。著書:『いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本』(インプレス)ほか。
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株式会社エートゥジェイ
執行役員 / 営業局長
藤井 太一2008年にエートゥジェイへ入社。 営業としてオープンソースからスクラッチ開発まで様々なWEBサイトの構築を提供。またサイト構築時におけるユーザー設計、広告、SEO、CRMといった企業のデジタルマーケティング全般の支援に従事。 2018年にソフトクリエイトHDのグループに入るタイミングで執行役員に就任。 クラウドEC「メルカート」および国産CMS「SiteMiraiZ」の営業を管掌。
第1部(meyco株式会社) なぜ新規獲得施策の効果が上がらないのか?顧客の購買行動・訴求表現・クリエイティブを見直し、売上を上げる潜在顧客マーケティングとは
通販・EC事業者がマーケティング施策において、よく陥るケース
なぜ成果が上がらないのか
マーケティング担当者の方々は、新規顧客の獲得効率が悪化しているが、原因が分からない、新規施策を打っているが成果につながらない。など悩みは様々あるかと思います。施策を実施している企業様を見てみると、自社の顧客と有効施策の仮説立てから始め、施策を実施します。その後効果検証を行い、改善を繰り返していくという企業の方々が多いようです。その中で、施策の1つとして、広告運用やSNS運用、LPOなどに取り組んでいるようです。
しかし、その施策の成果がなかなか出ないと悩まれている担当者の方が多い印象です。その原因として、顧客に情報が正しく伝わっていないこと(コミュニケーションズレ)にあると考えています。
企業側とユーザー側のコミュニケーションズレのよくあるケースが3つあります。まずは、過去成功していた訴求の使いまわしです。コロナ禍もあり、ユーザーの市場や購買行動の変化が起きている中で、何もカスタマイズすることなく成功した2,3年前の広告を使いまわしてしまっているケースが起きています。
2つ目は、あたり前だと思っていることが実は離反の原因になります。社内の共通言語をユーザーにも伝わるという思い込みでそのまま広告に出向してしまい、ユーザーに全く伝わっておらず、自分には関係ないことだと思われ離反が起きてしまうというケースもあります。
3つ目は、ターゲットとしているユーザーの購買同線と全く関係ないメディアに出稿し、ユーザーとうまくタッチポイントを作れていないということも起きています。
以上のように、実際にユーザーへどこでどのように伝えるかという点でコミュニケーションズレが生じており、成果に結びつかないという結果に陥ってしまいます。
また、新規獲得で大怪我しやすいのが、数値のみで議論してしまうケースが致命的になりやすいです。数字だけで話してしまうと、クリック率、CVRが下がっているから上げていこうよという話ばかりになり、部分最適になってしまいます。しかしユーザーは画像やLPページも見ていますし、様々な媒体に触れて最終購入に至るので、全体最適を測らなければならないため、ユーザー視点を失った空論となってしまい、空論を元に作った間違った仮説の元、推進した施策は無駄な時間とコストを⽣んでしまう事になってしまいます。
そして、⾮常に早い速度で変化する市場の中でお客様が求める商品や求める事も⽇々変わっています。しばらくユーザーと話をせず、過去の成功体験や、⾃分たちの仮説だけを元に「これは絶対に合っている」という思い込みが原因で思い込みをもとにした施策が全く当たらないということにつながってしまいます。
売れるコミュニケーション設計の創り方
なぜコミュニケーションズレは起こってしまうのか
コミュニケーションズレは仮説の精度が低いために起こると考えています。
勘や勢いに任せた施策を行うと、仮説の精度が低いために実際の市場とかけ離れた施策を打ち出してしまうなど、成功確率が低くなりがちです。そのため、勝ちパターンが見つかるまで時間とコストがかかってしまいます。しかし、客観的な根拠を持った仮説の精度が高い施策を実施すると、実際のユーザーに買いたいと思ってもらえるだけでなく、根拠を持った意見を基にしているため、勝ちパターンの創出が短縮することができます。そのため仮説の精度をさらに高めるための社内議論が可能になります。
勢いの施策も1つの答えですが、このような手法が出来るのは予算や人のリソースが潤沢にあるような企業のやり方です。リソースが潤沢にある企業はなかなか少ないので、仮説の精度を高め施策を打ち出すことをおすすめします。
