マルチテナントとは? メリット・デメリットやシングルテナントとの違いを解説

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ASPやSaaSなど、クラウド型のサービスを検討している際に「マルチテナント」という言葉を見聞きしたことはありませんか? マルチテナントとはどのようなもので、具体的にどういった特徴があるのかご存知ない方もいらっしゃるでしょう。

 

ここでは、マルチテナントの概要やメリット・デメリット、シングルテナントとの違いなどを解説します。

   

マルチテナントとは

マルチテナントとは

 

マルチテナントとは、複数のユーザーが同じサーバーやアプリケーション、データベースといったシステムやサービスを共有して利用する方式です。同一のサーバーやデータベースを仮想的に分割し、各ユーザーはそれぞれ与えられた領域を利用できるようになっています。
現実世界でいうと、雑居ビルやショッピングモールの中にさまざまな企業やショップが立ち並んでいるイメージです。

 

複数のサーバーやデータベース、アプリケーションを統合することによってリソースを有効活用し、運用管理の手間を削減しているため、一般的なマルチテナント型のサービスは比較的低コストでの導入が可能です。

 

また、マルチテナントを実現する際に、複数のサーバーやデータベースを統合する方式のことを「マルチテナント・アーキテクチャ」と呼びます。マルチテナント・アーキテクチャでは、顧客情報などをひとつのデータベースに集約して管理できるため複数のブランドを展開し、それぞれに顧客情報がある場合は管理運営の手間が省けるというメリットがあります。

 

マルチテナントサービスの例

マルチテナントは、SaaS型(Software as a Service)のクラウドサービスで多く採用されています。SaaSは「サービスとしてのソフトウェア」と訳され、従来のようにソフトウェアを自社で保有するのではなく、インターネット経由でソフトウェアを利用する形式のサービスのことです。

 

具体的なマルチテナント型のサービス例としては、Amazonが提供する「AWS」や、Microsoftの「Azure」といった企業向けのクラウドプラットフォームが挙げられます。

 

ECサイトの分野では、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのECモールも、ECプラットフォームを提供するマルチテナントサービスの一形態といえるでしょう。またASPやクラウドECなどでも、マルチテナント型を採用しているケースが見られます。

 

マルチテナントのメリット

SaaS型のクラウドサービスを筆頭に、幅広い場面で使われているマルチテナントですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ECサイト事業者の視点から見たマルチテナントのメリットをご紹介します。

 

素早くサイトを構築できる

マルチテナント型のサービスにおいては、サービスプロバイダが用意したサーバーやアプリケーション、データベースなどのシステムを、複数のユーザーで使用します。ある程度できあがった環境が始めからあるうえ、サーバーを自社で用意する必要もないため、ECサイトを素早く、比較的安価に構築できる点がメリットです。

 

システム運用の必要がない

自社でシステムを保有すると、OSやアプリケーションのアップデートや、サーバーの入れ替え、セキュリティ対策といったさまざまな業務が発生しますが、マルチテナントサービスではサービスプロバイダがシステムの運用業務を行います。運用にかかる自社の労力やコストを減らしながら、余ったリソースでECサイト運営に集中できるでしょう。

また、マルチテナント型のサービスは必要なときに必要な分だけ利用できます。急なアクセス数上昇などのシステムに負荷がかかる場面でも、柔軟に対応できる点もメリットのひとつです。

 

マルチテナントのデメリット

素早く安価にECサイトを構築できるマルチテナントですが、メリットだけでなく、デメリットもいくつかあります。メリットだけでなくデメリットも踏まえて、慎重に検討を進めましょう。

 

セキュリティ面の不安

マルチテナントは複数ユーザーで同一のシステムを利用するため、データが他ユーザーのものと混ざってしまったり、情報漏えいが起こったりする可能性は捨てきれません。
そのため、マルチテナント型のサービスを選ぶ際には、どのようなセキュリティ対策がなされているかを把握することが大事です。

 

ユーザーごとにデータベースを分離しているなど、他ユーザーのデータと自社のデータが交わらないようなセキュリティ対策が取られたサービスを選定するとよいでしょう。

 

デザインなどの自由度は低いことが多い

マルチテナントはある程度できあがったものを使ってサイト構築を行うので、比較的安価でスピーディにECサイトを構築できます。
しかし、決まった型があらかじめ作られているため、テナントごとにサイトデザインや外部システムとの連携といったカスタマイズができない、もしくは制限があるなど、自由なサイト構築は難しいことが多いです。

 

ECサイトを立ち上げた当初は問題ないとしても、事業の拡大に伴って必要な機能が追加できないなど、自由度の低さが足かせになることも考えられます。
このシステムと連携しなければいけないなど、すでにサイトに必要な機能が定まっている場合は、カスタマイズや連携ができるのか確認しておく必要があります。

 

マルチテナントとシングルテナントの違い

同一のサーバーやシステムを複数のユーザーが共有するマルチテナントに対し、サーバーやデータベースを1ユーザーで占有する形態をシングルテナントといいます。マルチテナントは雑居ビルを間借りする方式でしたが、シングルテナントは自社ビルをイメージすると理解しやすいでしょう。

 

マルチテナントはSaaS型サービスでの採用が多いのに対し、シングルテナントはPaaS型(Platform as a Service)と呼ばれるサービスで採用されるケースが多くみられます。これは、PaaSがハードウェアやOSなどのプラットフォームを提供するサービスなので、ユーザーごとに異なる環境やシステムの開発が行えるためです。

 

シングルテナントは1ユーザー専用のシステムが個別に用意されるため、マルチテナントと比較すると導入・運用コストが高くなり、環境構築に時間も要しますが、カスタマイズ性は高くセキュリティ面においても有利です。
そのため、ある程度の規模を持ち、専用のデータベースやカスタマイズが必要なECサイトにおいては、マルチテナントではなくシングルテナントを採用したほうが良いケースもあります。

 

マルチテナントならスピーディなサイト構築が可能

マルチテナント方式を利用すれば、スピーディかつコストを抑えてECサイトを構築できます。システムのバージョンアップやセキュリティ対策のような作業を外部に委託することができる点も、運用にリソースを割くことが難しい企業にとってはメリットといえるでしょう。

 

しかし、マルチテナントにはセキュリティ面の不安や、サイトデザインの自由度が低いなどの問題点もあるため、メリットとデメリットを見極めることが重要です。

 

マルチテナントとシングルテナントの選定においては、ECサイトの現在の規模だけでなく、サイトの将来性も踏まえて判断しなければいけません。当初はマルチテナントで十分と考えていたとしても、EC事業の拡大とともに、サイトデザインの見直しや既存システムとの連携を図らなければ運用が回らないといった事態に陥ることも考えられます。
サイト規模やEC事業の将来性などを総合的に検討した上で、自社にとって最適な選択をするようにしましょう。

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