リピートしたいと思うECサイト作りには物流「2024年問題」が大きな障壁に - ECサイトの利用に関する調査

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クラウド型EC プラットフォーム「メルカート」を提供する株式会社エートゥジェイ(東京都港区・代表取締役社長 飯澤満育)は、ECサイトで購入経験のある全国の20代~60代の男女1000名を対象に、「ECサイトの利用」について調査しました。調査結果と共に課題の解決策を紹介します。消費行動の多様化に伴いマーケティングの難易度が高まる昨今、ECサイトを利用する消費者はどのような価値を重要視しているのか、実態を把握するために調査を実施しました。

 

調査結果サマリー

・リピートしたいと思うECサイトの特徴は、「即納」「送料無料」が上位を占めている

・月2回以上購入するユーザーは、モール部門よりも自社EC部門の方が10%以上上回る

・消費者がECサイトに再訪するきっかけとしては「商品が欲しいとき」が圧倒的、次いで「メルマガ」

調査の解説者

株式会社エートゥジェイ メルカート事業責任者 / 執行役員 渡邉 章公
2010年に株式会社ecbeingへ入社。エンジニアとして様々なクライアントのECサイト構築支援に従事。2016年よりSaaS型のECプラットフォーム構築に参画し、2018年に新サービス『メルカート』を立ち上げ。2020年にグループ会社のエートゥジェイへ事業と共に転籍し、執行役員に就任。

執行役員 渡邉 章公

調査結果詳細と解説

配送サービスにおける満足度の影響力

一般消費者が「また利用したいと思うECサイトの特徴」について調査したところ、モール部門、自社EC部門のいずれも50%以上が「送料無料」と回答しました。モール部門は2位:「クーポン、割引が豊富」(22.99%)、3位:「配達納期が早い」(21.75%)。自社EC部門は2位:「商品説明が充実している」(27.37%)、3位:「配達納期が早い」(25.04%)という結果になり、モール、自社ECのいずれにも「送料無料」、「配達納期」が入っていることから、消費者のECサイトの利用には、「配送」における満足度が大きく影響していることが分かりました。

 

Q.また利用したいと思うECサイトの特徴を教えてください。[n=1000](複数回答)

また利用したいと思うECサイトの特徴結果

 

また、「配送」に関わる項目を除くと、モール、自社ECのいずれも、消費者は「ポイント制度がある」ことや「クーポン、割引が豊富である」こと、「商品説明が充実している」こと、「レビューが多い」こと、「決済手段が豊富である」ことを求めていることが分かりました。

商品を購入する際、リアル店舗・ネット店舗での購入に関わらずまずはインターネット上で情報収集すること、さらには大半の消費者がレビューを見て意思決定の参考にしていることがわかっています。まずは信頼性の高い正しい情報が充実していることが必要と考えます。

さらに、ECサイトを利用する障壁を取り除き、購入する理由を明確に作ることが重要です。ポイント制度やクーポンなどのインセンティブを充実させ、決済手段を多様化することで障壁を下げながら購入を獲得していくことが必要ではないでしょうか。

EC事業と2024年問題

2024年4月よりトラック運転手の時間外労働の上限が課せられ、何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力が不足する可能性があり、物流の「2024年問題」(※1)として注目を集めています。政府は「2024年問題」に備えた対策の一つとして、過剰な注文を助長しかねないインターネット販売の「送料無料」表示の変更を求めるとしました。

 

市場を牽引する大手モールECの「送料無料」特典や「即納」が普及し、ECサイトで購入する際の決め手として送料や配送におけるサービスの期待値が非常に上がっているというのが現状です。かご落ちユーザーの多くは予期せぬ送料の発生や、納期が長いことが原因であるという調査レポートも多く出ています。そのため、物流の「2024年問題」はECビジネスへの影響が甚大であると考えられています。

このような状況下で、EC事業を成長させ続けるには今後どのような取り組みが求められるのでしょうか。

 

(※1) 消費者庁「物流の「2024年問題」と「送料無料」表示について」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/other/free_shipping/index.html

金銭的価値に左右されないブランド価値

今後のEC市場では、即納や送料無料に代表される機能的価値、金銭的価値に左右されずに購買機会を獲得するブランドロイヤルティの向上がさらに重要度を増すと考えられます。そのためにEC事業者は、短期的な売上だけをKPIにするのではなく、中・長期的なLTVを計測し、それを高める施策の比率を上げてブランドファンを獲得していくのことが求められます。

 

Q. ECサイトで商品を購入する頻度はどのくらいですか?[n=1000]

 ECサイトで商品を購入する頻度 結果

 

購入頻度に着目した調査では、モール部門と自社EC部門に興味深い差が見られました。月2回以上購入するユーザーは、モールが37.79%、自社ECが48.89%と、自社ECの方が10%以上高い数値が得られています。プラットフォームのレギュレーションに左右されず、ブランドの世界観やUI/UX設計がしやすいこと、ECサイトを利用している消費者とのコミュニケーション自由度が高く、CRM施策を打ちやすいことが影響し、自社ECはブランドロイヤルティやLTVを上げやすい、と推測することができます。

ブランドロイヤルティの醸成を後押しするタッチポイント

消費者がECサイトに再訪するきっかけとしては「商品が欲しいとき」が圧倒的でしたが、その次の手段としてはSNS、LINE、アプリを抜いてモール部門、自社EC部門ともに「メルマガ」いう結果でした。

 

Q.一度利用したECサイトに再度訪れるきっかけはなんですか?[n=1000] (複数回答)

再度訪れるきっかけは 結果

 

SNS、LINE等を代表するスマホアプリが日常のコミュニケーションインフラとなっている中で、いまだにメルマガ経由でのサイト訪問や注文獲得は一定の成果が出ています。ただ、各流入経路の比率に大きな差がないことを考えると、ユーザーが自由に選択できるマルチなタッチポイントの構築は不可欠と考えられます。

また、圧倒的な来訪きっかけとなっているのが「商品が欲しいとき」です。この消費者心理を生み出し、最適なタイミングでオファーできるかが、自社サイトへ訪問させる獲得競争となります。そのためにまず必要なのが、顧客理解と考えています。昨今ではこの顧客理解を加速するために、CDPの活用が注目されており、定量的・定性的な消費者データを集め、視覚化し、顧客の解像度を上げようと取り組むEC事業者が非常に増えてきています。その顧客理解を通して、最適なセグメントに対し、より最適なタイミングでオファーしていくことに注力していく必要があると考えます。

 

CRM

 

【調査概要】

調査名:EC業務の課題と施策に関する調査

調査対象者:20代~60代の男女1000名

調査期間:2023年7月11日(火)~2023年7月18日(火)

調査方法:インターネット調査

対象地域:47都道府県


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