なぜコミュニケーションズレは起こってしまうのか
まずは顧客を知る事が重要です。顧客を知るとは、年収や年代など表面的な情報を知るだけでは不十分です。抱える課題に対しての温度感や検討時に発⽣する顧客の⼼情を深く理解することが鍵となります。今すぐに解決したいのかどうか等、温度感の解像度を上げることがお客様を知る事だと考えています。
顧客を知ると、コミュニケーションズレを最小限に抑えることが出来ます。どの施策でも「誰に」「何を」「どう伝えるか」というところでつまずいてしまいます。しかし、そこを深く知る事により、顧客とのコミュニケーションの質が上がり、コミュニケーションズレの軽減につながります。
広告をはじめとしたプロモーションを行っていくにあたって、調査を行いました。
どこでコミュニケーションズレが発生するのか明確になることで、少しずつすり合わせ、より顧客に刺さる訴求を作っていくことが重要です。
クリエイティブも同様に、出稿画像やSNS使用画像などを1つ1つ確認し、所感を吸いあげる必要があります。
各軸から所感を吸いあげるのと同時に、「顧客がどのような導線を経て購買に至るのか」という把握も必要になってきます。どのようなタイミングでニーズが生まれ、どのように探すのか、興味関心はどのような所で生まれるのかなど、フェーズごとにその時の課題や行動パターンの見直しを行うことが重要です。ここまでの整理を行うと、適切な訴求内容やタイミングを見極めやすくなります。
顧客を知るということはクリック率や購入率の向上や、リピート通販の企業様の引き上げにつながることもあります。各KPIの改善につながることにより、広告費用を変えずに売り上げやLTVを約2倍に上げることも実現可能です。
消費者インタビューの具体的な方法
下記の企業様はブランドの世界観を大事にしている企業様でしたので、ブランドを守りすぎて逆にユーザーに何も伝わっていない可能性があり、調査を実施しました。
次の事例は、販路を拡大していく中でどのような施策を打つべきか判断軸を持つことが出来かねている企業様でした。そのため企業のターゲットとなる顧客を検証するべく、調査を実施しました。
これまでに例⽰したようなマーケティング活動の失敗ケースは“ユーザーの⽣の声”を正しく捉えられていないことが原因であり、ユーザーの⽣の声を直接取りにいくことによって、マーケティング活動の成功確率を⾶躍的に⾼めることができます。
顧客を知るための具体的な方法
さまざまな調査方法がありますが、EC業界でLTVや購入率向上を図る場合は定性調査(デプスインタビュー)が有効です。
定性調査を行う際は、まずは検証項目の設定をしっかり行ってください。何を目的に調査を行うかが重要となるため、すり合わせを行ったうえで質問項目を決定しましょう。次に自社のDBや外部ツールを使いながらユーザー集めとインタビューを行います。そして、ユーザーの声だけを聞くとバイアスが入ってしまうため、インタビュー内容をまとめてレポーティングをします。
定性調査を行う際は、下記調査注意点を留意しましょう。
最後に、企業様には顧客の解像度を上げることで、しっかりと成果の出るグッドサイクルを作っていただきたいと思っています。ユーザーに刺さらない訴求は、市場にも悪循環が生まれてしまいます。「ユーザーが欲しい情報を欲しいタイミングで届ける」という世界観をユーザーインタビューに用いることで、その土台を作ってほしいと思います。
meyco株式会社: https://meyco.co.jp/
第2部(Spider Labs Inc) CPC高騰や広告成果の波が激しいなど広告運用実務で発生する課題を解決する、アドフラウド対策入門講座
アドフラウドとは
自分が所有するサイトに広告枠を設置し、不正な手法によって広告の閲覧、クリックを水増し、広告報酬を搾取する不正行為です。これがアドフラウドの代表的な例です。
このような手法で広告が攻撃されることによって、CTRが異常な数値になってしまったり、本当に届けたい方に広告が届かなくなったりしてしまいます。そのため、アドフラウドは撲滅していかなければなりません。
しかし、実際には聞いたこともないし、規模感は小さいと思われたかもしれませんが、デジタル広告の10%がアドフラウドの疑いがあると言われています。そのため2023年には2800億円の被害額に達すると予想されており、非常に危機的状況だと言えます。
