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オムニチャネルとは? 基礎知識やメリット、成功させるためのポイントをわかりやすく解説
近年、有名企業や大手ECサイトが次々に導入している「オムニチャネル戦略」は、現代の販売戦略に欠かせないものとなっています。
今回はオムニチャネルとは何か、「O2O」や「マルチチャネル」といった類似用語との違い、そしてオムニチャネルの導入によるメリットや成功させるためのポイントについてわかりやすく解説します。
【目次】
オムニチャネルとは
近年、オムニチャネルというマーケティング用語を目にする機会が増えていますが、その定義や誕生の経緯については意外と知られていないのではないでしょうか。オムニチャネルの定義や歴史を、注目されている理由と合わせてご紹介します。
オムニチャネルの意味
オムニチャネル(Omni-Channel)とは、小売業を中心に広がりを見せるマーケティング戦略の一形態で、「全て」という意味を持つ「オムニ(Omni)」と、「流通経路」を意味する「チャネル(Channel)」を組み合わせた造語です。
マーケティング用語における「チャネル」とは、「流通経路」や「販売経路」を意味しますが、一言でいうと「顧客との接点」です。
オムニチャネルにおけるチャネルの一例としては、主に以下のようなものが挙げられます。
・実店舗(POSシステム)
・ウェブページ(ECサイトや自社サイトなど)
・SNS
・スマートフォンなどのアプリ
・コールセンター
・イベント
・ポスターやカタログ
オムニチャネルは、これらすべてのチャネルを統合し連携させることで顧客とのつながりを深め、顧客満足度を高めて売上向上を目指す取り組みです。
オムニチャネルの歴史
オムニチャネル戦略の元祖は、アメリカの大手百貨店「Macy's(メイシーズ)」とされています。
Macy's(メイシーズ)は2011年から、実店舗とECサイトの在庫情報を統合したり、実店舗に来店した顧客にきめ細かな提案が行えるよう、店員にタブレットを配布したりといった施策を次々と実践しました。その結果、顧客満足度が向上し、在庫の適正化や利益率アップといった高い効果を得るに至ったのです。
Macy's(メイシーズ)の成功事例以降、オムニチャネルは他の小売業にも広がりを見せることになりました。
オムニチャネルが注目される理由
オムニチャネルが急速に拡大した理由には、スマートフォンの普及が大きく関わっています。
近年は商品情報の閲覧や、SNSや口コミサイトでのレビューの吟味、そしてネットショップで買い物をするという一連の購買行動を、スマートフォン1台で完結することが可能です。
こういった顧客の購買様式の変容に対応し、顧客満足度を上げて他社との差別化を図るのに最適な戦略として、オムニチャネルが注目されるようになりました。
O2Oやマルチチャネル、クロスチャネルとの違い
オムニチャネルと類似した用語に「O2O」「マルチチャネル」「クロスチャネル」などがあります。これらの言葉は、オムニチャネルとどのように異なるのでしょうか。
O2O
O2Oとは「Online to Offline」の略で、オンライン(Webサイト)からオフライン(実店舗)へと顧客を誘導するための施策を意味します。
例えば、Webサイト上で割引クーポンを発行し、実店舗に足を運んでもらうよう促す施策などはO2Oです。
O2Oは実店舗という特定のチャネルへと顧客を導く戦略なので、オムニチャネルとは概念が異なります。また、短期的な売上増加は見込めますが、リピーター獲得といった長期的な集客には向いていない施策である点も見過ごせません。
マルチチャネル
マルチチャネルとは、顧客に対して複数のチャネルを提供するという考え方です。
一見オムニチャネルに似ていますが、マルチチャネルはそれぞれのチャネルが独立して存在し、統合・連携されていないという点が、オムニチャネルとの決定的な違いです。
例えば小売チェーン店で、店舗毎に在庫情報や顧客情報を管理している、ECサイトと実店舗とのデータ連携がなされていないようなケースはマルチチャネルにあたります。
クロスチャネル
マルチチャネルのように各店舗で在庫をバラバラに管理している場合、過剰在庫や在庫切れによる機会損失が発生します。また顧客情報を連携していないと、一元的な顧客サービスも望めません。