アドフラウドにはプレースメント(配信面)のアドフラウドとユーザーのアドフラウドの2種類があります。
プレースメントのアドフラウドの事例です。下記のようにサイト上部に広告枠を貼った同じデザインのサイトを何十サイトも作り、広告をクリックするとサイト制作者にお金が入るような仕組みになっています。
広告配信サービス側ですでに対策しているのではといわれていますが、大手プロットフォームを含め、様々なプラットフォームで多くのアドフラウドが検知されています。
アドフラウドは、不正基準を明確にしてしまうと、あの手この手で新しいアプローチをされてしまうため基準を明言することができないことに起因します。そのためアドフラウドの返金があっても、内訳が不明であったり、問い合わせをしてもアドフラウドかどうか対応されなかったりすることがあります。
次にユーザーのアドフラウドについてです。AWS上でホスティングされたプログラムの広告が多数クリックされていたり、MacのPCをアンドロイドと偽ってアクセスしたりする事案が発生しています。その他にはIPアドレスが無効であったり、ドメインが偽装されていたり、競合他社から嫌がらせで大量クリックをされていたりします。
そのためこの2種類のアドフラウドを取り締まっていかないと、広告効果も悪化し、反社会勢力にお金が流れる原因にもなってしまいます。
アドフラウド被害の実例
広告のCPCが異常に高騰している
まず、botなどで大量クリックされて、CPCが高騰している事例です。CPCが上がる原因は入札単価が上がる事です。そして、アドフラウドにより気付かないうちに有効なアクセスと有効でないクリックが発生した時、実質CPCは無効でないクリックも含み計算をするため、CPCが非常に上がったしまうケースがあります。
下記の企業では、約80万円の広告費が届けたい人に届けられずに消化されてしまっていました。
次に、大量の不明なクリックが発生している事例です。分析すると競合他社からの大量クリックが発生していました。
通常のクリックと不正なクリックを分けたところ、不正クリックは平日の9時~18時頃に集中しており、明らかに嫌がらせのクリックだと判明しました。
そして、リスティング広告でCPCが高騰していた企業の事例です。
1か月の出稿金額は2500万円から3000万円ほどの企業で、我々は無効なアクセス数が全体の10%弱と検知しました。ご存じの通り、リスティング広告は完全にクリック数課金のため、約240万円が広告費として搾取されてしまっていました。広告費が大きくなればなるほど被害額は増えていきますが、月200万円~300万円の広告費を運用している場合でも被害が10%と仮定すると、月20万円〜30万円で年間240万円〜360万円の被害が発生することになります。そのため予算が小さくとも対策を講じることをおすすめしています。
広告パフォーマンスの波が強すぎる
下記のグラフはクライアント数社のアドフラウド被害額を合計したものです。1.2週間から1か月程で新しい手法が発生するため、イタチごっこになってしまいます。短いスパンで広告運用にノイズを起こしてしまうと、それぞれの指標に影響を受けやすいため、アドフラウド対策は終わりなき戦いと言えます。
次に金融ジャンルの事例です。金融業界の繁忙期でもある今年の3月頭にbot被害が急増し、全体の約10%のアクセスがアドフラウド被害になりました。このようにbot被害は突発的に起こる可能性もあり、アドフラウド被害はなかなか予測できない状況にあります。
CTRは異常に高いが、CVRが低い or CVしない。
低品質なサイトと正常なサイトのそれぞれの指標を見比べてみました。低品質のサイトのクリック率は非常に高いですが、CVは1件もなく、コストだけがかかってしまっています。
クリエイティブを評価する手法(CTVR)で見ても、このようなノイズが入ってしまうとブレが生じてしまいます。そのため、アドフラウドによって、クリエイティブの判断の軸が遅れてしまうことが課題にあります。
また、先ほどのプレースメントのアドフラウドに戻りますが、こちらのサイトはSNSでも被害報告がありました。機械学習を使い、ほぼ全自動で運用するようなGoogleのスマートディスプレイキャンペーンというものがあります。こちらの無料申し込みなどの広告に対して、サイト運営側がCVを行い、この面の価値を上げる行為を行っていました。
先ほど申し上げた通り、こちらの広告は類似サイトが何十サイトもあり、それぞれのCVRが80%を超えていました。また、ディスプレイ広告にも関わらず、CPCも1000円を超えている状況になってしまっており、被害額は数百万円に上りました。
アドフラウド対策のメリットについて
アドフラウド被害において、広告媒体の費用が無駄になってしまっているということも十分課題ですが、クリエイティブの精査にノイズが入ってしまうことが一番の課題であると考えています。アドフラウド対策を行うことで、より具体的にクリエイティブを精査できるような土台を作ってあげることが重要です。
Spider Labs Inc: https://jp.spideraf.com/
第3部(株式会社Sprocket ) 5万回のA/Bテストで見えた顧客の行動とECサイトのCVR改善事例
Sprocketについて
カテゴリーで位置づけられるのはWeb接客です。実際にはタグを入れることによってお客様の行動をリアルタイムで検知し、そのデータを使いリアルタイムでインタラクションを作ることが出来ます。そのため、パーソナライゼーションがリアルに行うことが可能であったり、接客以外にもページの中にコンテンツを埋め込むことが出来たり、差し替えたりすることが出来ます。
また、裏側ではABテストが出来るように設定していますので、様々なパターンを試し、検証が出来るような仕組みを持っています。分析の仕組みも持っているので、一つのプラットフォームの中で仮説検証が回せるプロダクトです。
A/Bテスト5万回って?
我々の考え方として、ROIをしっかり出していただきたいと思っています。そのためには、ツールを導入して、使い方を習得するまでの支援はあったとしても、その後のROIをクリアするまでのハードルが高く、クリアすることが出来ずに解約に至ってしまうケースも多くあります。
そこで、我々のカスタマーサクセスがROIをクリアするまでを支援させていただくということで事業を作りました。社内だけでもA/Bテスト5万回以上の取り組みを行い、その中から成功を見つけるということを積み重ねてきました。
結果として、ツールの利用費に対して平均15~16倍の売上リフトアップの効果が出ています。ツールを導入いただく際のお客様の目標平均値は約8倍ほどなので、2倍ほど目標を越えて費用対効果を実感できているのではないでしょうか。
今回は我々の調査の中から見つけ出してきたものをお伝えしていきたいと思います。
まずはポップアップについてです。Web接客というとポップアップツールを思い浮かべる方もいるかと思います。しかし、このポップアップに対してあまりいい印象を持っていないユーザーもいらっしゃることも事実です。
ワースト5を見てみると、×ボタンの項目が多くあり、④には「触れるつもりがないのに」というワードもあります。つまりすぐ消せない、誤クリックを誘発するポップアップは悪い体験につながり、ポップアップの印象が悪い原因になっていることが分かりました。
ユーザーは思いがけないところで離脱している
我々のツールの使い方として、リアルタイム性が非常に重要です。お客様の行動を見ながらすぐに対応することが出来るため、ユーザーがつまずいている習慣をとらえてアクションを起こすことが出来ます。
実際の例として、ハンバーガーメニューをクリックしたことがないユーザーが多くいるサイトがありました。アイコンの意味が分からないのではないかという仮説をたて、アイコンをクリックしたことのないセグメントの中で、アイコン下に説明コメントを入れた場合と入れない場合のA/Bテストを行いました。その結果、アイコンの説明を入れた方が購入完了率が25%改善され、仮説が正しかったということになりました。私たちが当たり前だと思っていることでも、ユーザーからすると当たり前ではないことがよくあるということです。
次は、カートやフォームでの離脱です。
さまざまな調査で分かったことは、未購入のユーザーはちょっとしたことが気になり離脱していることです。FAQに書いてあることですが、購入前にご不明点を確認するポップアップを表示させることにより、購入完了率が改善されました。
このようなつまずきを解消させることによって、CVRが上がるだけでなく、CVRが下がっていた具体的な原因が判明し、ユーザーの理解を深めることが出来ます。そしてユーザー側は不明点を調べる手間を省くことができ、顧客体験が向上させる効果を得ることが出来ます。
つまずきには大きく4つのパターンがあります。