そこでこれらの問題点を解決するため、店舗毎に管理していた在庫データや顧客データをシステム統合するのがクロスチャネルです。各チャネルが持つデータを横断的に連携させ一元管理することで、在庫の適正化や顧客満足度の向上が期待できます。
例えば、ECサイトで購入した商品を実店舗で受け取れるようにしている場合はクロスチャネルの施策と呼べるでしょう。
そしてクロスチャネルをさらに進化させ、同一のユーザーIDによる各種サービス連携など、すべてのチャネルのつながりを深めることで顧客にシームレスな購買体験を提供する施策が、オムニチャネルなのです。
オムニチャネル戦略のメリット
多くの企業がオムニチャネルの実現に向けて取り組んでいますが、オムニチャネル化によって企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
顧客の満足度を上げ売上向上につながる
複数のチャネルを統合することによって利便性を高め、顧客の満足度を高めることで売上向上につなげられるのがオムニチャネルのメリットです。
仮に、顧客が欲している商品が実店舗で在庫切れだった場合、今までは諦めて他の店舗で買うか、自宅に帰ってネットで探すしかありませんでした。しかし、オムニチャネルが実現できていれば、別店舗やECサイトの在庫情報をその場で照会し、後日宅配で商品を届けるなどの対応ができます。
また顧客IDを一元管理していれば、ECサイトでの購入履歴を参照し、実店舗に訪れた顧客の嗜好に合わせた最適な提案も可能です。
コスト削減や業務の効率化
各店舗やECサイトの商品在庫を一元管理することで、システム維持や在庫の適正化によるコスト削減できる可能性が高いです。
同時に、各チャネルを統合することで、それまで分散管理していたシステムや、受発注・発送業務といったバックオフィス系業務の一元化も図られるため、業務の効率化も期待できます。
オムニチャネルを成功させるために重要なポイント
それでは、オムニチャネル化を成功するにはどのような工程が必要になるのでしょうか。オムニチャネル化の際に重要となるポイントについて解説します。
環境分析とロードマップ策定
オムニチャネルは全社を挙げた一大プロジェクトです。まず自社の強みや競合他社の動き、顧客ニーズの動向など、自社を取り巻く環境を洗い出し、客観的に分析するところからスタートしましょう。
そして、プロジェクトの目的や必要なタスクを策定し、スケジュールや役割分担をロードマップ化したうえで、計画的に推進していくことが重要です。
社内体制
一般的な企業ではマーケティング部門、店舗部門、ネット販売部門、カスタマーサポート部門、IT部門などが縦割りの組織形態になっていることがほとんどです。そして、それぞれがライバル意識を持っていることも多く、連携がうまくいかないなど、オムニチャネル実現の大きな障壁となります。
オムニチャネルを実現するには、部門ごとの囲い込み意識をなくすなど組織を抜本的に見直し、会社全体としての意思を統合する取り組みも必要です。
データ連携とシステム統合
オムニチャネル化には、社内組織のみならずシステムも抜本的な見直しが必要です。
商品情報や在庫情報、顧客情報、購入履歴、ポイント情報など、各チャネルに管理されていたすべてのデータを統合し、一元管理するシステムを導入する必要があります。
すべての情報を統合することで、はじめてシームレスな顧客対応が可能になるので、各種データ連携やシステム統合はオムニチャネル戦略の根幹ともいえるでしょう。
まとめ
スマートフォンの普及や消費者ニーズの多様化に伴い、顧客一人ひとりに合わせたサービスの提供を可能にするオムニチャネルの役割は大きいです。オムニチャネル化を推進し利便性を高めることは顧客満足度の向上につながり、ひいては企業の利益拡大にも寄与します。
今回ご紹介した施策で重要となるポイントを抑え、オムニチャネル化を成功に導きましょう。
メルカートは、豊富なオムニチャネル事例やノウハウを持つ「ecbeing」をベースとしています。ぜひ、お気軽にご相談ください!
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