まずはコンテンツや商品の存在に気付いていないということです。ユーザーはサイトをくまなく見るわけではなく、部分部分で自分が見たいところのみを見ます。そのため、サイトの端にある、いいコンテンツに気付くことなく帰られている場合がよくあります。次は見ようと思わないパターンです。ユーザーの視界には入っているはずですが、スマホで流し見されて、必要のないものだと判断されてしまえば視界の外に出てしまいます。3つ目は到達できないということです。先ほどお話したハンバーガーメニューの事例と同様で、目的のものがどこにあるか分からず帰られてしまいます。4つ目は内容が理解できないパターンです。消費財などの分かりやすい商材ではあまり起こりません。しかし、獲得領域やサブスクリプションなどのユーザーが初めての体験である場合に、説明を正しく理解することが出来ずに離脱する場合も多く起きています。
「セルフサービス」の前提はもう成立しない
先ほど述べた4種類のつまずきのように自己解決が難しい問題が大きくなってきています
そのため、サイト内で提案をしてあげることが重要です。
サイトのTOPページで行き先が分からず直帰してしまうユーザーはどのサイトにも一定数いらっしゃいます。そのため、こちらから探しているものを提示することにより、次に進むことが出来るユーザーが増えていきます。
到達できないというつまずきもありましたが、上記のように吹き出しを付け、使っていない機能の利用を提案するパターンもあります。表示するタイミングやセグメントをしっかりと考えなければなりませんが、非常に効果的です。
そもそも、なぜセルフサービス問題が起きているのでしょうか。
まずはネット利用が不慣れな層が増えてきていることです。コロナの影響もあり、ECに抵抗があったユーザーも使わざるを得ない状況になっています。次に、ネットリテラシーが高いですが、ストレスを嫌がるユーザーの増加です。デジタルネイティブと呼ばれるZ世代ですが、自分で調べるなどを面倒くさく思う傾向にあります。そのためこちらから提案し、ストレスを下げてあげるアプローチが非常に効果的になります。
ユーザーが提案を聞いてくれるタイミングがある
実店舗に行った際、同じ店員さんから声をかけられても、タイミングで印象が変わるように、オンラインでも同じことが言えます。
チャットも絞り込み検索と同様に使用されないユーザーが多くいらっしゃいます。一定時間商品を見ていて、検討されていそうだが購入まで至っていないお客様に対し、チャット機能の提案を行うことにより、チャット起動率上がり、購入する方も増える傾向にあります。促し方もタイミング次第で効果的です。
タイミングは実店舗の接客から学ぶことは多いです。実店舗だと、お客様の表情や動きで判断できますが、デジタルだとそれが出来ません。そのため、データからタイミングをどのように判断するか、実店舗以上にユーザーの気持ちを意識的に考えることが重要です。
ユーザーの様子をうまく見つけつつ、声をかけるパターンを考えていただきたいです。
今後のUI・UXの設計のコンセプトとしては、ユーザーを先回りするサイトにすることが肝になってくると考えています。そのため、上記の事を意識していただければと思います。
株式会社Sprocket: https://www.sprocket.bz/
第4部(株式会社エートゥジェイ) 100社以上のEC運用経験で分かった、リピーター獲得手法&カート選定のポイント
獲得コストで比較してみる
ECサイトを作り、広告やSEOで集客をし、新規のお客様を獲得するには一定のコストがかかってきます。
一般的には新規顧客に対する商品販売のためのコストとリピーターに対する商品販売のためのコストは「1:5の法則」と言われています。業界や商品単価、購入頻度などで変わってくるため一概には言えませんが、一度リレーションが出来たお客様を大切にして購入に繋げていくのは非常に重要な取り組みだと考えています。
顧客ロイヤルティ
CRMとは、顧客により長く、より多く商品やサービスを買ってもらうための施策や取り組みと定義しています。そのためには、お客様を知るということが第一歩です。
CRMにおける主な目的は年間顧客売り上げの増加です。それを細かく分解していくと、新規顧客がどれだけ増加しているか、F2転換やリピート率はどの程度か、ロイヤル顧客の割合は増えているのかということを、3つのファネルで分析します。またロイヤル顧客でも、一定の期間が経つと離反してしまう方が一定数いらっしゃいます。そのお客様をどのようにして再度購入いただけるかといった、アクティブな割合も非常に重要な視点です。
また自社ECをテストマーケティングの場として活用している事例も増えてきています。
新商品を発売した際に全国のリアルな店舗に配架すると、営業コストや広告・マーケティングコストなどが多額にかかります。そこで、ECサイトを通して新しい商品を展開し、座談会やオンラインアンケートなどを行います。購買率や実際に買われたお客様の意見を商品開発などに活かし、その商品が売れるかどうかのシミュレーションをCRMの一環で利用されている顧客も増えています。
ゼロから始めるCRM施策
大きく3つのステップに分けて整理をすることをおすすめしています。
ステップ1は顧客の現状分析です。最近の購入日や累計購入回数などから自社の顧客を分類分けします。定義は自社が販売する物や質によって大きく異なりますので、自社で定義を決める必要があります。そしてそれぞれのグループがどのくらいの割合なのかを棚卸しすることが、顧客の現状分析の第一歩だと考えます。
その上で、アクティブ軸と購入頻度軸で分けた時に各セグメントにどのようなメッセージを送るかが大事になってきます。それぞれのセグメントでRF分析し、再度購入いただくためのメッセージを考えていきます。
例えば会員ランクがあるサイトであれば、ゴールド会員かつ休眠状態の方に対し購入を促すようなクーポンやリマインドメールを定期的にご案内します。「この際だから。」「久しぶりに。」という心理状態でアクティブに戻す仕掛けがおすすめです。
将来的には上記の図のように、細かくKPIの設定を行いましょう。
上段の年間会員数と中段のゲスト注文件数の売り上げの合計が全体の売り上げを構成しています。どのようにしてゲストではなく会員として購入してもらうか、会員も離反防止にどのような施策を打ち、数字の引き上げを目指します。また、上部の注文回数や注文単価をどのようにして引き上げ、ロイヤル会員を増やすのかを考えるなど各数値で打つ施策も異なります。そのため細かくKPIを定めている企業の方が最終的にPDCAを回していけると考えています。
CRM施策成功の方程式
「施策」×「仕組み」×「ノウハウ」の大きく3つの切り口で話をさせていただきます。
まずは施策についてです。基本かと思いますが、「誰に」「何を」「どうやって」の部分をよく考えると整理しやすいです。
施策について
「メール配信」でも全ユーザーに配信するのか、セグメントをきって特定ユーザーに配信するのかで大きく分かれます。全ユーザーには、キャンペーン情報や新商品告知をコストが安いメール配信する企業が多いです。記事とは、商品のスペックや価格のみが掲載されている無機質なものではなく、どのような思いで買い付けたのか、商品を開発したのか、おすすめの使い方などの付帯情報を一緒に掲載しているものです。記事をメールなどで配信していくとクリックレートが向上し、その後のCVRも向上する傾向にあります。
特定ユーザーは、定期購入引き上げの施策や、再入荷情報が効果的です。また、1度購入されていてユーザー情報を取得していますので、メールだけでなくDMやLINEのアプローチも有効です。
仕組みについて
特定の商品を購入した方へ商品リコメンド、会員や離脱、新規顧客に対してどのようにコミュニケーションをとっていくのかなど様々なシナリオがあるかと思います。そのようなシナリオを実行するには顧客の性別や年齢だけでなく、過去の購入履歴やお気に入り登録商品などの行動データが必要です。
そのデータに対して、メール配信やキャンペーンを行います。キャンペーンはただ物を送るだけでなく、客単価を上げるためのセット割などの機能を使うことにより複数商品の購入につなげることが出来ます。そして施策分析を行い、結果を次回の施策に移していくことが王道的なCRMのPDCAです。
ノウハウについて
本日からでも出来る施策として、競合調査を行うことをおすすめします。実際に購入し、どのような同梱物で、どのタイミングでメールやチラシが届くのかを調査することで、競合を利用しているお客様がどのような体験をしているかを知ることが出来ます。しっかりベンチマークをすることで、自社が取り組むべき施策が見えくると考えています。
販促カレンダーを制作されるのも、ECを運用するにあたって重要です。年間のイベントを洗い出し、自社が取り組むべきタイミングと施策を落とし込んでいくことにより年間ロードマップとして使うことが出来ます。
また、購入日を起点にどのタイミングで、どのような情報を、どのような形で届けるのが良いのかを上記のようなステップメールの設計サンプルを利用するのも有効です。
株式会社エートゥジェイ: https://mercart.jp/
全体Q&A
CRM施策を始める際に、優先順位はありますか?
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藤井 人を増やしたときにオペレーションを単純に増やすことはあまり良くない戦略です。日橋さんからもお話があったように、店舗ごとに属人的な担当者を付けていくことも良くないことです。そのため、得意なことはシステムに任せ、増えたら増えた分だけどのようにPDCAを回していくかを考えることに人を割いていくことが重要です。
巷ではセグメント切りすぎ問題というのを耳にしますが、どう思いますか?
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藤井 一部のECサイトによっては、購入頻度も購入金額も飛びぬけている熱狂的なファンの方がいらっしゃいます。そのようなユーザーを大切にするためにも、会員ランク制度は非常に良いと考えています。上層ランクの人数は多くはないかもしれませんが、そのようなお客様に末永くご利用いただくサイトを目指すことで、コンテンツの2次利用も出来ると思います。
平均するとアドフラウドの被害はどのくらい存在するのでしょうか?
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小沢氏 2021年半期でアドフラウドの被害は全体トラフィックのおよそ4.4%でした。配信ですと、全体の20%がアドフラウドだったクライアントもいらっしゃいます。企業ごとに非常にばらつきはありますが、参考の数字として見ていただければと思います。
Spider Labsさんのシステムを導入するとアドフラウドが検知されるということですが、本当にアドフラウドだったかというのはどのようにして分かるのでしょうか?
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山際氏 どのようなユーザーだったのか、どのような基準でアドフラウドだと判断されたのかというのをダッシュボードで各導入企業には提出しています。IPアドレスベースで1つずつ原因が分かるようになっています。検出パターンは様々あり、そのパターンも日々増えていっています。
まずは自社で顧客インタビューを実施してみようと思います。他社がよくつまずく点などはありますか?
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山際氏 つまずくポイントは3つあります。まずは、ユーザーを集める段階です。購入経験がある方は自社のDBから集めることが可能ですが、未購入のユーザーを集める場合は、外部サービスを利用することが多いので、労力と費用がかさんでしまいます。 次に、インタビューを実施する段階です。フラットに回答を吸いあげることが出来るような聞き方などには難易度がありますので、慣れている方にインタビュアーを担っていただかないと意味のない調査になってしまう可能性があります。 最後にレポーティング段階の落とし込みです。回答を吸いあげてから、施策に落とし込むことが非常に大変です。そのため、インタビューしたものの、何も変わっていないという声も耳にします。
インタビュー内容を施策に落とし込む際、具体的にどのような点が難しいのでしょうか?
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山際氏 経験値が少ない方だと、どうしても個人のバイアスが入ったサマリーになってしまいます。また、施策に落とし込む際にマーケティングのノウハウがないと落とし込みが不十分になってしまったりします。
A/Bテストの期間はどのくらいでしょうか?
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山際氏 A/Bテストの結果が偶然の差か、根拠のある差かを見極めることが難しい場合があります。BtoC向けのサービスであれば、標準的には少なくとも2週間は待ちましょう。平日と土日に動きが異なるケースが多いため、2サイクルほどのデータの蓄積はあった方が良いです。それだけでなく、十分に差が優位になるだけのデータがたまっているのかを見極める必要があります。 そして、テスト期間中に勝ち負けのブレの有無は必ず見ましょう。推移の傾向を見ながら、安定的に勝っているのかを判定の条件として見た方が良いと考えています。
まとめ
今回のセミナーでは売り上げとLTVの向上の手法として、4つの視点からそれぞれ解説していきました。まずは自社の商材の特徴やユーザーの性質を見極め、適切な手段を1つ1つ取り組むことが売り上げとLTV向上の近道ではないかと思います。
今後も皆様のECサイト運営がスムーズなものとなるよう積極的にセミナーを開催してまいります。メルカートでは、ネットショップ構築サービス以外にも、企業サイトやマーケティングサービスをご提供し伴走しながらビジネスの成長をお手伝いしておりますのでお気軽にご相談ください。
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